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37話 その後

 


 魔族の幹部、リバーズルがシルベスト王国を襲撃した翌朝。


 僕は全身の暑さで目を覚ました。

 なんだか体も重い気がする。

 とりあえず、起き上がろうとするも。


「……あれ? 体が動かない……」


 その理由はすぐにわかった。

 僕のベッドの右側にはレイフェルト姉が居て、左にはリファネル姉さんがいる。

 それぞれが僕の腕を抱え込むようにして、眠っている。

 これだけならば、いつもの事で慣れたものなんだけど。

 いや、慣れるのもどうかと思うが……


 僕はやけに重さを感じるので、もしやと思い、足でなんとか布団をどかしてみる。

 …………どうりで重い訳だ。

 僕のお腹の部分で、妹のルシアナがスヤスヤと気持ち良さそうに寝息を立てて眠っていた。

 しかも、全裸で……


 一緒に寝るだけならば、百歩譲っていいとしても、せめて服は着て欲しい。

 ルシアナも、年頃の女の子なんだから……

 まぁ、昨日はルシアナのお陰で、シルベスト王国の被害も最小限に抑えられた事だし、今日だけは我慢しよう。

 今日だけは。


 あの後、魔族を追い払ったはいいが、火の手は広がり続け、どうしようもない状態だったのだが、ルシアナが魔術で大量の雨を国中に降らせて、火は何とかおさまった。

 誰も一人の少女が、魔術で降らせたなんて思わないだろう。

 そんな事、普通は不可能なのだから。

 だが、ルシアナの魔力量は普通ではない。

 雨がルシアナの魔術だと気付いたのは、ファルメイアさんくらいで、他の人々は、神様の奇跡だ、とか言って天に祈りを捧げていたっけ。

 ファルメイアさんも、ルシアナの魔力量には驚きを隠せないといった感じだった。


 人的被害についてだが、これも奇跡的に死者は出なかった。

 吹っ飛んだ騎士団の人達をみた時は、何人かは死んだと思ったけど、炎が当たる寸前に、ファルメイアさんが魔術で炎の勢いを弱めていたらしいのだ。

 そして、怪我をした人達を次々と、ヒリエルさんが回復魔術で治していった。

 この二人の活躍の賜物だ。

 勇者のヘリオスさんと、ハナさんは最後まで目を覚まさなかったけど……


 これから暫くは、焼け崩れた家の復旧とかで忙しくなりそうだ。

 もちろん僕も手伝うつもりだ。

 この感じだと、当分はこの国に居座ることになりそうだからね。

 国の人が困ってるのなら、助けになりたい。


 ラナには少し怒られてしまった。

「ラゼル様を犠牲にして助かっても、私は嬉しくありません」なんて、泣きながら言われた時は焦ってしまったけど、あの状況でのあの判断を間違ってるとは思わない。

 二人とも死ぬよりは、どちらか一人でも助かったほうがいいに決まってる。



「……はぁ、そろそろ起きてよ、皆……」


 姉さん達に抱え込まれた腕は、すでに感覚がなくなりかけていた。

 今日は一段と力が籠ってるせいか、腕の血が止まりかけてる。

 お腹の上で眠るルシアナは、体温が異常に高く、正直暑苦しい。


「フフ、モテモテねラゼル」


「いや、みんな家族だからね……起きてるなら早く、その腕を離してくれると助かるんだけど」


 最初に目を覚ましたのはレイフェルト姉だった。


「だ~め! もう少しラゼルをぎゅっとしたい気分なの」


 まったく、いつもしてるだろうに。

 新しい家では、絶対、絶対に一人部屋を確保して見せる。


 僕は諦めて、もう一眠りする事にした。

 この状態で寝れるかはわからないが、とりあえず目を閉じる。

 昨日の出来事で、予想以上に疲れているのか、次第に意識が遠ざかっていく。




















 時は少し遡る


 ここは魔族が棲む、『マモン大陸』


「ゼェ、ゼェ、クソがぁっ! 何なんだあの魔術師は!」


 命からがら逃げてきた、満身創痍の魔族、リバーズルが不機嫌そうに叫んだ。


「あらららら? リバーズルじゃない、どうしたの? 確か、勇者パーティを潰してくるって言ってたけど、その様子をみるに、負けてノコノコ戻ってきたのかしらぁ? プププッ、だっさぁい!」


「……ムムルゥ、てめぇ……殺すぞ?」


「アッハハ、そんな状態で凄まれてもねぇ。で? 勇者パーティはどうだったのよ?」


 リバーズルの傷だらけの姿をみて、心底楽しそうに笑う女。

 褐色の肌をしていて、衣服は局部を申し訳程度に隠してるだけで、ほとんど裸に近い。

 頭に生えている二本の角がなければ、人間と言われてもわからないかもしれない。

 この女もまた、魔族の幹部の一人だった。


「はっ、勇者パーティはほとんどが雑魚だったぜ、一人厄介なエルフがいたくらいか」


「じゃあ何でそんな、ボロ雑巾みたいになってるのかしら?」


「うるせぇっ!……冒険者かなにかはわからねぇが、とんでもねぇ魔術師がいたんだよ、まるで魔力が無限にあるかのように、大規模の魔術を連発してきやがった。それにそいつ以外の剣士も普通じゃなかった、俺じゃなけりゃあ瞬殺だったぜ」


「へぇ、貴方がそこまで言うなんて面白いわね。でも暫くは大人しくしてるのよ? 転移石は貴重な物で、残りも少ないんだから」


「わかってらぁ! 俺もまさか転移石を使うとは思ってなかったんだよ。だが、この借りは必ず返すぜ……ヒヒッ、覚えてろよクソ魔術師!! ヒヒッヒーヒッヒッヒ!!」


「貴方、本当に気持ち悪いわね……」


 マモン大陸に、リバーズルの笑い声が響いた。




やっと、Twitterの操作方法がわかってきた(;´д`)


「なろう」でやってる人、結構いるんですね♪


フォローしてくれた方、ありがとうございます(´∀`pq)゜゜

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