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10 小栗の頭痛

乳母の小栗は頭を抱えている。

あの姫は何を考えているのか、最近は宝珠に会いたいと繰り返し、翠子に選ばれたことなど忘れているのではないか。

18歳で姫の乳母となってから、世間に恥ずかしくない姫になっていただこうと細々支えてきたつもりが、結婚は嫌だ遊びたいのだと男の子のように駆け回り、翠子に選ばれると大喜び、作法や教養をと少し厳しく仕込めば女の子はつまらないなどと言い出す。

少しは姫らしく振る舞えるようになったかと思えば、さっきなど廊下を駆け抜けて裸足で庭に降りたのだ。

左大臣様が開かれる宴の席にお友達を招待するからと、庭の花を押し花にして文に貼っている。

「姫様、庭に降りるなど」

どんなに(いさ)めても「あら、いいじゃない少しだけよ。お庭に黄色の花が咲いていたから、春のお裾分けなの」

中納言家の姫が季節の押し花を文にあしらった事から、都の女性の間で流行りだしたのだという。

「次からは下の者にお頼みください、足や廊下を()かなくてはならない女房達の手間を増やさないでくださいね」

押し花をあしらうなんて私も姫らしい事をしていると思わない?

自信満々な姫に小栗は釘を刺すことを忘れない。

淑やかで高貴な姫君など程遠い菖蒲に小栗は頭痛すら覚えるのだった。


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