1-2《陰の実力者》
全『『えぇー!!!!』』
中「本気か!?」
三「1番長く俺と付き合っているお前がわからないわけないだろ?本気だよ。」
中「まじか…。」
大「そんなの無理です!」
大平が一歩前に出て言う、いや叫ぶ。
三「諦めたらそこで試合終了。よく言うだろ?」
大「そう言う問題じゃないでしょ?都大路は県で1校しか行けないんですよ?」
三「あぁ。そうだ。」
大「世羅に勝つって言うんです?無理ですよ。あそこは県内だけじゃない、県外からも有力選手が集まっているんです。」
三「…。」
三鷹が大平の肩をポンと叩く。
大平は感情的になりすぎて三鷹がここに居ることを忘れていた。だからか叩からた瞬間大平は我に返り、目を泳がせていた。
三「陸上は正直だ。才能も糞もない。努力した奴が速くそして強くなるんだ。取り敢えずそれだけは覚えておけ。」
大「え…。」
《センタッキー/18:30》
宮野かけるは日本に来てこのお店ばかり来ている。
そして今日もいつも通りの注文といつも通りの席に座る。
宮「国宝ね。いつになったら戦えるんだか。」
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?「日本か。そいえば日本には国宝と呼ばれる天才がいるらしいよ。」
宮「低レベルの国の天才なんかたかが知れてる。」
?「それが世界の陸上界を揺るがすレベルらしいぜ。」
宮「ふーん。じゃあ日本に帰った時にでも確かめてみるか!」
?「ぜひその結果を聞かせてほしいよ。」
宮「おう!」
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宮(早くやりたてぇ。)
?「強いですよあの人達は。」
宮「ぐおっっ!?」
村「どうも。」
思わず席から立ち上がってしまう。
しかし周りからの視線を受け再び座る。
宮「どっから…てか何やってんだよ。」
村「いや、僕が先に座っていたんですけどね。」
村「君を探していたんですよ。」
宮「俺を…。」
村「出来ればまた今度お願いします。では。」
宮(…。まじでなんなんだ?)
《青葉寮/18:30》
中「で、どうだった?2人は?」
三「予想以上だよ。」
中「それは良かったな!じゃあお前が言う都大路にも出られそうだ。」
三「あぁ。」
中「てか、お前の能力すげぇよな。|他者覗《ステータス
三(本当に予想外過ぎるよ。特に村岡 光にはね。)
三鷹は部屋に戻り机の上に置いてあるノートを見つめる。
[宮野 かける]…全てにおいて常人を越している。天才。国宝?
[村岡 光]…全てにおいて常人以下。凡人。
《双葉高校 陸上競技場/14:45》
部員全員が三鷹を前にして半円を描いて並ぶ。
三「よーし。今日も練習はいつもと違う。」
全『え?』
三「俺は2,3年生の実力は把握しているが1年生の実力はまだ知らない。だから…タイムトライアルをやろう。」
三「2組に分けてそれぞれ2人ずつ先輩が入る。種目は中学の最長3000mでいい。」
その言葉を聞いて1年生は騒がしくなる。
それはタイムトライアルをやるということではなく先輩たちと走るというところにあった。
栗「先輩とタイムトライアルなんて…!」
河「知ってるか?去年は試合に出てないけど中学の時の成績って…。」
河「全員全中出場経験しかも決勝まで行ってるって…!!」
栗「マジで…!?」
河「…ゴク。」
山「ふつーじゃねぇーぞ。」
三(さーて。ルーキー達はどこまでやれるかな。)
しかしそんな中1人だけ熱意が違った。
それは先輩もを威圧するほどに。
宮「ビビるとこじゃねー。相手は遅いより速い方がいいに決まってんだろ。」
大「そうですね。1年だからって舐められても困りますし。」
宮野の勢いに他の1年生も乗り始める。
宮「行くぞ!」
まだ先輩達と練習をして1週間と少ししか経っていない。
なので1年生は中学の時のユニホームを着ている。
先輩達は勿論 双葉高校のユニホームだ。
と言っても普段のポイント練習ではサブのユニホームを使っているのだが今日は特別だ。
三「じゃぁ1組め行くぞ。よーい。」
三「ごーっ!」
その合図とともに走り出す。
今回2年の田中と3年の中島がこの組に入っている。
最初に前に出たのは宮野だ。
中「結構積極的だな。」
田「そうっすね。どうします?」
中「あれはハイペースだほっとこう。」
田「オッケーっす。」
宮野が1000mを通過し7秒後に2位集団が通過する。
通過タイムは2分42秒と49秒だ。
中「ナイスペースだ。」
田「うーっす!」
中島達先輩組はペースを保ったままだ。
差は少しずつ開いていく。
それに耐えきれなくなったのか大平が先輩達を抜かす。
2人が抜かし返さないところを確認するとスピードを少し緩めつつも差は保ったままにする。
田「結構調子乗られてますね。」
中「次が勝負だな。」
三「1500m!4分26秒!」
三鷹の読み上げるタイムを聞き今のペースを再度確認する。
中「行くぞ。」
その言葉と同時に2人はペースを上げていく。
2000m通過の時点で大平を抜かし10m程の差をつけている中島達。
その数m前に宮野が走っている。
宮(…。)
三「残り2周だ!ファイト!」
その時。
中島と田中がスパートをかけ始めた。
中学生には少し反応しづらいスパートにやはり宮野も反応できなかった。
そのため今まで開いていた差が数十秒で無くなった。
宮(マジかよ。てか村岡って奴、先週あんなカッコつけておいて高いんだよ…。ってあれ?)
宮野は周りを見渡す。
残り1000mの時点で村岡は5位集団の中に紛れていた。しかし今、その姿は見えない。
?「そんなんじゃいけませんよ。」
宮 中 田(村岡?!)
村「陰の実力者」
宮(なんだ今のって)
宮(体が軽い?!)
急な展開で力んでしったせいで乳酸が溜まり足の動きを鈍らせていたがそれを無にするかのように軽くなった。
その反対に先輩2人の動きは鈍くなっている。
村「行きますよ。」
宮野と村岡が2人ラスト200mでスパートをかけタイムトライアルは終わった。
三(陰の実力者、か。)
8分26秒。
《センタッキー/18:30》
宮「…。」
宮「…なんでまたいんだよ…。」
村「僕が座っているところに君が来るんです。」
宮「どっか違う席行けよ。」
村「いやです。」
宮「仲いいと思われんだろーが!!」
村「だって僕が先に座ってましたし…。」
宮「…(イラっ)」
宮「ほらよっ。」
山に様に積んであるハンバーガーを1つ村岡に投げ渡す。
それを上手くキャッチする。
宮「先週からお前に疑問を抱いていた。だが。お前のことをそれ1個分認めてやる。」
村「…どうも。」
ハンバーガーを黙って食べる。
場面はその後へ。
ケンタッキーを後にし2人は再び話をつづける。
宮「…『国宝』の話聞かせろよ。」
村「…。」
宮「じゃあ俺が今やったらどうなる?」
村「…瞬殺されます。」
宮「もっと良い言い方ねーのかよ。」
村岡は顔を少し前に食いこなせながら真剣な表情になる。
村「ただでさえ天才たちが違う強豪校に進学しました。」
村「先ず間違えなくその中のどこかが頂点に立ちます。」
宮「…はっははは!いいね、火が付くぜ!そーゆーの!」
宮「決めた!そいつら全員ぶったおして日本一になってやる。」
口元のニヤケ止まらないそして宮野の目は真剣で何より輝いていた。
それを見つめる村岡。
村「無理だと思います。」
宮「うおいっ!!」
村「潜在能力だけなら分かりません。でも今の完成度では彼らの足元にも及びません。」
信号が赤に変化する。
2人はそれの伴い歩をとめる。
村「1人では無理です。」
村「…僕は導くものです。主役の際立たせる者として僕も君を日本一にします。」
2人は見つめ合う。
宮「ハッ言うね。勝手にしろよ。」
村「頑張ります。」