妖○大戦争
五十年くらい前だったろうか?
「妖○大戦争」という題名の映画が公開された。
その映画のストーリーは、
西欧から来た最強の敵を、
日本が迎え撃つ
というものだった。
当時、
子供だった私は、
近所の幼なじみ姉弟と、
一緒に観に行く約束をしたが、
ドタキャンされてしまった。
それからだった。
私の夢の中に、
最強の敵が現れるようになったのは。
その最強の敵は、
妖怪なのか? 神なのか?
全知全能だった。
今、考えると、
キリスト教徒では無い、
ただの子供の私が、
全知全能の存在を、
何故知っていたのか?
不思議だが。
その夢は、
私の前世の記憶なのだろうか?
私は、
世界中を逃げ回っていた。
人里離れた田舎に住んだり、
都会の人混みに紛れたり。
砂漠に隠れていたことも有る。
でも、
最強の敵は、
いつも、私の目の前に、
突然、現れる。
全知全能なので、
世界中が見渡せる。
瞬間移動能力も有る。
その最強の敵がやって来ると、
私は、
ただ、ひたすら、
心の中で、
敵への忠誠心を誓う。
そう。
全知全能なので、
人の心も読まれてしまうから。
怖くて、怖くて。
でも、
その、「怖い」という感情さえも、
抱いてはならない。
敵が全知全能である
という秘密を、
私が知っている事が、
バレてしまうから。
その夢を、
何度も見続けていると、
絶体絶命の状況にも、
慣れて来た。
敵を倒す作戦を、
考える度胸が生まれた。
その瞬間に心を読まれたら、
全てが終わりなのに。
その恐怖にも、
堪えた。
そして、
ついに、
全知全能の敵を倒す方法を発見した。
それから、
夢の中に、その敵は現れなくなった。
今、考えると、
その最強の敵とは、
何だったのか?
手掛かりは、
西欧からやって来て、
日本が迎え撃たねばならないもの
これだけだ。
ちなみに、
大人になって、
「妖○大戦争」のビデオを観た。
私の夢と、
全然、別物だった。