悪魔と保護官
アレンの言葉に驚く。夢を食べられたと言って何故、悪魔が出てくるのだ。まさか………
「アレン。君はもしかして………」
「あぁ。ノアが想像しているのはArcのことだろ?」
「な、なんで………」
「俺はそこの保護官だ。」
その言葉は僕にとって有り得ない、信じ難い一言だった。
Arcとは幻想体保護施設のことで幻想体……いわば妖精や悪魔、精霊などを保護するところ……とは名ばかりで本当は幻想体を実験体にし、幻想体を傷付ける施設である。そして幻想体を保護をするのが保護官であり、保護官はこのことを全く知らない。
僕はそれに対抗する極秘施設、Lateの保護官だ。Lateは幻想体を保護するとその保護官が責任をもって幻想体を元の世界に返すという仕事をしている。だからLateに所属する保護官は数少ない。
「Arc…………」
「あぁ。ノアもArcに所属しているのか?」
アレンがそう聞くのは保護官同士での接触が全くないからだ。
「あ、あぁ。僕もArcの保護官だ。」
「そうか!俺、初めて仲間に会ったな。」
喜んだようにアレンは手を差し伸べてきた。
「は?」
「握手だ。握手。」
「なんで?」
「初めての仲間と歓迎の意味を込めて。」
「そうか。」
照れくさそうに差し伸ばされた手を僕たちは握り合う。ただ、幸せなのはそこで終わりだ。
「で、ノア。お前の夢を食べたのは良いほうか?悪いほうか?」
「悪いほうだ。」
「悪い方!?それはすぐにでも阻止しなければ………」
夢を食べる悪魔はこの二種類しかいない。良い方の悪魔、ムクは悪い夢を食べてくれる。
悪い方の悪魔、カルは何でも人間の夢を主食として、悪い夢もいい夢も食べる。カルに食べられるとその夢を取り返さない限り、詳しいことはまだ判明していないが命の危機に晒される。
「取り敢えず幻想世界に行こう。」
「待て、アレン。」
「なんだ?急がなければノアの命はなくなるぞ?」
「その前に一つ、ここに来てから気になることがある。」
僕は一瞬、外の庭で遊んでいるサラを見て、確信したように言った。
「サラは人間じゃない。そうだろ?」




