6.第一回審尋
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第一回の審尋は6月10日頃だったと思う。仮処分申立の場合、通常の裁判とは違って、法廷での公判は行われない。地裁内の一室に裁判官と当事者が集まってやりとりをする。これを審尋という。また、普通の裁判では訴えた側が原告、訴えられた側が被告となるが、仮処分申立の場合は、それぞれ債権者、債務者と呼ばれる。つまり、自分が債権者で会社側が債務者ということになる。
審尋の直前に、会社側からの答弁書が届いた。予想通り、こちらの主張は全否定である。ざっと目を通しただけだが、ずいぶんと自分のことが酷く書かれていた。
当日、弁護士さんと地裁の1階ロビーで待ち合わせ、東京地裁民事第36部の受付へ向かう。通されたのは、ごく普通の会議室みたいな部屋だ。しばらくすると、裁判官と、M社の会長と社長、会社側の弁護士2人が入ってきた。まずは軽く挨拶を交わし、続いて双方に別々に事情を聞くということで、いったんこちらは席を外した。30分程経って我々の番となり再び部屋に戻り、こちら側の事情を裁判官に説明した。
基本的に審尋の場での受け答えは、弁護士さんに任せておいた。この弁護士さんは、かなりベテランの人のようで、裁判官からも一目置かれているようだった。過去にも結構大きな裁判で実績をあげているらしい。この時は、平行して痴漢の冤罪裁判を担当していると言っていた。偶然ではあるが、割といい先生に当たったのかも、とは思っていた。その代わり、ずいぶん多忙な人だったので、打ち合わせの日程が何度か変更されたり、証拠書類の作成もほとんど自分でやらないといけなかったわけだが。
裁判官は、会社側が金銭和解の可能性を示唆しているらしいことを告げたが、条件としては話にならない程度のものだった。現実問題として、最終的に金銭和解の交渉になることはこちらも想定していたが、この時点では具体的な話をする段階ではないだろう。
結局、この日の審尋では双方の事情を聞いただけで大した進展もなく、次回の審尋の日程を決めて終了した。向こうがどんな手を打ってくるか身構えてた部分もあったので、ちょっと拍子抜けではあった。




