観察
き、緊張で足がぷるぷると震えてしまっています。
しゃがんで覗き込むことにします!
…今の所倒れてる人間さんは起き上がる気配はありません。呼吸は細かく、速くしております。わかるに男性のようではあります。
体格がとてもよく、近づいてしまえばあっという間に殺られてしまいそうです!
早速とばかりにルカくんが鼻先でその男性を突っつく素振りをします。
…あぁ!なんということを!起きないなら起きないに越したことはありませんよ?!
「《一思いに殺しといてやるか?》」
つ、突っついておきながら、なんと怖いことを言うのでしょうか!
いえ、……わ、悪くはありません。私たちはモンスター側です。殺さねば殺されてしまうかもしれない、ですよね?
はっ!そうです!マップを見ましょう!きっとお仲間さんが、載ってる違いありません!!
マップさんカモン!!
ん?…はいはい。……ええ。はい。わたくし、人間さんのマークを登録してませんでしたね。
…ナビさん!出番です!!
【モエ以外の人間又は人間のテイムモンスター=橙色で表記します。】
これで大丈夫です!さてさて何人お仲間が………?
あれっ?おかしいですね。全く居られません。
真ん中に映る崖下の男性とは別にまぁ、と~っても遠い左下の所に違う人間さんが居ることがわかりました。森の入り口付近ですね。森から離れて行っているようです。
ディアさんとレイさんはここより右側の我が家の方にいるので安心です。
人間さんが向かうあちら側にはこの森を管理する街や人が存在するとナビさんが、言っていた事を思い出します。
森に入ったものの危ないと判断し逃げ帰ったのでしょうか?
「《ねぇ、モエあれ!》」
ハルちゃんに声を掛けられ、そちらも見ます。
ボロボロになった1つ目モンスターくんが倒されています。体ばかり大きいモンスターさんで、私たち4人(3匹と1人ですが)で狩る美味しい主食なお肉魔物さんです。1人でも余裕で倒せますが皆で倒す方が楽なのでそうしてます。どうやら、この人たちが倒したようです。
マップでも黒/白で表記されています。意味はモンスター/食べ物です。倒されて無いときは黒表記しかありません。倒されている証拠ですね。
戦闘中に落下して、助けられなくなって見棄てられてしまったのでしょうか?
そんな事を考えていましたら、倒れていた人間さんが目を覚ましてしまったようです!
あぁ!ルカくん離れて下さいぃ!
「……っ!!!」
人間さんはルカくんを見るなり拳を振り回します!…が、上半身を起こすのが限界のようです。体のお腹より下は動く気配がありません。
崖から落ちた時に捻ったか、折ってしまったのかもしれません。
「動けないからとなめるなよぉ!!」
大きな声でルカくんを威嚇します。
「《なんだ、こいつ?うっせぇーやつぅー!》」
ルカくんは声に驚き2、3歩程度後ろに下がり右へ左へとうろつき警戒しています。
うぅん…。ルカくん私以外、人間さん初めてだったりしませんよね?ちょっと逃げ腰に見えますよ?
人間さんの方は腕だけの力で体を引きずり、近くに落ちていた剣のもとへと近づきます。
辛そうな呼吸をしながら左手では体起し、右手では剣を構えようとました。…が、重い剣の先はすぐに地面へと落ち彼を支える為だけの柱と化します。
ええ、片手で両手剣と言われるバスターソードを持つには無理がありすぎます。一瞬でも持ち上げた人間さんスゴイ。
…と、刃のない面に体を預け小声で何やら呟いています。これは詠唱でしょう。顔の前に掲げた腕に魔力が集中していくのがわかります。
私はどうしたらいいんでしょーか?!結界は張ってます!きっと大丈夫なはずです!いえ、このままではきっとダメです!私が他に出来る事はないんでしょうかー?!
…はっ!ディアさんにどうしたら良いかお伺い立てましょう!!そうしましょう!
「《ユイちゃん!ディアさんにこの事報告して!》」
「《殺せばいいんじゃないの?》」
「《ダメです。不用意に人間さんは殺してしまうとめんどーなんです!…たぶん!》」
「《ふぅん?まー、わかった。》」
大きく息を吸い込みユイさんが吠えます。
「わぉおおぉぉぉおぉーーーん!」
「…………………ぉぉおおぉぉーーん。」
遠くから、ディアさんの返事が来ます。
残念な事に私には目の前で話される言葉以外の意味は全くわかりません。いったい、なんと返事がきたのでしょうか?
「っ??!!!」
あっ、そーですよね。今の遠吠えで気づきますよね?人間さんはこちらを凝視していらっしゃいます。
そーです!こっちは4人(3匹と1人)なんですよぉ!だから、抵抗をお止め下さい?!
「《…腕章ないなら殺したっていいってさ。》」
ユイちゃんがディアさんの報告を伝えてくれます。
腕章ですか?…私はじっと人間さんを睨み見ます。
何も、ついてませんねぇー…。
残念ながら、殺してしまう事が確定してしまったようです。
…腕章が破れてしまって今は着いてない。なんてことは無いんでしょうか?…そんなご都合ないですよねぇー。はい。すみません。
「《…会話してみます!ユイちゃんはこのまま警戒を…。ハルちゃん!崖下に下りたいので助けて下さい!》」
「《はぁ?殺すんでしょ?》」
「《腕章の事知ってなければ仕方ありません。実行しましょう…》」
「《知ってたら?》」
「《え、と。森手前まで送ります。》」
「《………わかった。それでいいよ。》」
さすがユイちゃんです!手厳しいのですが「ザ・お姉ちゃん」!
私に諭してくれながらも同意してくれます。
………大丈夫。落ち着いていきましょー。ふーっ!はぁーっ!ドキドキ…




