5.東京地裁
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東京地裁には、実は少し前にも一度行っていた。4月に、同じ霞ヶ関にある弁護士会館での法律相談を受けた後、何かの参考になるかもと思って東京地裁での裁判を傍聴しに行ったのだ。東京地裁では、刑事も民事もさまざまな公判が行われているわけだが、自分はもちろん、民事での労働裁判が一番参考になるだろうと、その日のプログラムを探すと、ちょうど解雇について争っている公判が見つかった。
法廷に入り、やっぱりテレビと同じだなあ、などとどうでもいい感想を持ちつつ開廷を待っていると、原告、被告、そして裁判官が入廷。裁判の内容は、素行不良を理由に会社を解雇された女子社員が、解雇の無効を訴えたというもの。法廷では、会社側の弁護士が女子社員の出勤状況や、社外の知人宛に社内の人事情報や会社の悪評などを綴ったメールを証拠として提出していた。
自分も解雇された側なので、原告側の方に頑張ってもらいたいところではあったが、この裁判に関してはちょっと分が悪いような気がした。特にメールを押さえられてるのはかなり不利だろう。
容易に検閲が可能な社内メールを、そんなやりとりに使うのは考え物である。メールに限らず、社内で使うPCには色々と証拠が残りやすい。自分は会社では私用でのメールはほとんどなかったはずだが、社内で仕事と関係ないサイトを見ることはよくあったので(実際、後で会社側から指摘されるのだが)、気をつけたいところだ。
自分の前の席には、原告の女子社員の友人らしき人たちがいて、公判があるので応援に来てね、というような内容の原告からのメールをプリントアウトした紙を持っていた。彼女の健闘を一応願いつつ、その日の法廷を後にした。




