表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルタワグナー戦記  作者: H氏
シーズン1 皇女慟哭編
8/56

1010小隊

ドルタスウォンの精霊機はアルタワグナーの大地に砂塵を舞い上がらせ、共和国1010小隊ののトレーラーに向け高速に走るその距離五キロ!!


ドルタスウォンは歯を食い縛り、「カル!」ただ友の名を思う!「風よ吹け我を前に!」、ドルタスウォンは精霊に祈り風が答える、


ブゥワアアァァァァンン!


ドルタスウォンの精霊機は風で持ち上がり一気にトレーラーとの距離を詰める、その距離五百メータ!!先頭のトレーラーの運転手は突如現れた精霊機にあわててブレーキを踏む!!タイヤがロックされトレーラーは大地を滑りながら減速する!


ズズズズズズズズズズ!!!


続く二台めのトレーラーの運転士は先のトレーラーが急減速をしたのであわてて急ハンドルし、トレーラーはその急な方向転換に耐えられず傾き横転そして二つに割れる!


グウッワガガガガバアキィンン!


その光景を見たドルタスウォンは勝利を確信して我が友より託された思いが今達成する事を信じて叫ぶ!


「我らの命は鬼神の足止め!!!」


ドルタスウォンの精霊機が先頭のトレーラーを破壊するために両腕の精霊短刀を高く掲げた、その瞬間!!


ダガガガガガガバキバキバキンンンン!


精霊機の脚が轟音のもと砕け散る!!!


精霊機全体に響き渡る豪振振り回されるコア乗り手のドルタスウォンが驚愕し「何いっ!!鬼神の攻撃かぁ!!!」ドルタスウォンは急いで回りを見るも鬼神その姿無し、ただ正面に共和国の管制機、「黒も白もいない!鬼神はどこから、前か?わからん!だが我らまだ終わらん!終われん!!」精霊機は前のトレーラーを破壊しようと精霊短刀を投げる瞬間、


ダガガガガガガァァガキガキガキインンンン!


精霊機は豪音をあげて穴だらけとなり!


精霊機のコアも破壊に耐えられずドルタスウォンと共にチリとなる、チリになる瞬間ドルタスウォンは思う我が友を愛する家族を尊敬する師団長をそして皇国の未来を、


精霊機より出るは数多の一筋の煙りやがて煙りは収まり残るは形なき精霊機の残骸のみ、それもやがてはアルタワグナーのチリとなりて消える。


管制機『天照』のミヨコ、「なんだぁ!なんだぁ!!この揺れ、この音!!!」堪らずアズマの方に振り向きながら大声で、「アズマっち、じゃなくて、シンさんって!」、アズマは鼻血を出しながらタバコを吸っている。


バアツシュウウウゥゥゥンンン!


右腕のレーザバルカン砲がオーバーヒートする、ミヨコは驚愕してパネルを見る!「えええええええええっ!!!」点滅するランプは使用不可の四文字!


再びアズマに振り向き、「大変だ、アズマっちバルカンが!って、なにのんびりタバコ吸ってる!!ここは禁煙だ!!!」『天照』の複座操縦室に皇女と張り合ってアズマをシンと呼ぼうとしたが、ヤッパリ無理なミヨコの大声が響く。




そして、ここより二十キロメータの北に三体の精霊機真ん中で先頭を行くは、


『大撃壊砕ジャンベルネ』


右に行くは大猿型精霊機、武器は精霊斧、左に行くのも大猿型精霊機、武器は精霊槍、


右に騎乗するは皇国第七機甲精霊師団第二機甲大隊、大隊長、髪は短く鍛え上げられた身体は頑強、特長は顎髭、額にある精霊紋は赤黄、その名は、


『赤黄のダルガルフォン』


左に騎乗するは第四機甲大隊、大隊長、髪は無く鍛え上げ身体は頑健、特長は全身の傷痕と師団一の無口、額にある精霊紋は黄青その名は、


『黄青のゼンゲルフォン』


ダルガルフォンは地平線に上がる二筋の煙りを見ながら、「遊撃隊は成功したようですぜぇ、お嬢!奴等の動きが止まった!」、サリィオリフィンもその煙りを見ながら少し淋しそうに、

「ああ大地の精霊様から聞いた、カルもドルも一足先に親父様のいるバルハラに行っちまった。」、それを聞いたダルガルフォンは自分に言い聞かせるように、「お嬢!気にすることはねぇ、奴等も軍人死ぬ事は覚悟している!」


ゼンゲルフォンは、「・・・」何も語らず。


サリィオリフィンは心の中で、分かってる分かってるんだよだけどねぇ幾ら志願してくれたからと言っても私の為に犠牲になったアイツラが其を納得してバルハラに行ったのか、・・・知りたいんだよ、ダル・・・と語るサリィオリフィンは此れから相対する皇女と共和国の鬼神に思いを馳せ一人地平線を見続け語り続けるされど地平線からは返る答えは無くその光景も永遠に変わらずただ時は過ぎる。


アルタワグナー中央平原南東、砂塵を舞い上げて進むは三体の精霊機彼等が行くは遊撃隊が命を掛けて立ち止まらせた1010小隊のいる場所、その場所まであとわずか。




そして、再び1010小隊、


スミカの怒声が荒野に響き渡る、

「イシダ!被害情況報告!!」、襲撃そして急停止その後の豪音に急いで第一トレーラーの隊長室より出て見れば前に破壊された精霊機の残骸、後ろは横転して二つに割れた第二トレーラー、続く第一トレーラーに待機していた整備班班長イシダもトレーラーより降りてその光景に愕然とする、スミカは直ぐにイシダに命令を下した。


調査したイシダがスミカに報告する、「トレーラー大破使用不可、運転士及び整備員四名軽症、よかったですねんスタッフルームの安全装置ルームエーアバックが作動しよりました、皆無事ですねん。」


スミカは安堵しながら更にイシダに聞く、「皇女の『銀狼リイガルバイア』は大丈夫か?」、彼は頭をかきながら「専門じゃないのでわかりまへんがたぶん大丈夫とちゃいますか、それよりアズマはんの森林伐採作業機がおじゃんですわ。」、スミカは興味なく、「あれは捨てるからいい!」


その頃、管制機のコックピットのアズマとミヨコは、「えっ、アズマっち降りるの!」とミヨコはアズマが席を離れようとしているのでダダをコネルがアズマは表情変わらず「外が心配だから俺も出撃準備をする。」と答えたのだが恋するミヨコは外がを皇女がと勘違いして「私も降りる!」、アズマは「えっ?」


更にその頃、第一トレーラーの客室、

リルフィン師団長は急停止で投げ出されたレインファン皇女を受けとめ抱き抱え、落ち着いたレインファンはリルにお礼を言う、「ありがとうリル、お陰で助かったわ」、リルフィンは「お怪我が無くて幸いです、しかし皇女皇子殿下が乗っているのに何故急停止をした襲撃か?」と口に出し、マーシフォン殿下を受けとめたフェンファンは「たぶん」、床より立ち上がったリィーファン皇女は「あの砲音はアズマ様です、たぶんアズマ様が私達を救ったに違いありません!」、リルフィンは「えっ」、皇女の鬼神好きは有名だが此処までとはと思って呆れる、リィーファンはそんな事お構い無しに「リル、私、外の様子を見て来ます!」、慌てるリルフィン、「皇女殿下!お待ち下さい!フェン後は頼む!」と皇女を追いかけフェンファンはただ「了解」



スミカは焦っていた先頭を走る皇女殿下が乗る第一トレーラーは奇跡的に無傷だったが、度重なる襲撃で予定は大幅に遅れここに来て第二トレーラー迄失ったそして皇女の象徴たる、『銀狼リイガルバイア』を捨てるわけにはいかずアズマの解体作業巨人機を代わりに捨てる決断を下したが応えるは整備班、班長イシダ、「無理!!、絶体無理!!積み替えに十五分無理ですねん!最低一時間、いいですか壊れたトレーラーから出すのに三十分、第一トレーラーに入れるのに三十分は掛かりますねん!!」、イシダは技術屋だから慎重である。


そこへ管制機から降りてきたアズマとミヨコ、

外の様子伺うためにトレーラーの客室から出てきたリィーファンとリルフィン、リィーファンを見つけたアズマは「リィ!大丈夫だった、急に止まっただろうレインちゃんとマーシ君怪我してない?」リィーファンはアズマが自分の心配をしてくれたのが嬉しくて、「はい、アズマ様が守っていてくださったので、」、横のミヨコがそれを聞いて呆れて、「リィちゃんこいつ鼻血出しただけで何にもしてないから!」、と否定しまくり、この三角関係のバカップルのような会話を聞いたスミカは一段と腹をたてて、イシダに、「アイツ!!、アズマにあの作業巨人機を操縦させて一刻も早く移せ!!」、そんな八つ当たりされたイシダは、「えぇぇ!!あの巨人機、解体現場用の奴ですねん四つの腕にチェーン式の鋼玉が四つ有るだけで肝心のお手手が無いんですよ、どうせぇ言うんですか!」、と相変わらず賑やかな1010小隊。


自分が原因だと気づかないアズマはタバコを口にくわえながらスミカの慌てぶりを眺めていたが、ふと地平線にたつ砂ぼこりが目に留まり、「スミカちゃん・・・あれ、」と地平線を指差す、自分の名前を子供っぽく呼ぶアズマを怒鳴ろうとアズマの方に振り向いて、「アズマ!ちゃんと呼ぶな、・・・!」、スミカもアズマの指先の巨大な砂埃に気づく!


砂埃の中か三体の精霊機、その中で他より三倍大きい中央の機体、


ミヨコと乙女トークで盛り上がっていたリィーファンもアズマとスミカの沈黙に気づき地平線の砂埃に目をやる、そして中央の一際巨大な精霊機を見て「あれは、サリィ姉さんのジャンベルネ!!!」、とリィーファンは叫ぶ!



今、アルタワグナの半島の昼の暖かな空気の中に一陣の冷たい風が吹く、


その風が小さな竜巻を作り、


やがて巨大な竜巻になる事を、


誰も、知らない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ