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MAD LOVE  作者: カデツェ
フランドール編
3/14

第三章 頼み事

 3日前、アリスの家。


「……で? あんたの用件は結局なんなのよ?」

 この家の主である私、アリスは、目の前で呑気に紅茶を飲んでいる白黒の魔女、魔理沙にそう尋ねた。

「ん? ……ああ! 忘れてたぜ」

 やれやれ。いきなり押しかけて来たくせに用件を忘れるとは。まぁ、いつもの事だが。私は呆れつつ紅茶を口元に運んだ。うん、今日の紅茶は上手くいったわね。少し気分が良くなった。

「お前に頼み事があったんだ」

「……なによ?」

 これまた厄介な。こいつが言う「頼み事」はろくなものがない。前に人形を貸してくれと言われたので、渋々渡したら粉々の残骸が返ってきた。さすがの私も、あれには本気で怒った。自分が丹精込めて作り上げた、言うならば娘なのだ。自分の子が壊されて気分が良くなる者なんていないだろう。

 では何故、未だに私は彼女との交際――当たり前だが恋愛関係ではない――を続けているのか? 答えは単純、私は友人関係が狭いのだ。魔理沙との関係が途切れたら、他の友人達との縁も消える。……断じて私は友達が少ない、というわけではない。

「人形を作ってほしいんだ」

「人形を……?」

 また爆破するつもりなんじゃないのかしら。前科があるだけにとてつもなく怪しく感じ、鋭い目つきで睨みつけてやった。しかし彼女は全く動じず、相変わらずの表情だった。……なんだか阿呆らしい。

「どんなやつ?」

「私とフランの見た目をしたので頼む」

「べつにかまわないけれど……。なんで?」

 自分の姿をした人形を爆破? 自殺願望でもあるのだろうか。だとしたら大問題だ。

「いや……、あいつあんまり紅魔館から出られないだろ? それで少しでも暇つぶしにでもなるように、誕生日プレゼントにでもしようと思ってさ」

「へぇ、一応他人に気を使うこともできるみたいね。ぜひ私の苦労も労ってほしいものだわ」

「そ、そのうちな!!」

「期待しないで待ってるわ」

 ちょっとだけ皮肉を言ってみたくなることもある。おかげで魔理沙は苦笑い。いい気味だ。

 それにしても、誕生日プレゼントか……、そういうことならやってあげてもいいかもしれない。一人ぼっちは寂しいだろうしね。私にはよくわかる。

「ま、そういった内容ならやってあげるわよ」

「本当か!? それじゃ、よろしく頼むぜ! じゃあな!」

「あ、ちょっと!?」

 私が了承したとたん、さっさと箒にまたがって飛んで行ってしまった。その様子を、私は茫然見ているしかなかった。

「まったく…、片付けぐらいしていきなさいよ…」

 彼女が飛び去った方向を見ながら、大きくため息をついた。


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