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34話 再生のリバーズル

 


 魔族と人間は、ずっと昔から絶えず争い続けてきた。

 争いの理由は単純で、魔族が自らの棲む大陸から人の住む大陸へと、領土を拡大しようと攻めこんできたのが始まりだという。


 人間も負けじと反撃したのだが、魔族の操る強力な魔術で、圧され気味だった。

 魔族という生物は、人間よりも遥かに少ないのだが、それを補って余りある程の魔力を、全員が持っていた。

 そういう種族なのだ。


 人間にも魔術師といわれる、魔術を扱う者がいるが、それはごくわずかで、才能のある者にしか使えない。

 どんな者でも、生まれつき魔力を体に宿しているのだが、それを全員が使えるかと言ったら話は別だ。

 例えば体に魔力を流し、身体を強化する。

 これは魔術とは言わない。

 魔術とは、魔力を火や水、土などに変換する事だ。

 つまり魔術師とは、無から有を産み出せる者の事を指す。











 そして、戦いは熾烈を極めた。

 魔族の強力な力に対して、人間は唯一勝る、数で圧しきろうとした。

 結果、途方もない数の人々が死んでいった。


 だが、殺しても殺しても、次々に出てくる人間に魔族側の勢いも衰えていった。

 互いに数を減らし、戦いは膠着状態が長いこと続いた。


 それから暫くして、初代勇者パーティが魔王を討伐した事により、魔族も撤退を決めて、大陸へと帰っていった。

 今が好機と、大陸へ攻めこんで魔族を根絶やしにするという話も挙がったが、これまでの戦いのダメージが大きすぎた為、やむなく断念したという。


 一時は魔族も自らの棲む大陸からは出てこなかったのだが、10年程前に新たな魔王を名乗る者が現れ、魔族の勢いが増してきたらしい。

 魔族の目撃例もだいぶ増えてる。

 一部の冒険者の間じゃ、近い将来大きな戦があるんじゃないかと噂になってる。



 と、昔みた本の話を思い出してみたが、如何せん百年くらい前の話だ。

 全部が合ってるとは限らない。

 問題は、その魔族の幹部とやらが今ここにいる事だった。





「リファネル姉さん、レイフェルト姉…………」


 僕は二人を見る。


「フフ、そんな可愛い目で見つめなくてもわかってるわよ。せっかくこれから、ラゼルとのイチャイチャ生活が幕を開けるんだから、あんなのに邪魔はさせないわ」


「ええ、けれど勘違いしないでくださいね。私達が戦うのはこの国の為なんかじゃありませんよ? 全てはラゼルの為です。誤解なきよう」


 良かった。

 今はどんな理由だろうと、この二人が戦ってくれる事に安心した。


「それで構わん。妾も微力ながらサポートさせてもらう」


「ではラゼル、少し待っててください。速攻で斬り捨ててきますので」


 僕はリファネル姉さんの背中から下りて、ヒリエルさんの所へと向かう事にする。

 何か手伝える事があるかもしれない。


「ヒッヒッ、話し合いは終わりかぁ? じゃあいくぞ!」


 手の平を此方に向けると、みるみるうちに先程と同じ、火の玉が生成されていく。


「遅すぎるので、此方から来てあげましたよ」


 いつの間にかリファネル姉さんが、火の玉を放とうとする魔族の真横へと移動していた。


「なっ、てめぇ、いつの間にきやがっ――」


 スパンッ!


 いつも通りの速すぎる斬撃が、魔族の首を斬り落とした。


「さ、帰りましょうラゼル」


 剣を鞘に納めつつ、魔族の死体に背を向け此方へと歩いてくるリファネル姉さん。

 その時だった――


「リファネルッ!! 後ろよ、まだ終わってないわよ!」


 いつもの緩い喋り方とは違い、少し焦ったレイフェルト姉の声が聞こえた。

 その声の直ぐあとで、リファネル姉さんに向かって巨大な火の玉が迫ってきていた。

 どうしてだ? 首は確かに斬り落とした筈なのに、何で魔術が飛んでくるんだ?


「小賢しいです!」


 その火の玉をものともせず、剣で斬り裂く。

 ドラゴンのブレスを斬れるんだ、今更驚きはしないさ……

 だけどわからない、何で魔術が発動したんだ?


「ヒーヒッヒ!! おいおいおいおい、勇者パーティよりも殺しがいのありそうなやつがいるじゃねーか!! テンション上がるなぁおい!!」


 信じられない事に、首を斬り落とされたはずの魔族が何事もなかったかのように佇んでいた。


「おかしいですね、確かに首を跳ねた筈ですが……」


 流石のリファネル姉さんも、不思議そうに首を傾げている。


「そうね、貴女は確かに首を跳ねてたわ。けど、信じられないけど、あいつ頭が生えてきたわよ? 気持ち悪いったらないわ」


「アイツは再生を司る魔族でな、並大抵の攻撃では直ぐに再生するのだ。正直、剣は相性がよくない。クソ、せめて妾に全盛期の魔力があれば……」


 悔しそうに顔を歪めるファルメイアさんだが。


 再生? 何だソレ? 反則じゃないか、こんなのどうやって倒せっていうんだ……


「ヒッヒッ、ヒーヒッヒッヒ、いくらでも、何度でもかかってこい! その度に俺は再生してみせるぜ! 俺こそが、魔王様の幹部の一人! 『再生のリバーズル』だ! てめぇ等人間に今宵、地獄をプレゼントするぜぇ!!」


 激しい炎に包まれた夜のシルベスト王国に、リバーズルの楽し気な笑い声がこだました。





次回、妹ちゃんが登場します!


あと、最近Twitter始めました!


操作難しくないですか?(超アナログ人間)( ・ω・)



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