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アルタワグナー戦記  作者: H氏
シーズン1 皇女慟哭編
7/56

高速遊撃隊

1010小隊とリィーファン皇女の一行がネオホンコンを離れて三日めアルタワグナー中央平原の南東にある半島に差し掛かる手前に砂塵を舞い上がらせて高速に移動する二体の多脚型精霊機あり、機体の所属は第七機甲精霊師団高速遊撃隊、その任務は先行して共和国の鬼神の足止めをする事!


一の乗り手は第三遊撃隊の隊長、口髭を生やし遊撃隊一の洒落男その精霊紋は白緑、


『白緑のドルタスウォン』


二の乗り手は、第五遊撃隊、隊長、童顔で、遊撃隊一のちび、その精霊紋は黄土、


『黄土のカルセルウォン』


彼らはお互いに精霊を介して会話する、「なぁ、ドル、結局師団長は部隊を動かさなかったすねぇ、」とカルセルウォンはドルタスウォンに師団長が一人でこの任務をやりとげようとする姿勢に対して愚痴を言い、「あたりまえだ!部隊には皇女殿下を慕っている者も多い皇女派は皇女を庇うから、もし師団長が師団を動かしたその時は部隊は皇女派と兄皇派に割れる!」、ドルタスウォンは師団長のサリィオリフィンを庇う、そしてドルタスウォンは目を瞑り、「だから、師団長は一人で動こうとした!バイフォン翁も同じ気持ちだったはずだ」と誰に言うのでも無く一人呟く。


カルセルウォンは無限に続く平原の地平線を見ながら、「そうすっよねぇ、鬼神ならともかくあっしも皇女とは戦いたくねぇすよ。」と言えば、ドルタスウォンは笑いながら「カルの皇女好きは有名だからな、部屋中皇女殿下の絵や人形があるし、それに殿下の好きな鬼神ならそりゃ殺りたいだろうし」、カルセルウォンはからかわれた事に少しムクレて、「失礼すよドル、ファンと言ってくれっすよ、それにプロマイドとファギアと言うんすよわざわざホンコンから共和国製を取り寄せたんすよ。」、ドルタスウォンはちょっと驚く、「えっ、共和国製?何で?」、カルセルウォンは得意気に「皇女は共和国でも人気なんすよ、ただシャクにさわるのが何故か鬼神とセットのグッズが多いんす、もちろん鬼神は捨てるっす。」、これを聞いたドルタスウォンは悲しげに、「共和国はこの十年皇女殿下の事を我らよりも知っているのかも知れない、それに引き換え我ら皇国は兄皇と皇女殿下の溝が深まるばかり、」、やがて本当に皇国は二つに割れるそう思い心が重くなるドルタスウォン、場は重くなり沈黙が続く、


そんな空気を気にして、「なぁ、ドル、鬼神、つぇすかねぇ。」とドルタスウォンに聞くカルセルウォン、ドルタスウォンは首を振り、「わからんドルガァータが言うには、今回翁の精霊機は黒と白の最新巨人機そいつらに殺られたと言ってる。」、根が明るいカルセルウォンは明るく、「白と黒ねぇ、まぁでも師団長よりは強くねぇすよねぇ。」、その明るさに救われるドルタスウォンは頷きながら、「当然だ我らの師団長は共和国の鬼神より強い!!」




彼らは1010小隊のトレーラーより先行する事三十キロメータで停止し、ドルタスウォンが、「作戦開始、潜航形態!!」と呼称する、カルセルウォンが「潜航形態!!!」と呼応する。


ズズズズズズズガキンギギギギィィィ


多脚型の上部の人形が伏せた形になり、ムカデ型の下部に収納され二人は同時に、「潜航!!」


ドガゴゴゴゴゴオオオォォォォガガガ


それぞれ十本の脚が高速に動いて、大地を削り岩を砕き土砂が舞い上がる徐々に精霊機の巨体が大地に沈むこと十メータ、カルセルウォンが、「盛れ大地!!」と叫ぶ、


ズズズゴゴゴゴゴオォォォォ


土が巨大な穴を隠しドルタスウォンが、「吹けよ風、隠せ我ら!!」


バヒュウウウウウウゥゥゥゥゥ


風が余計な土を吹き飛ばし平原に吹き上がり、そして大地は平らになる。




そしてそれより二十キロメータ北、我らが1010小隊先行するは、『黒竜』、『白凰』、続くは巨大トレーラー二台、補給用トラックは補給物資を使い空になった二台のトラックを乗り捨てて残るは一台のみ、先頭のトレーラーには、管制用巨人機と二台目のトレーラーにあったアズマ用の最後の解体作業用巨人機を先頭のトレーラーに移し常時出撃体勢をとる、後ろのトレーラーには皇女専用精霊機『銀狼リイガルバイア』と予備に応急修理された森林伐採作業用巨人機が格納されている。


管制用巨人機『天照』、複座式管制索敵特化型その特長は背に背負う巨大な円盤、深層断層六次元レーダー、そして六機のドローン、武器は片腕三門合計六門のレーザバルカン、


トレーラーの天蓋を開け、『天照』は絶えず周囲を索敵する、複座に座るは索敵と情報管理を担当する前をミヨコ、攻撃と防御を担当する後ろをアズマが座る、ミヨコは必死にパネルを操作しながらもアズマと皇女の関係が気になりあまりパネルには集中出来ず遂にミヨコは堪らずアズマの方に振り向いてまたパネルに向かい一言、「だからぁ結局、アズマっちは姫様の事どう思っているのょ!」、突然の振りに女心の分からないアズマは面倒くさそうに頭の後ろに両腕を組、目は天井を見て、「どうって、ミヨっち会ったばかりだぜ、相手は皇族だよ映画じゃあるまいし、それよりタバコ吸っていい。」、


そのアズマの返事に気を良くしたミヨコは直ぐにアズマに振り向いて、「タバコは目に染みるからダメェ!じゃあ、ねぇねぇアズマっち、私もアズマっちのこと、シンって呼んでいい!!」、アズマは目だけミヨコに向けながら、「別に構わないけど、」、指で前のコックピットのパネルを指しながら、「パネルが、ピコピコ光ってるよ?」


「えっ!!」


ミヨコ、直ぐにパネルに向かい「ヤバイ、敵だ!!」、マイクに怒鳴る!「敵発見!!!前10、深度下10、数2!!!」


直ぐに『白凰』コトエが反応する!『了解!迎撃します!!』、『白凰』は腰部のスカート型ホーバを一気に全開にする!


バアフゥゥゥゥゥンンンンンン!!!


『白凰』は一気に高度百メータに達すると、弓型レーザ砲『シラバ』を構える!!コトエ、音声命令で叫ぶ!!「多段貫通型切換、数二、位置前十、下十、照準自動、即時発射!!!!」


バアシシュバシュシュシュュンンンン!


二本の光彈が空気を削り衝撃波を撒き散らし、一直線に地下深く潜む精霊機へと向かう!!


その光彈に精霊達が騒ぎドルタスウォンは直ぐに『白凰』の攻撃をカルセルウォンに知らせる知らせを受けたカルセルウォンが叫ぶ!「割れろ!大地!!」、二体の多脚型精霊機は一気に浮上するも、時既に遅く光彈はムカデ型の下部を撃ち抜く!!!


ズゥドドドンンン!!!ズゥドドドンンン!!!


「切り離し!!!」ドルタスウォンとカルセルウォン、同時に叫ぶ!!人形の上部が切り離され高く舞い上がり、


グルンガキィンドオズゥゥゥンン!!


二体の人形は収納されていた人形の下部を瞬時に出して大地に地響きをたてて舞い降りる!!カルセルウォンの人形精霊機はその場に立ち止まり、「行くですよ!ドル!!此処はあっしが!!!」と叫ぶ!


「おう!!!」、ドルタスウォンの精霊機はカルセルウォンをその場に置いて人形の脚を腕を高速に可動させる向かうは1010小隊の先頭をゆく巨大トレーラー!その精霊機は大ジャンブと風の精霊の加護を受けて、現場に向かって行く途中の『黒竜』の前から消えるそして現れたのは其処より五キロメータ北!


走りゆきジャンブして消えたドルタスウォンの精霊機を目で確認しながら己の役割を果たさんとカルセルウォンは吼える!「せめてあっしが!黒だけでも!!」、カルセルウォンの精霊機が砂塵を巻き上げて、 


グウッワッダッタンン!


大ジャンプをし遅れて到着した『黒竜』に両腕に持つ精霊短刀を翳す!!『黒竜』は全身を屈め唸る!!!


『抜刀光刃豪速改』!!!


発光する大剣クサナギが巨大な光の半円を描き、


その瞬間、カルセルウォンの精霊機の下半身が飛ぶ!!!


ズウッパアァァァァァァァンンンン!!!


精霊機の下半身が落ちる、ズダウンンン!


精霊機の上半身が落ちる、ドウンンン!


『黒竜』は大剣クサナギを精霊機のコアのある腹部に翳す、降伏せよと!あぁしかし全身血だらけのカルセルウォンは笑う、「甘いっすね敵は止めを刺すもんすよ、こうゆうふうに!!」


その瞬間、精霊短刀が『黒竜』に伸びる、


ズドン!!!!!!!!!!!


精霊機のコアが、弓型レーザ砲『シラバ』に撃ち抜かれる!!!


『シラバ』より立ち上がる一筋の煙り、コトエは一人、囁く、


「情けは一度だけです!」


そして、二つに切られた、主のいない精霊機は、ゆっくりとその動きを止めて、やがてアルタワグナーの大地の土となる。




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