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8.審尋終了

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 最後の審尋が行われる直前に、会社への再反論の書面を提出した。そして7月中旬、第三回審尋。今回の会社側の出席者は役職者のみだった。双方別々に事情聴取の後、両者同席で話し合い。裁判官からは和解の勧告があったが、双方の主張は大きく離れており、それは難しいということで決裂した。両者とも7月中に最終の書面を提出することとし、8月下旬、遅くとも9月までには決定を出します、という裁判官の言葉で全ての審尋が終了した。


 その後すぐ、会社から再々反論の書面が届いた。今回は、第ニ回審尋の時に来ていた社員も含め、総勢10名もの役員、社員が書いた陳述書だった。この中には、会社にいた時に仲良くしていた人も入っていたが、そう驚きはしなかった。この書面が届く前に、何人かの社員が陳述書を書かされているという情報は入っていたからだ。「申し訳ないけど陳述書書きます」と言って連絡をくれた社内の人がいて、こちらも申し訳ない気持ちになった。


 書面の提出期限まではあと2週間。反論書面は、かなりのボリュームであったが、書面の提出はこれが最後になるので、きっちり反論しておかなくてはいけない。会社側は、とにかくあいつは酷いやつだから解雇は当然、という論調で、あらゆる角度から難点を見つけて、あることないこと書き連ねていた。そればかりか、こちらの家庭事情や個人的な趣味にまで因縁をつけてくるというひどいものだった。自分はそれらに対してきちんと反論した上で、論点を整理し、法律に基づいて判断してください、というスタンスだった。


 こちらの主張すべき論点は、労働契約が無期(正社員)か有期(契約社員)かということと、会社側の行為が解雇権の濫用に当たるかどうかということ。前に書いたとおり、労働契約の点については十分反証しているので、今までの主張を繰り返せばいいだろう。やはり問題は解雇の正当性を疑うだけの反証を示せるかどうかだ。当然、これまでにも会社側に対して反論はしているが、社内での出来事については、はっきりした証拠は示しにくい部分が多い。


 しかし、自分の勤務評価が入社時から一貫して低かったこと、3月のユーザークレーム対応の不具合が自分のミスであることの2点に関しては、何としても反証しておかなければならない。「会社の言っていることはでたらめだ。ならば、どこかに矛盾があるはず。」そう信じて会社側の主張書面や証拠書類を何度も読み返した。

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