カルの記憶
僕が辿り着いたのは暗い森の中。少し目を凝らすとカルがいた。小さい頃だろうか。まだ小さく可愛らしいカルがいた。すると後ろから声がした。
「カルはよく売れるからな。子どもより大人の方が高い。」
「やっぱ綺麗だー!」
「これで暫くは生きていけるな!」
あの制服はLateの制服か?なんでLateが幻想体を殺してるんだ?幻想体は規則で殺してはいけないはずだ。ただ噂で聞いたことはある。カルは高値で悪魔に売れると。あれは私利私欲のために殺したというのか。
「………最低………」
ただこれは記憶だ。僕は見ていることしか出来ない。幻想体を殺すのは許せない。ただ見ることしか出来ない自分に腹が立った。
カルは泣いていた。大声で殺され連れ去られた親の方向を見て泣いていた。触れることも出来ない自分に腹が立つ。同じLateの保護官として情けなかった。
カルはみるみるうちに大人に成長していった。その時には上手く人間の夢も食べることが出来ていた。するとまたLateの保護官が彼の元へやってきた。
「いたいた!」
「あれは高値で売れそうだぞ!」
「さてと手早く終わらせますか!」
またLateの保護官が殺しにかかろうとした時、彼は投げ飛ばした。保護官は目を見開いている。そうして彼は一言二言………
「親を殺した恨み………晴らさせてもらう。」
保護官の頭を手で強引に掴み、夢を吸う。3人いた保護官の全員の夢を吸い、寝かせたまんま無残に身体を引き裂いた。
カルがここまで人間にするのは珍しい。夢を吸って放置するのはよくあるが、身体まで引き裂くのは初めてだ。そんな過去がカルにあるなんて…………って見てるところ違うけど。全く僕の夢に関係ないところだけど。メル様は記憶の操作は出来ないのか?
そんなことを考えてると遂に僕が出てきた。確かにそこは僕と博士の家で僕は死んだように寝てる。カルはそんな僕に近づき、夢を吸ってすぐに消えた。だから自分がなんでアレンの家の前で寝ているのか分からなかった。
また場所は変わり、地獄か?ここは。カルはまだ夢を食べてない。
「あれは………ゼウス様?」
人間化したゼウス様が出てきた。第3の目を使って分かった。なんでゼウス様が?
「その夢くれない?」
「は?何を言ってるんだ。」
「高値で買い取るから。」
「ならやる。」
「これでやっと会える、失敗しなくてすむ………あぁ何でもない。」
ゼウス様が僕の夢を?なんで?どういうこと?そこでカルの記憶から解放された。