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アルタワグナー戦記  作者: H氏
シーズン1 皇女慟哭編
2/56

黒竜と白凰

俺は皇国の皇女リィファインに一瞬見とれたそして両脇の二人の子供に意識を向けていたので、俺の直ぐ近く迄近付く二つの影に気がつかなかったし気がついた時には俺の横には二人の美しい妖精族の年の功が十五から二十位の少女達が俺の頭に妖精族の銃『精霊銃フラナガン』を突き付けていた、彼女達の燕尾服型の制服は蒼色で片から腕に銀のストライプ確か彼女達は皇国の皇宮護衛師団でその師団長は『白光紫』、


俺はゆっくりと降参の意味で両手を上に上げた勿論タバコは口に加えたままだ、


「アズマ一等兵、私は君に私が来るまで何もするなと言ったはずだところが皇宮護衛師団の方達が君に銃を突き付けている、でっいったい君は何をしたんだ?」


自らミヨっちと一緒に管制機に乗り込み後方から作戦指揮をしていたスミカちゃんは戦いが終わると皇女と話し合うため管制機から降りてこちらに向かって来ながら、ここに到着するなり両側の妖精族の少女達に挟まれて両手を上げている俺を見た彼女はやれやれって顔で俺に聞いてきた。


スミカちゃんには俺は恥ずかしくて言えないまさか皇女に見惚れていたって、俺は片手を口のタバコにもっていき口からタバコを離しながら、「それは、此方の何故か怒ってる可愛い妖精ちゃん二人に聞いてくれませんか?」、と一応彼女達のご機嫌を取りながら言ってみた。


しかし彼女達も軍人「コイツが皇女殿下に近づこうとした、更に変な目で殿下を見ていたので拘束した!」、ちょっとつけんどんなロングパーブルヘアーで額の精霊紋が白紫の少し冷たい系の美人で細顔の妖精ちゃんが、精霊銃の先で俺の頭をコンコンさせながら言ったが残念ながら俺のご機嫌取りは通じなかったようでそれに精霊紋が白紫なのは確か師団長の『白光紫』、


「変質者!」ショートのスカイブルーヘアーの幼顔系で額の精霊紋が水色の美少女ちゃんが俺の足をがしがしと蹴っている、痛い。


スミカちゃんは眉間を押さえながら呆れて、「だから!アズマァ一等兵、君は浮浪者のような格好ではなく軍人らしい格好を普段からしろと言ってきたんだ!」、スミカちゃんはお怒りぎみに俺に対して叱った。


「そうですよアズマさん、僕達のようにサクラバ製の耐干渉衝撃緩和スーツを着れば一目で巨人機のパイロットだと分かるのに、アズマさんは着ないから誤解されたんだと思います。」


ゴロー君とコトエちゃんが巨人機から降りてきて一緒に此方に来てみると俺が妖精族の美少女に拘束され更にスミカちゃんに怒られている、その内容を聞いて呆れながら自分が着ているサクラバ工業製特注品の身体にぴったりした千年前の変身ヒーロースーツに見える艶消し黒色のパイロットスーツを誇らしげに俺に見せながら言った。


中二病でガキのゴロー君ならいいけど中身が五十才の俺にはその格好無理!絶体無理!!


一緒にいるコトエちゃんは嬉しそうに「お父様の会社のスーツはゴロー様にはお似合いですけどアズマさんにはこのスーツは似合わないから仕方ないとしても、女性として言わせてもらうともう少し清潔にしたほうがよいと思います、確かにアズマさんは汚ないですよ。」


これまたサクラバ製の特注品で白い光沢のあるパイロットスーツに半透明な耐物理防御フィールドを持つパレオを着ているお洒落なコトエ嬢が俺の心を抉る、ひどいよコトエちゃんと俺は心の中で叫ぶ、


その間だに銀狼機のコアの上にいる二人の子持ちの皇国の皇女リィファインは気のせいか俺を見続けている気がする、二人の妖精族の子供は右側は十二、三位の髪は銀翠のロングで精霊紋は白翠であり瞳の色は透明な翠色の少女、左側の子供は黄金の髪に額の精霊紋は金黄そして黄金の瞳を持ち十才以下に見える妖精族の少年。


流石にこのままでは拉致が開かないので「すまないがそれでもそいつはうちの隊のエースパイロットなんだ放してはくれないか?」とスミカちゃんが皇宮護衛師団の方々に懇願し始めた。


エースパイロットの言葉に妖精族の二人は見事に反応して、『こいつがか!!』と二人同時に見事にハモった、全く大変失礼な事だ、そしてスミカさんは引き続き皇宮護衛師団長でたぶん『白光紫』と思われる方に向かって「此方としてはこのままの状態で皇女と話し合う事も構わない決めてくれ蒼の師団長『白光紫のリルフェン』!」


やはりパープルヘーアーの方が皇女や皇母の護衛をする蒼の皇宮護衛師団の師団長『白光紫』その時皇女が口を開いた「私は構わないリルそちらの共和国の特使と話しを進めてくれないか。」


リルフェン師団長は皇女からスミカちゃんを見た後、「この汚ない男を放す前にお前が言った例の物を此方に見せろ!」そう言ってスミカちゃんの前に手を差し出した、?何それ俺はなにも聞いてないしスミカちゃんが言った例の物?えっ、スミカちゃんが胸ポケットから取りだしたカードあの黄金のカード何あれ?だいたい皇女の事とと言い俺の知らない事が多すぎるどうも俺は今回の任務ではハブられているようだ。


リルフェン師団長は手をこいこいさせながら「此方に投げてよこせ!」とスミカちゃんに言いスミカちゃんは「分かった今渡す。」と師団長に言いながら手に持つ意味不明なカードを投げた、投げたカードは空中で回転しながらたぶんリルフェンの部下と思われるスカイブルーヘアーの妖精族の少女が前に出て放り投げたカードをキャッチすると「フェン、それを姫様に渡して来なさい」と『白光紫』が言う、彼女は「リル、分かった。」と言いながら皇女の側に走って行った。


へぇ彼女フェンと言うんだと俺が考えていると俺の考えを見抜くようにスミカちゃんが俺に言う、「彼女は蒼の皇宮護衛師団のナンバーツー『水蒼のフェンファン』だ。」、俺は何でも知ってるスミカちゃんに呆れながら「隊長は何でも知ってるんですねぇ」と言ったらスミカちゃんは、「何でも知ってる訳ではない知ってる事だけだ」と千年前のアニメの中のセリフのような答えを返してきた、なんだかなぁスミカちゃんはまじめだから皮肉も通じない。


妖精族のフェンちゃんは走って銀狼機のコアにいる皇女リィーファンにあの黄金のカードを渡し、皇女がそのカードを手に取るとカードは白く白光し何か文字が浮かび上がっているのだろうか皇女はそれを熱心に読んでいるような気がする両側にいる二人の子供はそんな彼女を心配そうに見ていた。


「ゴロー君あのカード何か知ってる?」、どうせスミカちゃんに聞いても教えてくれないからゴロー君に聞いちゃぇ、意地悪で俺をハブったスミカちゃんと違い親切なゴロー君ならきっと教えてぐれると思ったが返ってきた答えは俺の予想の斜め上をいっていた、「知ってますよ三時のおやつの招待状です。」


俺は「えっ?」・・・おやつの招待ですか?


「違いますよ!ゴロー様、あれは、『妖精王のお茶会の招待状』です。」コトエちゃんが丁寧に訂正したけどたぶん俺が思うにお茶会はコトエちゃんが勝手に付けたんじゃないか、正式名称は『妖精王の招待状』じゃないのか?しかしなんでそんなもんをスミカちゃんが持ってんの?


リィーファン皇女は、スミカちゃんの方に向いて静かに言った、「確かに本物の妖精王の招待状だ、しかし何故共和国の特使である貴方達がこの妖精王の招待状を持っている?」


おっ、俺と同じ疑問だ皇女もこの件何も知らないのか?


スミカちゃんはやったって顔をして嬉しそうに「それはリィーファン皇女殿下、我々と一緒にネオトウキョウに来ていただき共和国評議会の一員であるイズミ都知事に直接聞いてくれませんか、私も評議会より交渉のためそのカードを渡されただけです。」


評議会に都知事? セイレ イズミ都知事の事?何故ここで都知事の名前?俺はタバコを口に戻し『時忘草』の煙を吸いながら少し考えた、皇女はスミカちゃんの事を特使と呼んでいるそして招待状これでは戦争を仕事ととする軍隊では無くまるで外交官のする仕事だ。


「そうか、・・・分かった、お茶会の招待を受けよう。」えっ、本当にお茶会の招待状なの!右側にいる銀翠の髪の少女が心配そうに「姉上!」左側の黄金の髪の少年が不安そうに「姉様!」と此方にも聞こえる声で叫んだ。


皇女は不安がる二人を安心させるために膝を付いて目の高さを合わせて「マーシ、レイン、このカードにはあなた達の招待も記載されている一緒にネオトウキョウに行こう、このカードにある妖精印は確かに本物だ、だから私達は妖精族としてこの妖精王の命令に従わなければならないそれにこれで兄皇達との関係がもしかしたら変わる気がする。」、二人の子供は少し安心したのか年上の少女が「リィ姉様、」年下の少年は「リィの姉上わかった。」二人の子供は呟いた。


俺は頭にあるリルフェンの精霊銃を手でどかしながら、「でっゴロー君、俺達の本当の任務はもしかして皇女にあのカードを渡す事?」、ゴロー君は何を今更言ってんだと言う顔をしながら、「えっ、アズマさん知らなかったんですか?そうですよ。」、そこにすかさずコトエちゃんのフォローが入る、「ゴロー様、スミカ隊長がアズマさんが本当の事を知ると絶対拒否るから秘密ですって言ってらしたのに、喋られて」、フォローになってない!


スミカちゃん、あんたは正しい確かに知ってたなら俺は絶対に拒否った!十二年前にお互いが死闘を演じた相手だ今更どの面下げて会うことができようか俺にはそんな勇気は無い。


丁度その時、二台の巨人機運搬大形トレーラーと三台の補給資材運搬用トラックが到着したそれは俺達の移動専用車であり運転するのは十二名の1010小隊整備班その班長はイシダ、たぶん付近で待機していた彼等を交渉が上手くいったのでスミカ隊長がインカムで呼び寄せたのだろう。


スミカちゃんはリィーファン皇女に敬礼をして、「では、あらためて皇女殿下、マーシフォン皇子、レインファン皇女、私達とネオトウキョウにご同行宜しくお願いします。」


リィーファン皇女は運搬車が舞い上げた砂埃に目をしかめて到着したトレーラーとトラックを心配そうに見ながら、「あれで大丈夫なのですか?此方には二人の子供がいるし精霊機は動かない」、不安を指摘されたスミカちゃんだが、「すみません皇女殿下、半島の南端海岸に我が都市の航空母艦『蒼竜』が待機しているのでそこまでは申し訳ないのですがこのトレーラーで、前のトレーラーには簡単ですが専用の客室を用意しております、それに護衛はうちのアズマ一等兵と共和国の最新鋭巨人機『黒竜』と『白凰』が担当しますご安心ください予定では休憩と補給をいれても明日の夜には付くはずです。」


スミカちゃんの必死の説得に皇女は溜め息を付きながら、「・・・分かりました。」


と言った瞬間、


『隊長!!此方に六脚精霊機が一台来る!』管制機にいるミヨっちの声がインカムから響きわたり!直ぐに反応したスミカちゃんが「接触時間は!」と怒鳴るとミヨっちから返ってきた答えは『予測で十五分!』十五分かなり近い、相手は高速移動タイプか。


スミカちゃんは直ぐに俺達に指示を出し、「アズマ、スザキ、サクラバ出撃!此方に来る精霊機を足止めしろ!」、更にトレーラーとトラックにいる整備班に、「整備班は銀狼機をトレーラーに、他は棄てる!十五分だ、十五分でここを離れる!急げ!!」スミカが次々と指示を飛ばしトレーラーの整備士達があわただしく作業を始めた。


今、このネオホンコン郊外もまた戦場になろうとしていた、


そして俺はタバコを捨て、爪先で火を消して、「ミヨっち、両腕にチェーンソーの付いてる奴出れるように用意してくんない。」とミヨっちことミヨコさんにインカムでお願いして、


『了解』とミヨコさんが管制機から遠隔操作で二台めのトレーラーの格納庫の後部ハッチを開けた、俺は中に収納されている森林伐採用巨人機に乗る為にトレーラーに向かった。


ゴロー君とコトエちゃんも急いで彼等の専用巨人機に向かったが、向かう途中、「アズマさん、今度は僕にやらしてください!」、とゴロー君、「アズマさん、私もですよ!」とコトエちゃん、彼等は専用巨人機に向かって走りながら俺に言った。


「あぁ、ゴローちゃんもコトエちゃんも好きにしていいよ、ピンチになったら俺も手伝う。」そう二人とも頑張って、俺を楽させてね。


スミカ隊長はリィーファンの側に来て、「皇女、失礼だが追っ手は貴女と関係のある方ですか?」と聞いたが、その質問に対してリィーファンは寂しげな顔で、「分からないしかし、多分残念だが兄皇が私達に差し向けた刺客だと思う。」


スミカちゃん何何だその質問それに皇女の答え?普通は皇国の皇女が共和国の軍に拘束されたんだぞ助けに来るはずだろう、と考えている俺を無視してスミカちゃんが、「聞いたか、アズマ思う存分やって良いぞ!」


聞いてるよスミカちゃん、意味分かんないけどようは敵って事でしょ。


「了解、」


俺は、スミカちゃんと皇女に背を向けながら、片手を振ってトレーラーに用意している中古の森林伐採用巨人機のところへ向かった。


まぁ、俺も、彼女も十二年経つと立場も見た目もいろいろと変わる、ただ、それだけだ。




アズマが二台めのトレーラーの中に消える迄、リィーファン皇女はアズマの背中を目で追っていた、その様子を横で見ていたスミカは、「彼、アズマ一等兵が気になりますか、殿下」とリィーファン皇女に聞いたが、「あの方は、・・・嫌、なんでもない、」、彼女は言葉を濁し、スミカはその答えを無視してリィファイン皇女一向を先頭のトレーラーにある客室のタラップに案内して、「・・・殿下、此方が客室です、すぐにここを立ちますので座席に座ってシートベルトをして下さい、あとご安心下さい客室には外部が見れるモニタもあります彼等の活躍を見れば彼等の強さが分かります。」


スミカは一呼吸おいて、「皇女殿下、特にあなたならアズマ一等兵の強さをご存知のはずです。」




六脚精霊機、皇国の最新精霊機、大陸の半分を移動できる多脚型、ムカデの下半身に人形の上半身、脚が多いほど高速になる。武器は二本の精霊槍、触っただけで破壊されるリーチの長い厄介な特攻兵器。



対する共和国の黒の巨人機、『黒竜二型改』、スザキ技研が設計しサクラバ重工が開発したゴロー専用機、特長は脚部の十二のホバーと両腕の八のホバー、超高速特化型、武器は背に背負うレーザーブレードの刃を持つ、『大剣クサナギ』


『黒竜』のコックピットでゴローは思う。


ホンコン戦役の英雄アズマさんは僕のあこがれだったいつかあの人のようになりたい、そう思って今まで頑張ってきたそして同じ部隊にアズマさんが来るどれ程期待したか!


しかし、今のアズマさんは僕があこがれた英雄ではなかった、あの何度も映像で見た凄い闘いを彼はしなくなった、アズマさんは天才技師官のヤマザキさんと組で超高速AIを開発したと僕に言った、スザキ技研の社長であるオヤジは凄く興味をもっていたけど、あれはアズマさんじゃないあの華麗で研ぎ澄まされた闘いをしないのはアズマさんじゃない!僕のアズマさんに対する気持ちが分からなくなった、このままでは僕のモチベーションが維持できないなら、


ならば僕がかってのアズマさんになる、そう決めた。



白の巨人機、『白凰三型』、サクラバ重工のコトエ専用機、特長は腰部にあるスカート型ホバー、高高度迎撃型、武器は『弓型レーザー砲シラバ』


『白凰』のコックピットでコトエは思う。


ゴロー様とは幼なじみ、私は兵器を作る会社の社長の一人娘だから皆が私といる事に嫌悪と不安を持っていてそんな態度は幼い子供の私でも分かるから私は何時も一人だった、そんな時ゴロー様と出会ったゴロー様はお父様が作る兵器が好きだと熱く私に語ってくれたそしてその兵器を神の如く操るアズマさんに憧れている事を何時も私に話してくれた、ゴロー様だけだった私を特別扱いせずに接してくれたのは、だから自然と好意をよせやがて好きになりそしてずっと昔から好きだった事に気が付き、私の父サクラバ重工の社長とゴロー様のお父様スザキ技研の社長が友達だったから幼くして、ゴロー様とは婚約する事が出来た。


ゴロー様は憧れのアズマさんに出会ってから変わった、アズマさんに失望してご自身がアズマさんの代わりになろうと無茶をするようなった、だから私がゴロー様を守る、そう決めた。



『白凰』が高高度より、牽制の一撃を多脚型精霊機に放って戦いの火蓋がきられた!


多脚型精霊機が、牽制でスピードをおとし更に数撃を『白凰』が放つ!


精霊機は精霊槍を広げ、『白凰』の攻撃を防ぐ、そこに、ホバー全開の『黒竜』が大剣の一撃を撃ち込む!槍と剣が交差し、その瞬間、荒野に白光が閃光して巨音が轟わたる、


ドズガァアァアァァァァァンンンン!!!


離れては、撃ち、また離れては撃ちを繰返し、『黒竜』が不利になれば、『白凰』が援護射撃でその不利を覆し、『黒竜』が更に強撃を放つ、その数、十数を越え、その時間、僅か一分、


アズマは、両腕がチェーンソーの森林伐採用巨人機に乗り込み巨人機を起動して『黒竜』と精霊機の戦いに近付くが両者の凄まじき攻防に、ただ見守るのみ。


ゴロー君熱くなりすぎだよ、しかしあの精霊機上手い、大隊長か師団長クラスそう言えば噂だが、占領したネオホンコンの統治方法で皇女と皇王が対立し共和国との融和を求めた皇女を皇王が嫌っていると聞いたことがあるならばスミカちゃんと皇女の会話は納得、つまり皇王が皇女つまり皇国の英雄に刺客として大隊長クラスの大物をよこす、皇王もマジってわけだ本当に切ないねぇ、姫さん。


幾多の千撃を繰返し、『黒竜』のブーストがマックスになった時、戦局は動いた!


その千の一撃は、精霊機を大きくのけぞらせ、右手の精霊槍を手放す!


『黒竜』はその一瞬を逃さず踏み込み、大剣の最大火力をタメて精霊機に撃ち込む瞬間、


ゴロー君それフェイクだから、俺は心でアドバイスでも熱くなっているゴロー君には届かないまぁでも彼なら大丈夫でしょ。


精霊機の片腕が伸び大鎌に変形する!


「可変型!!!」ゴローが叫ぶ!


精霊機はここぞとばかり『黒竜』に大鎌を降りおろす瞬間、


「ゴローさまぁぁぁぁ!!!!!」コトエは絶叫する!『白凰』のホバーを全開にし五秒『白凰』が『黒竜』の盾となりその大鎌の懐に飛び込む、迫る精霊機の大鎌狙うは『白凰』の腹部のコックピット!


時間停止!と俺


スバァァァァァァァァァーーーン!

瞬間、時間軸ズレ九枚!!!!!

俺のコックピットの画像がズレる!!

その数九!!!


「ぐわっっっっっっ!!」

口の中に鉄の味が広がる!

時間停止の負担半端ねぇ!グウッまるで大河を一人で塞き止めている気分、しかしゴロー君のために命迄掛けるって、ヤンデルねぇコトエちゃん。


俺の巨人機の両脚のホバー、超加速!

「グウッ、」時間軸のズレ三枚追加!

合計十二枚!!アズマは口から血を流し、


止まる精霊機に俺の巨人機は近付く、

右腕チェーンソーのみ加速!「ガァツ、」

時間軸のズレ更に三枚追加!やばぃ、限界が近い耳から血が出てきた!合計十五枚!!!


巨人機の右腕のチェーンソーが精霊機の右腕の大鎌をたたっ切り!


更に左腕チェーンソーを加速!

「ゲホッ、」時間軸のズレ三枚追加!

合計十八枚!!!!押さえろ俺!!!

二十枚を越えたら俺は持たない!!


アズマは目、耳、口から血を出しながら森林伐採用巨人機を操作して、巨人機の左右のチェーンソーが精霊機の右足三本を切断!!


「かあいいいぃぃぃじょおぉぉうっっぐっ!!ゴホッ、ゴローォォォ!!殺れぇぇぇぇぇ!!!」


ズバァーァァァン!

精霊機の右片腕が大地に落ちる!!


ズドドドォォズドドドォォズドドドォォ!!

精霊機の右側の三本の脚が体から離れる!!!


「アズマさん!!!」ゴローは叫びながら、『黒竜』を『白凰』の前に出し、右の脚を失って動けず更に唯一の武器である大鎌を失い攻撃も出来ない精霊機に、その赤白に輝く大剣クサナギを精霊機の胸に轟音とともに差し込む、大剣クサナギに貫かれた六脚精霊機は、


その瞬間、荒野を白く染める閃光を放ちそして静かに沈黙する。


バシュウゥゥ、アズマが乗る中古の巨人機の両脚の移動用ホバーが焼け落ち、


ブシュンゥゥゥ、巨人機の右腕のチェーンが切れ、チェーンはパラパラになる


ボシュンゥゥゥ、左腕のチェーンも同様に切れる!


「ふうぅっ、流石に一日二度はキツイ。」、アズマは袖で血と汗を拭いながら溜め息を付くそして『時忘草』のタバコを震える手で取りだし火を付けて深く吸った、コックピットの時間軸の十八枚のズレがゆっくりと一つに重なり、吐き出す煙りがもう動かない巨人機のコックピットに広がる、「やっちまったなぁ、時間停止はさすがにないよなぁイシダさん煩く聞くよなぁ皆に何て言い訳するかまぁ何とかなるっしょ、ええぇとおミヨコさん聞いてる?」


アズマはインカムでミヨコを呼び出し、『・・・ハッ、アズマっち!何あれ!変だよ!!消えたじゃん!!』


アズマはミヨっちうるさいと思いながら、「皆にナイショの俺の必殺技、それよりこれ動けないからイシダさんにクレーンでトレーラーに収納するように頼んで、」


『えっ、捨てないの?』


「こいつは、ホバーとチェーンの交換でもう一回位は使えるじゃ俺は休むミヨっち宜しくねぇ」、ここで通信を切り俺は目を閉じるもう俺は限界休ませてくれ、


アズマは意識を手放し深き眠りに落ちる。



そして先頭の大形トレーラーの客室、

「あれは、・・・あれに我々は殺られたのですか、」、皇女リィーファンは、唖然としてトレーラーの客室にあるモニタを見ながら呟いた。


そして、今後の行程を打ち合わせしていたスミカの方を向いて、「あれが、共和国の新型巨人機なのですか?」


スミカも始めて見るアズマの一瞬で終わらせた戦闘シーンに驚愕しながら「・・・リィーファン皇女、あれは中古の森林伐採作業用巨人機です。」


皇女はスミカの答えを信じず、「えっ!・・何をバカな事を言ってるんですか?」


スミカは、静かに答える、「皇女殿下、信じられないですよね、私も・・・信じられない、あれでは、まるで、・・・瞬間移動!」


スミカは静かに思う、


アズマ、・・・お前えは、いったい何を手に入れて、何をこの世界に、もたらそうとしているんだ、


スミカは、アズマが十二年間沈黙をしていた事を知っている、


お前は、その代償にいったい何を・・・失ったんだ、・・・・・・・・・・アズマ。


スミカは考え続ける。


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