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わんこのおまけで転生ライフ!  作者: 永遠の自由人
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別人

ディア視点です。

 



 ……制御を教えていただけのはずが、何故その様なことになったのか?


「《…説明しろ。精霊。》」


 泣き疲れたと思われるモエを抱いた木の精霊が我の目の前に立っておった。


 あやつ、何故人には触れれぬと言っておきながら、モエの事はしっかり抱きかかえているのか。…腹立たしい。


 〈……信じられぬ事だが、愛されし子の魔力が人間のそれ以下になったのだ。完璧な別人のそれであった。〉


 精霊は言葉を続ける。


 〈私はこの森の異物だと判断してしまったようで、彼女を害あるものとし、手に掛けようとしてしまった………。詫びのことばもない…。〉


 精霊が我に対しこのように頭を垂れたことなど露ぞあったものであろうか。


 神の選んだ者ではあるが理由はどうあれモエは我の主人だ。


 精霊とは長い付き合いだ。意思ある中で我の主人を怪我させるとは思えなかったために任せたが。

 …事は起こってしまった。


 外傷はないが、精神には負荷がかかってしまったかのように伺える。


 モエは神から授かった子故か、赤ん坊の時よりほぼ泣くことはなく、おとなしい子であった。

 その子が疲れるほど泣き、眠ってしまっているのだ。相当なことだったのであろう。


 木の精霊もそうであるが、我々は自分らの子以外の弱いものを良しとしない。


 もし、木の精霊の言う通り並の人間以下の弱い魔力しか発しなくなるようなことがあれば、間違いなく我以外の者は、モエを殺そうとするだろう。


 我は神からの契約があるゆえ、モエを害することは出来ない。


「《あんな強力な魔力を消し去って別人になんて、精霊さん、疲れてるんじゃねぇーか?んなこと出来るわけがねぇーよ。》」


 ルカは精霊の言うことを疑っている。まぁ、無理もない。


「《我も一瞬ならば可能ではあるのだ。…だがそこにいるはずのモエを認識するも、精霊は自分を止めることが出来ず攻撃を仕掛ける。ともなれば、それは一瞬ではなかろう。…完全に魔力を止めることがモエにはできる、そう考えるべきか。》」


「《マジかよ!すっげぇー!別人になれるんだ?!》」


「《別人を装うことが出来るのはいいが、脆弱な魔力ほど弱い者……。弱い者を近づかせるなど、我らにはありえんのだ。》」


「《………あぁ、つまり?》」


「《そのような別人とやらはエサの対象と言うことだ。》」


「《えぇっ?!!》」


「《そしてそれは精霊にとって、不愉快極まりない事。必然的に異物とし、排除にかかった。》」


 〈……………すまぬ。〉


「《気にするな精霊よ。我が行わなかった事にも、非がある。》」


 神に託された子を普通のように接してきたのがあだになったのだろう。


「《神により直接契約したあの時に、普通ではないと気付くべきであったのだ。》」


 我が行っていればモエは泣く思いなどせずとも済んだであろう。


「《…結局、モエは無事だったんでしょ?》」


 ハルが首をかしげる。


「《どーせ狩られるか、狩られないかの事だもん。モエは狩られなかったわけだし。わたしはそれで十分だけど?》」


「《私もそんな事より昨日の人間の方が気になるよ。》」


 本当に気にも止めていないようで、人間を置いてきたと言う崖の方を見つめるユイ。


 ………いやはや、娘たちは勇ましいな。


「《あなた方が気を負いすぎなだけですよぉ。きっとモエだって、しっかり学べたはずです。制御の成功を祝い、頑張ったねと言ってあげればいいのですよぉ。》」


 レイまで……そのような物なのだろうか?


「《子を信じてあげるのも親の務めですよ。》」


 ふむ、それもそうだな。


「《ねぇー。人間はぁ??》」


 ユイは質問の答えがないことに不満を漏らす。


「《……あれは放置だ。どうしても重要は人物なら、昼までに腕章の者が連絡してこよう。》」


「《えー、つまんないのぉー。》」


 寝転がり足をバタつかせる姿はまさに子供そのもの。ユイは大人びなた姿がほとんどゆえ、珍しいものだ。


 〈………………む?来たようだぞ。〉


「《うわさをすれば、というやつか?物好きよなぁ。》」


 精霊の言葉に我も空を見やる。


 腕章の者が使う從魔、確かレイヴンと言う名であったか?


 50センチほどの大きさで昼にはよく目立つ黒い体をしている鳥だ。

 腕章の者が使いを出すのは実に3年ぶり、モエと出会ったあの日の前日が最後であった。


 レイヴンは木に止まり通信魔法にて、奴との連絡を行う。


 直接話したい者同士だけでは使えず、内緒話等の小声で届ける事も出来ないため使い所が限られる魔法だ。

 だがレイヴンは見た視界を主と共有出来るという。そのおかげで会話は成り立つのだ。


 〔……………もう、殺してしまった。という落ちはないでしょうか?間に合いました…か?〕


 響く音声に子供らは驚き警戒するが、あやつは我らの言葉は理解出来ない。あやつの言葉を我らが理解せねばならない。


 はい、いいえの質問に首降るだけだがな。この質問はどう返事をするべきか?分からんときは傾げるか。


 こてん。


 〔あぁ、すみません。彼は生きていますか?〕


 こくり


 〔無事なのですね!よかった。〕


 ふりふり


 〔えっ、無事ではない?見つけた時には怪我を負われていたと?〕


 こくり


 〔なんということでしょう!か、彼を救出したいのですが、動かす事は可能………ではないですね。フェンリル様に驚き暴れてしまわれるでしょう。〕


 まー、当然だな。


 〔部隊が森に着くまで後2日かかってしまいます。……えっと、出来ればそのぉー……その間の、彼の支援を願えませんか?〕


 この者とも、縁は長い…多少は聞いてやってもよかろう。


 こくり


 〔………えっ!あっ、ありがとうございます!出来るだけ早く参りますゆえ!これにて!!〕


 …レイヴンが飛び立って行く。 





 なんとも、忙しないやつだ。

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