インキュバスの店
「アレンはここに来るのは久しぶり?」
「んーそうだな。サラが来てからは全く。」
「子ども好きだったりする?」
「んーどうだろうな。分からん。そんなことより!取り敢えず腹減ったわ。」
「あー言われれば減ってきた。」
「あそこの店、入ろうぜ!」
アレンが指を指したのは精霊たちがお酒を豪快に呑んでいる騒がしい店。
「おう!アレン!久しぶりだな!」
「ラスク。久しぶりだな!」
「こいつは?」
「あーノア。俺の友達だ。ノア、こいつはインキュバスのラスク。」
「インキュバスか………ノアだ。よろしく。」
「ラスクだ。よろしく。」
インキュバスと握手を交わす。ここはインキュバスがやってる店なのか。
「何にする?」
「んー俺はいつもの。ノアは?」
「アレンのと一緒で。」
「はいはい。」
精霊は精霊でも真面目に工程踏んで作るんだな。こういう店には入らないから意外だ。
「ノアはこういう店とか入んないだろ?」
「入らない。幻想体を返したらすぐ帰る。居心地が悪い。」
「居心地が悪い………か。まぁいい気分はしないな。」
「取り敢えずさっさと用を終わらせて帰るから。」
「はいはい。」
その時にインキュバスが頼んだものを出してきた。色はオレンジでカクテルのようなものだったが味は全くしない。
「味、しないだろ?」
「こんなものが好きなのか?」
「んー好きってわけではないんだけどな。なんか癖になるっていうか。」
「癖になる?これが?」
「飲み続ければな。」
「インキュバスの毒牙にでもかかってるんじゃないか?」
「俺はそんなことはしねーよ!ノアって言ったっけ?」
インキュバスが急に話しかけてきた。そしてポケットから何かを取り出した。
「これ、アレンかノアが尋ねてきた時に渡せって変な気味悪いおっさんに言われたの。」
「鍵か?」
「鍵のようだな。」
渡されたのは謎の鍵。この鍵と言い、さっき赤鬼から貰った宝石と言い、何に使うか全くわからない。取り敢えず受け取り、店を出た。
「本当、この鍵ってどこの鍵なんだろうな。」
アレンが鍵を見ながら言う。
「さぁ。」
「本当、気味悪。けど持っとくしかねーよな。」
アレンは仕方なしにポケットにいれる。
「さてと次はどこに行く?」
「………会いたい奴がいる。」
「了解。」
あいつなら知ってるだろう。カルの居場所を。