狂気の世界2
{???side}
「ガンマ様からの連絡が途絶えました…」
助手の青年の声が暗い室内に響いた。私はその言葉に一瞬顔をしかめ聞き返す。
「……なんだと? どういうことだ? 奴はいつも定期連絡を無視していたが、今回もそんなことじゃないだろうな?」
「今回はどうやら違うようです。ガンマ様の存在自体が消えました」
「存在がだと…………。それはまさか――――」
青年は真剣な面持ちで頷く。
「はい。おそらく死亡したと思われます」
「――だが、あいつは幹部だぞ? ギリス政府の幹部の中でも弱いくらいだが……」
「はい。ガンマ様の能力ならばあの世界のモンスターに殺されることはないと思われます。それを踏まえると――、ガンマ様を殺したのはダイバー……と言う考えが一番有力かと」
「――――エスポワールの連中か?」
青年は手を顎にあて少し考えたる仕草をする。そしてこう言った。
「現段階では今回の犯人がエスポワールと決定づけることは出来ません」
「きみはどう考えている?」
「わたしは――――。エスポワールではない第三勢力の連中でないかと思っております」
「その根拠はなんだ?」
「今、エスポワールと ギリス政府の両組織は冷戦状態です。いつ戦争に発展するかわからない状況。そんな状況の中、ギリス政府の幹部を殺してしまったら、宣戦布告したことになりかねない――。流石にエスポワールも十分に戦力が整っていない状態でこんな馬鹿なまねはしないでしょう」
青年の意見を聞き、頭の中で思考を巡らせる。
「たしかにそう考えることが適切か。――――わかった。このことは私から直接皆に話そう。きみは引き続き支配者の本の解析を頼む」
「――わかりました」
{神崎side}
「――――ぅ。ん? ここは……? そうか――。いつの間にか寝ていたのか……」
俺はいつの間にか廊下で寝ていたらしく窓から外を確認する。外は既に日は沈み、辺りは暗くなっていた。体の上には毛布がかけられており、春のまだ寒い夜の気温に凍えることはなかった。
「これは……。雨宮がかけてくれたのか。――ふん。意外に気がきくんだな」
部屋の中を確認するが既にベットに雨宮の姿はなく、綺麗に整えられている。俺はそれを確認すると風呂に入るため一階へ下りる。すると、誰もいないはずの居間には明かりが灯っており物音が聞こえてきた。そして漂ってくる良いにおい。
「――――カレーかな?」
俺がドアを開けると、キッチンに可愛らしいエプロンを身に着け鼻歌を歌っている後ろ姿が視界に移る。
「あめみや……?」
俺の声に気がついたのか雨宮は顔だけを向ける。
「――ぉ? 起きたのか! 廊下で寝ていたけど大丈夫か? よほどきみも疲れていたんだな」
「そんなことはどうでもいいんだが……お前は何をやってるんだ?」
「そんなの見ればわかるだろう? 料理だよ。りょうりっ! きみもお腹空いているだろう? 今、私が愛のこもった料理を食べさせてあげるかなっ!」
そう言うと雨宮は笑みを弾けさせ、料理を再開する。俺は心が暖かくなるのを感じながらも小さく言葉を漏らした。
「許可なく勝手に使いやがって………………」
お腹も空いていたのは本当だったので少しの間雨宮の後姿を傍観した。彼女の鼻歌だけが居間に響く。
――廊下で寝てしまう前何か考えていたような気がしたが――、なんだったっけな……? 何故か思いだせない。まぁ――大したことではないだろう。
眠気のせいなのか考えるんのがめんどくさくなり、思考を中止させ雨宮を見詰める。そんな視線に気がついたのか、彼女は手に持っていたオタマを動かしながら笑顔を浮かべこう言った。
「さぁ。もうできたぞっ! 悪いがお皿を用意してくれないか?」
俺はフラフラとした足取りで食器棚から言われた通りの食器を取り出す。雨宮は小さく笑い、料理をテーブルへと運んだ。
「――よし完成だ。ほら、神崎。食べるぞ?」
「雨宮って料理できるんだな――――」
「あたりまえだ! 私も一応女だぞ? 料理くらい出来ないで結婚ができるかっ!」
「ふーん……」
「冷めないうちにどんどん食べてくれ!」
俺が雨宮の作ったカレーを口へと入れた瞬間、スパイスの効いた濃厚な味が口の中に広がった。驚きの余り思わず声が漏れる。
「――――うまいだと?」
「はっはっは! そうだろう~。私だって料理がちゃんと出来るんだぞ? ――どうだ神崎? 私と結婚したら毎日こんな料理が食べれるぞぉ? 結婚するか?」
普段ならば軽くスルーするのだが、何故か雨宮を困らせてみたいと言う欲求に芽生え、今回は手法を変えてみることに決める。
俺は自然な笑顔を意識しながら彼女を両眼を見詰め、言葉を放つ。
「そうだな! こんなおいしい料理を食べられる旦那さんは幸せ者だな――。ぜひ俺の奥さんにしたいよっ!」
雨宮は一瞬ポカーン。とした後、急激に顔がリンゴのように真っ赤に染まる。
咄嗟に俺から視線を外し、俯きながらボソボソと独り言を呟き始めた。その反応に俺は内心納得する。
――なるほど。やっと雨宮の 対処法がわかったな。これからはこの手法を活用しようか――。
顔を真っ赤に染めながら俯く雨宮を放置し、カレーを口に頬張った。予想以上においしいカレーで直ぐに食べ終えてしまう。
彼女は相変わらず悶えており、この状態では正常な会話ができないと気がついた俺は渋々声をかけた。
「おい雨宮――。いつまで俯いているんだよ?」
「――き、きみが柄にもないことを言い出すからだっ……!」
「別に大したことは言っていないだろう。――それよりもお前はいつまで俺の家に居座るつもりだ? さっさと食って帰れ」
雨宮はやっと落ち着いたのか顔を上げた。先程まで真っ赤に染まっていた顔も正常に戻り、俺の言葉にとぼけた様な声を出す。
「――何を言っているんだ? 私は今日から此処に住むつもりだぞ?」
「――――――は? ふざけてないで真面目に答えろ!」
「ふざけてなんかいないさ。どうせこの家には神崎しかいないんだろう?」
「また変な冗談を言いやがって……。第一にいつまでもこんな所にいたらお前の親が心配するだろうが!?」
雨宮はカレーをほお張りながら口を動かす。、俺はさらに言葉を放つ。
「――お前だって一応女だろ? 男の家に泊まるなんて親が許さないだろう……」
「私には――もう親はいない。だから大丈夫さ」
俺は思わず聞き返すと、今までのガサツで元気だけがとりえの雨宮がとても悲しい表情をした。そして、俺を見詰め口を開く。
「――母親は私が小さい頃に死んでしまったんだ。父もそのことに絶望しては私を親戚に預け、行方不明になってしまった。もう10年以上も前の話だ――。父親も既に死んでいるかもしれない………………」
――嘘をついているわけでは――なさそうだな。こんな時なんて声をかければいいんだ……?
俺は初めて見た雨宮の弱弱しい姿に何を言っていいのかわからず、重苦しい雰囲気がリビングに漂う。
その空気に耐えられなくなった俺はなんとか声を絞り出す。
「………………すまない。そんな事情があるとは思わなかった」
俺は雨宮を直視することが出来ず、下を向きながらそう言葉を口にした。
すると彼女の方からすすり泣くような声が聞こえたため、慌てて視線を戻すと彼女の体が小刻みに揺れていた。そして――次の瞬間大き な声で笑い出した。
「……ふふふっ。あっはっはっは!! やばいっ――。お腹が痛い。……ふふふ。まさかこんな簡単にだまされるとはなっ。あっはっはっは」
「――――てめぇ。嘘だったのかよ!?」
「くっく……。そうだよ。きみが柄にもないこと言うから仕返ししてやったのさ。ふふふ……」
――本当に嘘なのか? あの顔が嘘とは思えなかったが……
「それならなおさら早く帰りやがれ!」
雨宮は先程見せた悲しい表情とは一変して、顔を綻ばせながら喋る。
「それは嫌だね~。私はここに住むって決めたんだ。私の親は今でもピンピンとしているが、実は家族そろって海外に移住していてな。私も今はきみと同じで一人暮らしなんだ!」
雨宮は無駄に明るい声を出した。俺はまた嘘なんじゃないかと疑いの目を向けると、彼女はカレーを口に運びながら俺の目をしっかりと見据えた。
「――それは嘘じゃないんだな?」
「あぁ……。これは本当だ」
「――――わかった。だが、そうだとしても俺の家に泊まらせるわけにはいかないな」
「神埼……。きみは本当に頑固だな。私のような美人でナイスバディの女の子と一つ屋根の下でウハウハライフがおくれるんだぞ? 普通の男なら直ぐに承諾するぞ!?」
「――生憎俺は普通じゃないんでな」
「はぁ……。それなら致し方ないか――――」
雨宮はそう言うと、突然着ている服を脱ぎ始める。
俺は意味がわからず慌てて問い詰めると、彼女はいたって真剣な表情で言葉を放った。
「――何って。今からきみを押し倒してあんなことやらこんなことをするのさ。――流石に君も一線を越えてしまえば断れないだろう?」
「いいかげんにしろ! そんな簡単に一線を越えようとするな!」
必死に止めるのも聞かずに雨宮はどんどんと服を脱ぎ去り、黒色の妖艶な下着姿が垣間見えた。
彼女はそれすらも脱ごうと手をかける。
「………………わかった! わ かったからっ! ――勝手に俺の家でも何処でも泊まってくれ! だからもう脱ぐは止めて服を早く着ろ――」
雨宮は自慢げに笑うと満足げに大きく頷いた。そして片腕を腰に当てた。そして右手を差し出し、こう言った。
「これからまたよろしくな! 神崎!!」
俺はを呆れた顔で見詰めたが、あまりにも輝かしい笑顔を浮かべており渋々手を握る。
「――ったく。俺はもう寝る。お前は親が使っていた部屋でいいならな勝手に使え。俺の部屋の隣だ」
「あぁ。すまないな。――明日は土曜日だ。ゆっくり休んでくれ。デスワールドにダイブする事も忘れるなよぉ~!」
急激に襲い掛かってきた眠気と戦いながら雨宮の言葉に頷き、おぼつかない足取りで部屋へと向かう。
部屋に着くと直ぐにベットに倒れ込んだ。ふわふわとした布団の中に潜り込んだことでさらに眠気が加速する。
暫くして現実世界から夢の世界へと意識を手放そう
とした瞬間――。
扉が開く音と共にに布団の無理やり布団の中に入ってくる者が一人。
「――おい雨宮。……お前の部屋は隣だと言っただろう?」
「………………」
「――無視するな。あめみや! ――――ん? まさかもう寝てるのか? 来て数秒だぞ……?」
いくら話しかけても雨宮からは返事が返ってくることはなく、代わりに可愛らしい寝息が聞こえてきた。
俺は彼女の意外な特技に驚く。俺は自身のベットで寝ることを諦め、隣の部屋へと移動を試みる。しかし――――
「………………抜けられん。こいつ、どんだけ力強いんだよ」
いつの間にか雨宮に抱きつかれ、抜けることが出来なくなっていた。身体に感じるこの柔らかく暖かい感触。
雨宮の未だ進化を続ける大きな果実が体に直撃している。さらには妙に雨宮の体が暖かくツルツルとしていた。
俺は一抹の不安を抱きながらも布団を少し捲り、彼女を確認する。
「――――おいおい。なんで下着のままなんだよ……」
雨宮は下着姿のままであった。雪のように真っ白で綺麗な肌を強調するかのように目立つ黒い下着。
そして、絹のように綺麗 な黒髪からは女の子独特の良い匂いが鼻の奥を刺激した。
窮屈に感じながらも、ふと視線を雨宮の腕に落とす。今まで気がつかなかったが、彼女は左手には銀の腕輪が月の光に照らされて輝いている。
腕輪が気になり観察してみると――腕輪の裏側に文字が刻まれていた。
「M・W? ――イニシャルか? だけど、雨宮のイニシャルはM・A……だよな?」
彼女の物ではないとのだろと納得しようとしたが、何故か頭に引っかかる。
「――はぁ。今日は寝れないな……」
些細な事を真剣に考えたせいで、目前にまで迫っていた眠気も何処かにに消え去り、窓越しから星が光り輝く夜空を見上げた。
――最近は考え事が多くなったな、俺は変わった……のか? 以前はこんな事すら考えもしなかった――。
俺は今まで何を考え、感じて生きてきたんだろうか? ガンマと戦闘した時、自分は感情が欠落しているんだと感じた。――だが、俺は本当に感情が欠落していたの
か?
「くそっ………………。こんなにイライラするのも全てこいつのせいだ。――雨宮真理奈。何故お前を見ていると感情が揺れ動くんだ?」
答えの無い問いが頭の中で何度も駆け巡る。時折雨宮がモゾモゾ動くのを感じる度により深い思考へと発展するのであった。
どのくらいの時間が経過しただろうか? 真っ暗であった部屋に窓から淡い日の光が差し込んできている事から、既に朝を迎えているのだろう。
「――――眠れなかったな。まさかこんなのが毎日続くんじゃないだろうな……?」
不安が混じった言葉を漏らしていると、猫のように背中を丸め、布団の中に潜り込んでいた雨宮が動き始る。
そしてチョコンと可愛らしく顔を出した。起きたばかりでまだ眠いらしく目を細め、小さな欠伸をする。
「やっと起きたのか」
「……む~。ねむたい――。…………しんざき? なんできみが隣にいるんだ?」
「それはこっちが聞きたいところだ。ここは俺のベットだ。俺がいて当たり前だろう?」
「――ふぇ? あれれ……。私が間違っちゃったのかな?」
てっきりわざと俺のベットに潜り込んできたと思っていたため、雨宮が素直に謝ったことに対して多少驚きを隠せなかった。
しかし、それ以上に驚愕したのは彼女の態度だ。目の前の彼女はがさつで元気だけがとりえの彼女ではなく、まるで駄々をこね る子供のようなので
ある。
「おい。さっさと起きろ」
「む~……。やだぁ――。まだ眠たいもん! ふわぁ……」
「――わかった。それならお前はまだ寝ていろ。俺はもう起きる」
「やだ。隣で一緒に寝てて……?」
雨宮の綺麗な目と視線が重なると、俺はそっぽを向きながら言葉を放つ。
「お前はそんなこと言うやつだったのか? いいかげん普通に戻れっ。――キャラが壊れているぞ?」
いつまでたっても雨宮から返答はなかったので視線を戻すと、彼女は既にスヤスヤと気持ちよさそうに寝息をたてていた。
「――おいおい。また寝たのかよ……。まてよ……さっきの態度はわざとじゃなかったのか…………?」
寝起きは人の本性が現れると何処かで耳にしたことがあるが、まさかあれが雨宮の本当の姿なのだろうか? もしそうならギャップがありすぎである――。
今回は昨夜のようにがっちりと抱きつかれていたわけではなかったので、すんなりと起き上がることが出来た。
俺は寝息を立てて寝ている雨宮を放置し、静けさが漂うリビングへと向かった。
洗面所で顔を洗った後、リビングからは雨宮が作ったカレーの良い匂いが残っており、食欲をそそった。
俺は冷蔵庫から適当な食材を取り出し料理を始める。鍋に余っているカレーを温めると、匂いに誘われたのか二階から物音が聞こえた。
そして、非常に眠たそうな顔をした雨宮が姿を現す。上で着替えたのかジーンズにTシャツとラフな格好をしていた。
「お前もう一度寝るんじゃなかったのか?」
「――ん? 私はそんなこと言ったか?」
――やはりあれは寝ぼけた姿だったのか。今はもう普通の雨宮に戻っているしな……。
雨宮は頭にハテナマークを浮かべながら口を開く。
「何を惚けた表情で見ているんだ? 私の顔になにかついているか?」
「――いや。眠そうだなと思っただけだ。起きるならさっさと顔を洗って来い。さっぱりするぞ」
雨宮は頷くと洗面所へとダラダラと向かう。俺はそんな彼女の後姿を一瞥した後、簡単に料理を終わらせテーブルへと並べる。
「お~。うまそうだなぁ。流石一人暮らしをしているだけはあるな!」
「たいしたことはないさ。――さぁ、食うぞ」
窓から差す暖かな春の日差しを肌で感じた事で徹夜した体が幾 分か癒されるようだ。
雨宮はとても幸せそうな顔をして朝ごはんを食べて
いる。
――どうやら気に入ってくれたようだな……。
「今日デスワールドにダイブするって言ってたが……、いつごろ行くつもりなんだ?」
「………………ひゃぶんおひゅるごろだ!」
口をモゴモゴさせながら喋るため何を言っているのか理解しずらいが、おそらくお昼と言ったのだろう。
「昼ごろか――。あいつらと連絡はとっているのか?」
「……ふぅ。そういえば、昨日の夜連絡をとったんだが、あの子達もこの辺に住んでいると言っていたなぁ」
「ふーん。それは意外だな」
「うむ。それでだなぁ。実は――――」
雨宮の言葉を遮ってチャイムの音が家に響く。そして、玄関の方からなにやら聞いた事のある声が聞こえてきた。
俺はまさかと思いながら、雨宮に視線を向けると――
「――そういえば。きみの家の住所を教えたのを忘れていたよ。でも、どうせ一緒にダイブした方が良いだろう?」
「………………はぁ。勝手に教えやがって」
俺の発言に雨宮をクスクスと笑い、彼らを迎えるために玄関へと向う。俺が気だるさを醸し出していると、西村と葛西の笑い声が聞こえた。そして雨宮と共に現れた二人と視線が交差した。
「おはようございますっ! 神崎先輩!! 今日も良い天気ですね~! ハハハハ」
――神崎先輩……? あぁ、そういえばこいつらは俺達の一個下だったな。
「―――――朝なのに元気だな」
葛西の無駄に高いテンションが予想以上に徹夜の体に響き、俺が疲労に満ちた顔をと先程まで目を輝かせながら辺りを見回していた西村が口を開いた。
「――ごめんさい神崎さん。こんな朝早く来てしまって……」
「すず~。神崎先輩がそんな細かいことを気にするわけないだろう! ですよね神崎先輩っ!?」
「そうだぞ鈴。神崎はああ見えても心の中では喜んでいるのだ。――まぁ、不器用な男だからわかりずらいと思うがな! はっはっは」
「――ぷぷっ。不器用な男って……」
まるで本人がいないかのように話を続ける三人組。俺は雨宮達を放置し、朝食を食べるのに集中する。
「ぉ! うまそうっすね~。雨宮さんが作ったんすか?」
「――いや。これは神埼だ」
「ま じすか! ――神埼さんが料理できるなんて意外っすねぇ」
葛西はあからさまに驚き、俺をジロジロと見る。そんな視線に耐えながら朝食を食べ終え、雨宮も終わったのを確認して口を開いた。
「今回はデスワールドで何をするかちゃんと考えているのか?」
「あたりまえだ! 私を誰だと思っている? あのかの有名な雨宮真理奈だぞ?」
「――お前が有名は知らんがちゃんと作戦は考えているんだな?」
「当たり前だ! 今回の作戦はその場の流れに任せるだ!」
雨宮は胸を張ってそう言葉を口にする。
「――――はぁ。お約束か……。そんなことだろうとは思ったが」
俺が落ち込むのを見て葛西が笑いながら口を開いた。
「大丈夫っすよ神崎先輩! 何かあったら俺がいるっす! ねっ? ねっ!?」
「それが一番心配なんだよ………………」
俺の小さな呟きはテンションの高い葛西には届くことはなく、彼は高らかに笑いながら雨宮と暫く下らない話は続けた。
そして、やっと雨宮が皆に声を上げる。
「よし! それじゃ皆! 準備はいいかぁ?」
「俺はいつでもいいっすよ~」
「私も大丈夫です!!」
「俺も問題ない。それよりダイブポイントをちゃんと設定しているんだろうな?」
「――本当に神埼は心配症だな。それぐらいはとっくに鈴が設定してくれてる!」
――お前らが能天気すぐるんだよ……
雨宮は再度を俺達を見回し、手を出す。葛西と西村は順に自身の手を重ねる。雨宮は最後に俺を見る。
「――ほら神埼。きみもはやくっ!」
俺も渋々手を重ねる。すると、雨宮は俺達に一度目配せした後、透き通る声で言い放った。
『ダイブ イン デスワールド』




