1-1《都大路》
双葉高校は入学式を迎えていた。
1人でも多くの新入生を獲得すべく、各部活動の勧誘活動が盛り上がっていた。
三「じゃあ、ここに名前とクラス、あとは出身中学と動機を適当に書いちゃって。」
受付を済ませた生徒が席を去る。
中「そんな適当にやってもらったら困るんだが。」
三「まぁ、いいじゃないか。それにしても中々の選手だったなぁ。」
駅伝部の受付には2人の男、3年主将の三鷹 龍介とその幼馴染の中島 晃樹が座っていた。
毎年新入生が400人と入ってくるが流石に陸上のしかも駅伝部に入ろうと思う者は少ない。
中「ひーふーみー…っと5人だな。」
三「そーか。もうちょい欲しいなぁ。」
三(勧誘の方はちゃんとやってるのか?
あいつらどっか遊びに行ったんじゃないだろうな。)
藤「キャプテン…。来ました新入生…。」
その声の元を追って後ろを振り返ると…。
2年の藤長 惟喬が目つきの怖い男に首根っこを掴まれやって来た。
?「駅伝部ってここか?」
三「あぁそうだ。」
三(めっちゃ厄介そうな奴連れてきたなぁ…)
その男はまるで目の前に野生のチーターがいるみたいな迫力で狙われるとその者からは逃げられないと言うようなプレッシャーを感じた。
中(なんだ、こいつ!?)
三「まぁ、座ってよ。」
?「いや、いいよ。紙くれ。書いたら帰るわ。」
三「そうか、じゃあ書いてくれ。」
三(中学はイギリスか。あの長距離最強のファー選手がいるところじゃないか。
宮野 かける…か。どっちにしろただもんじゃなさそうだな。)
数秒書いてすぐさまその場を去ろうとする宮野。
三「志望動機はないのか?」
宮「…別にねーよ。どーせ日本の長距離なんてどこも一緒だろ。」
三「…。」
彼の姿が消えた瞬間この場の空気も元に戻った。
藤「こ、こえ〜。あれで高1です?」
中「だらしねぇーなお前は1年だぞ?」
藤「先輩もビビってたじゃないですか!」
中「はあ?ビビってねぇーし!平然だったし!」
藤「いやいや、あれは…」
2人が盛り上がっている中、三鷹がそれを割った入った。
三「田中 承馬はどうした?」
藤「あいつが来た瞬間すぐさまいなくなりましたよ。」
中「はぁー。」
とそこでタイミングよく帰ってきた。
田「うぃーっす!どうでした?あいつ。」
三「勢いがすごい奴だったよ。それでなんだその紙?」
よく見ると右手にはA4サイズ紙を持っていた。
田「あー、うちの入部希望の紙、落ちてましたよ。ちゃんと仕事してくださいよ。」
中「お前には言_」
三「おぉ、ありがとな。」
中島の言葉を遮り紙を貰う。
三「村岡 光…。」
三(ずっと机番していたのに覚えがないな。)
中「っておい!そいつ帝国学園出身だぜ!」
藤「ええっ!?あの有名なですか!?」
三鷹の持っている紙を除いた中島が中島の発言を聞いて藤長がほぼ同時に驚く。
三「さっきの奴はイギリス出身だし、今年の1年はやばいかもな。」
思わずニヤケが止まらない三鷹。しかしそれを無理やりやめようとはしない。
それほどまでに嬉しいのだ。
《駅伝部 部室 / 14:45》
部室の広さは私立とあって教室の半分くらい。
しかし後ろに荷物が置かれてあるので現状はその3分の2程だ。
去年は3年2人2年も2人とスペースに余裕がありすぎて寂しげな感じがあったが今年は6人入ってきたので少し温かみを感じる。
三「よーし、全員揃ったなー。1年はそっちな。」
2,3年生は正面右側は1年生は左側へお互いを見る感じに移動した。
三「先ずは自己紹介からだ。俺の名前は三鷹龍介。この部のキャプテンであり、監督だ。」
1『「えぇー!!じゃあそこにいる人は?」』
三「あー、一応顧問という形でいるだけだ。」
場は落ち着いて次へ。
三「それじゃ、1年の自己紹介だな。」
大「大平 友和です。」
真面目な性格で言いたいことは言う。
村「村岡 光です。」
帝国学園出身の期待値は高い。見た目は気弱そう。メガネだ。
片「片岡 正樹です。です。」
高身長だが猫背が目立つ。少し自信過剰な所がある。
栗「栗松 秋ですっ」
小柄だがやる気はある。運動神経は良さそう。
山「山口 公平っす。」
陸上経験なし。中学はサッカー部。なんでも出来そう。
河「河村 慎之介です。」
堅いがよい。中距離ならどんと来いって感じ。
そして_
宮「宮野 かけるだ。」
堅いも良いが削れている。そして何よりプレッシャーを1番感じる。
三「よしっ。全員自己紹介は済んだ。という事で今から今年の目標を書こうと思う。」
三鷹はそう言い、背後にあったホワイトボードを全員が見える位置に持ってくる。
キュッキュッとパンを鳴らしボードの中央上に大きく。
双『『…!!』』
三「俺たちの目標は[都大路]だ。」