表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルタワグナー戦記  作者: H氏
シーズン1 皇女慟哭編
5/56

黒銀と金赤

アルタワグナーの中央平原にバイフォンの頭が落ちた時、闇より二の腕が伸びてその頭を掴み獲る、今だ放心冷めやらぬ皇女リィーファンが叫ぶ!


「ドルガァータ!!」


リルフィンが白く紫に光る『紫光刀カーネルレイヤ』を抜刀する!


死の守り手であり闇と黒の精霊グランディーネの眷属、ドルガァータ、その精霊紋は漆黒、黒のケープに黒き眼だけを覗かせ、


「バイフォン翁、しかと見届けた国を見捨てし不義不忠の皇女の行いさぞ悔しかろう、我等はこれを兄皇様に報告する義務がある!」


リィーファンは震える手を握り締め、「謀ったな!ドルガァータ!!此れもお前達の奸計なのか!!一体お前達は何処まで私を苦しめれば気がすむんだ!!!」皇女リィーファンは怒鳴るされどドルガァータは表情一つ変えずに答える、「これは異な事を我は翁に呼ばれし此処に参った、翁を手に掻けたるは元皇女とそこの人族、」


アズマもまた『軍刀カミカゼ』を握り締める、


ドルガァータは更に続ける、「闇は争わぬ闇は光の裏側に在るだけ、闇はその深淵を見るだけ、」、リィーファンはドルガァータを睨み付け「戯れ言を!!」と叫ぶがドルガァータは中央平原の闇に溶け込みながら、「我は、グランディーネ様の赴くままに、」


バシィッ!!!


リルフィンの『紫光刀』から大地を抉る紫光が闇を切り裂くも遅く、「・・・逃がしたか」とリルフィンは呟く。


やがて切れぬ闇は薄くなりそして、消える。


「ドルガァータァァァァ!!!」


アルタワグナーの暴雨吹き荒れる平原にただ、悲しみと苦渋に満ちた皇女の声が響き渡るのみ、





時を同じくして、アルタワグナー北部にある、


華麗にして、壮大なる皇国の皇都モスコー


その中央にある白銀と白金が網目状に重なるように表面が装飾されている巨大な円形状の高き建造物、


皇宮グラスコー


遥か雲海を越えた皇宮グラスコーの頂点にあるは、蒼白き透明な外壁で作られし、


玉座殿スカルスコー


そこにいるは一人の美情夫、その服飾は黒、黒銀の髪に、蒼黒の瞳、額の精霊紋も蒼黒、


彼の名は皇国の次兄皇、希代の策士にして権謀家、


『黒銀のオリィフォン』


付き従うは白き美肌に黒き髪の美女その服飾は同じく黒、黒のマントに、黒き瞳、碧黒の精霊紋を持つは、皇国、黒の近衛師団、師団長、


『雷黒のエルバリフィン』


エルバリフィンは上座にある白金の玉座を指して、オリィフォンに聞いた、「オリィフォン様は、何故玉座にお座りにならないのですか?」オリィフォンは、考えながら、「うぅーん、僕としては父皇は亡く兄皇も遠征中だからこの椅子に座ってもいいんだけどねぇ、ただ、この椅子と皇国はやっぱり兄皇のものだよ、エル。」


それを聞いたエルバリフィンは悲しげに、「では次皇様は皇王にならないと、」とオリィフォンに言うも、彼は首を振りながらため息を付いて、「エル、興味が無いんだよなぁ皇国も、皇王も、もし僕が望むとしたら全妖精がその名の元に膝まずく妖精王オベロンの真名だけかなぁ、それもすごく欲しい分けじゃない、まぁグランディーネ様がそれを望まれているならねぇ貰ってもいいかなって程度」


オリィフォンは何か言いたげなエルバリフィンを手で制して、「もうこの話しはよそう、エル、さぁ軍義を始めようか、ドルガァータ!」


『玉座殿スカルスコー』の白き石の床に浮かび上がるは十二の影、その影より出でるは十二のドルガァータ!


「では、報告をしてくれ、」

次皇は促すように手を振った。


正面より時計回りで三番目のドルガァータが発言をする、彼等は番号のみで呼ばれ名前はドルガァータに成った時失われる「三が報告します、ネオホンコンが共和国に奪われました。」


オリィフォンは頷きながら、「それは予想通りだ、妹もいないしね。」更に時計回りで五番目、「五が報告します、兄皇様がネオパリを落としました。」オリィフォンは驚きながら、「それはおかしい早すぎる!戦いはどんな状況だった!」、オリィフォンは身をのりだし続きを促し五番のドルガァータが答える「戦いはありませんでした。」


オリィフォンは驚いて、「えっ!共和国はネオパリを放棄したのか?」、五番のドルガァータは静かに答える「はい、ネオパリには無人の巨人機だけでした。」、オリィフォンは考える、「?共和国は、ネオパリよりホンコンのほうが大事なのか?何故だ?・・・次。」


時計回りで七番目のドルガァータ、「七が報告します、リィーファン皇女が共和国に亡命しました。」と静かに報告する。


「えっ!!」


オリィフォンは驚愕して、「亡命?何を言ってるんだ私はバイフォンに、リィを皇都に連れて来るように命じたはずだ!彼は何をしている!!」七のドルガァータは更に静かにバイフォンの首を出し、「彼は、此処に、」その首は何も語らずバイフォンの首を見たオリィフォンは目を見開き、「・・・あのバイフォンが、・・人族に負けたと言うことか!あり得ない!あり得る筈がない相手は誰だ!!」と怒鳴るが七のドルガァータはただ真実のみを応える、「共和国の鬼神にてござりまする。」


オリィフォンはこの報告に愕然として七のドルガァータに再度問う、「共和国の鬼神って、唯一、リィがホンコンで引き分けたあの共和国の化け物の事?」、七のドルガァータは繰り返す「そうでござります。」、その答に納得しないオリィフォンは再度ドルガァータに怒鳴る、


「おかしい!!絶体おかしい!!!なんだそれ、やっと父皇がいなくなってホンコンから妹のリィを僕のもとに呼べると思ったのに、何でここで鬼神がソイツが出て来るんだ!!!」オリィフォンは思い通りに成らない怒りを七のドルガァータにぶつける!


その様子を横で見ていたエルバリフィンは、呆れながらオリィフォンに告げる、「ですが次皇殿下、リィーファン皇女は共和国の鬼神に恋い焦がれている皇国の民の間では有名な話しですよ、もしネオホンコンで二人が出会えば妹皇様も妖精族の女として情熱的になり共和国の鬼神に付いていく、あながち亡命も当然かと思いますが。」


オリィフォンは少し落ち着きながら「それは只の噂だよ、エル、リィが共和国の化け物を好きになるはずがない!!」、オリィフォンは腕を組んで顎に手をやり、「だいたい出来すぎだ・・・共和国はネオパリよりホンコンが大事でその直後にリィが亡命・・・・・・そうか!共和国にとって重要なのはホンコンじゃない、リィだ!!」


エルバリフィンは更に呆れて、この次皇の唯一の欠点である重度のシスコンが無ければと思いながら、「考えすぎでは、」とオリィフォンに諭すも彼は聞く耳を持たないしエルバリフィンに向かって、


「エルも父皇も兄皇も、皆リィの事が分かっていない!!!リィは漆黒に愛されている!!更にグランディーネ様もリィが闇に染まる事を望まている!僕にとっては絶対に黒のドレスをまとった、『暗黒のリィ』が必要なんだ!!だから僕は、リィを彼女を真の闇に導かなければならない!!!これはとっても重要な事なんだよエル!」、オリィフォンは一気に捲し立てた。


エルバリフィンはこのシスコンは治らないなぁと思いながら、「では、どうなさいますか?」とオリィフォンに聞くが彼は少し考えて、「リィを取り戻すとして、・・・そうだ、確かバイフォンの娘が軍人だったよね、」、とエルバリフィンに問い「はい、確か南方戦線の第七機甲精霊師団の師団長をしていた筈ですが、」と彼女は答える。


オリィフォンは手を叩き「それでいこう、親の敵ってねうんいい考えだ!」と自ら納得した。


更に軍義は続く、




再び、時を同じくして、


皇都モスコーの遥か西、


十万の精霊機軍団に囲まれたネオパリ、


その中心にある凱旋門に、黄金にして一際巨大な人形精霊機あり、


皇王専用精霊機『皇黄神精バルガディアス』


その開かれた腹部のコアに立つは二影、


一つは巨漢にして頑強な美情夫、その服飾は赤、金赤の髪に、蒼赤の瞳、額にある精霊紋は黒赤、


彼の名は皇国の兄皇にして、希代の野心家、


『金赤のガリィフォン』


二つは薄黒き肌に赤き髪の美女、その服飾は赤、同じくマントも赤を纏い、その瞳は真紅、額にある精霊紋は碧赤、


彼女の名は皇国、赤の近衛師団の師団長、


『豪火のベルエリィフィン』


そして、『バルガディアス』の足元には一際黒い一つの影、


『ゼロのドルガァータ』


ガリィフォンは遠く東の地平を睨みながら、「そうか、バイフォンは妹の始末に失敗したか、・・・ままならないものだな兄弟達の始末も、」ベルエリィフィンは、静かに伺う、「いかがなされますか、妹君の処分は、」ガリィフォンは、ベルエリィフィンを見ながら、「まぁ、共和国に逃げたなら共和国と一緒に始末すればいい、今は放っとけ。」そして、視線をドルガァータに戻して、「但し、ドルガァータ、妹達が妖精王に関わるならその時は速やかに消せ!」


漆黒のドルガァータは膝まずきながら、「御意に、」


ガリィフォンは腕を組ながら、「しかし気になるは共和国の鬼神、奴は何故、今表れたこの新たなる妖精王オベロン創造の時代に!・・・光かそれとも謎の精霊が関わっているのか?分かるかドルガァータ」ドルガァータはうつ向きながら応える、「残念ながら、計り兼ねます。」


ガリィフォンは目を閉じ、「そうか、」


そして目を見開き、「そう言えば、弟が確か第七機甲精霊師団を動かしたな、」ドルガァータは応える「はい」


ガリィフォンは笑う、「よし、師団に伝えよ鬼神を殺れと、妹が邪魔をするなら妹も殺れとな、行けドルガァータ!」、ゼロのドルガァータは頷き、「御意にござりまする」と答えドルガァータは闇に消える。


後ろに控えしベルエリィフィンは兄皇に控え目に聞く、「次皇殿下はいかがなされますか?」ガリィフォンは、ベルエリィフィンのほうに向きながら、「弟か?奴は使える、共和国との決着が着くまでは生かしておく、その後だ、ところでネオロンドン攻略は何時になる。」


ベルエリィフィンは頭を下げ目を伏せて、「はっ、海を渡る準備が遅れてまして一月から二月は先かと、」その答えを聞いたガリィフォンは渋い表情を浮かべ、「海竜型、空翼型の生産のどちらが遅れているのだ」と厳しい口調で問いベルエリィフィンは更に控え目に、「はっ、両方かと、」答える。


ガリィフォンは、ため息を付きながら、「仕方ない出来るだけ急がせろ!共和国の動きも気になる、それに、我が愛する精霊、破滅の守り手火の精霊ボルディーネ様が俺を急かす早く共和国を焼き尽くせとな、頼んだぞベル。」


「はっ!」ベルエリィフィンは深く敬礼をして応えた、そして野望の業火を纏いし皇国の兄皇、『金赤のガリィフォン』を憧憬の思いでただ見続け、ガリィフォンは夕闇が迫るネオパリの天を睨み己自信が妖精王オベロンになる為なら、その全てを賭けてもその全てを燃やし尽くしても良いそう決意するのであった。


ネオパリに日が沈み、闇が訪れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ