憂い顔の上官 楽器のある部屋
「え!リアンさんがいるんですか!ワン!」
「ああ!今では、なんと私の上官で 酒飲み友達だ!
リアン殿・・結構!酒が強くて飲みあい勝負で3回のうち1回は彼が勝つ・・。
本当に強いぞお・・
酒好きでな・・この酒を見たら眼の色を変えるだろうな」
「リアン兄さま!・・ここにいるの・・・?
ごめんね・・ワン子さん すぐ戻るから」
「はい?ですワン」 エイルはフッと姿を消す・・。
兄さま・・・あ!いた
何やら・・地図と幾つかの書物や報告書と広げて・・難しい顔をしているリアン。
すぐ傍には磨かれた琴やリュートがぽっんと置いてある
ため息をついた後、その楽器に目をやるリアン・・。
だが、すぐまた、真剣な眼差しで地図を眺めている
「リアン兄さま・・あれ!
何か変・・そうだ・・
ちょっとだけ 髪が長い・・。
それに、右手・・良く・・琴やリュートを奏でていた・・
右の手・・腕・・。
この頃は・・兄様はずっと忙しくて・・王宮か戦地にいた・・。
少し離れた地方の王(辺境に左遷した王族)の子供である私とは・・
会う機会がなくて・・
手紙でやり取りはしていたけれど・・。」
そういえば・・親の薦めもあって・・レリヤ姫と婚約したばかりで
レリヤは、胸が大きくてしっかり者だったな・・あの子
・・・あの後で、突然、現れたアーシュの横槍(?)せいで、婚約解消したっけ・・
まあ、でも、あの頃は、本当は兄さまの役に立ちたくて・・
それに当時は、黒の国に戻って連絡不通になったアーシュの事も知りたかったから・・。
国の極秘情報も扱ってる・・軍に入りたかっただけど・・
語学の試験と魔法の試験で落ちてしまった・・だよね・・。
魔法、癒しの魔法をかけたら、何故か近くの建物が吹っ飛ぶし・・
格闘技は抜群で、剣の方は良い点をもらえたのに!
・・・苦手の語学は あの後、アーシュが教えてくれたけど・・
結局、地方の行政官の位を取るべく・・勉強と・・
身体がやせすぎ・・て・・いわれて筋肉トレーニングに励んでいた・・・
筋肉スターになるべく!かなりがんばっただけど・・力こぶをしてみるエイル
それにしても・・随分と・・・真剣な難しい顔・・。
・・・・あれ?なんだろう?
僕・・なにかとても大事な事を忘れている気がする・・・。
あ!いけない!僕の身体を捜さないと・・それに・・今はアーシュが心配・・。
この後・・・
思い出すのが遅くなってしまったがゆえの・・
防げなかった悲劇に、エイルは後悔する事になる・・。




