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MAD LOVE  作者: カデツェ
アリス編
10/14

第四章 無意識と自我

Alice in The unconscious world.


You can notice your true feeling?




(エキサイト翻訳って便利だな…)

 こいしの能力によって、アリスは意識の奥底へ落ちていく。――比喩ではなく、実際に落下しているのだが。

「キャァァァァァァァァァ!?」

 思わず叫び声を上げた。周りの景色は、悪趣味な子供のおもちゃ箱をひっくり返したような得体の知れないモノで、長い間見ていたら、頭がおかしくなってしまいそうだった。おかげで彼女は、自分がいったいどんな状況にあるのか理解できず、パニックになっていた。その一方で、やけに冷静な自分もいて、小さい頃読んだ絵本の中に、うさぎを追いかけているうちに穴に落ちてしまった、なんて話があったのを思い出した。――あの子の名前、なんていったっけ。

「…うわっ!?」

 かなり深くまで落ちて行くうちに黒い闇が現れ、アリスはなすすべもなく、そこに突っ込んだ。彼女の体はそんな事お構いなしに落下していった。

「何なのよもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」



「いった!?」

 さらにしばらくの時間が経ち、アリスの体は地面――と言っても彼女には認識する事ができなかったのだが――に頭から激突した。本来なら致命傷になりかねないが、なぜかほぼ無傷だった。

「いたたたた…、もう、ここは一体どこなのよ…」

  頭をさすりながら立ちあがり、辺りを見回したが、なにも見えず、暗闇の中にいるのかと思ったが、自分の姿だけははっきりと認識できた。つまり、彼女は真っ黒な背景の中にたたずんでいる状態なのであった。

「えっと、私はたしか…」

 自分がこうなった経緯を思い出していく。人里からの帰り道で道に迷ったこと。古明地こいしと出会ったこと。彼女に怪しげな能力を使われたこと。――ああ、思い出した。こいしのせいでこうなったんだ。

「ま、そんな事思い出しても、解決策が出てくるわけじゃないのだけどね…ん?」

 人の気配を感じた。一瞬、こいしが来たのかと思ったが、彼女はこちらから察知できない。じゃあ誰だ?気配のする方向を向く。


「なっ…!?」

 「それ」の正体は自分(アリス)だった。いや、自分自身の姿を確認してもいつも通りだし、鏡があるわけじゃない。じゃあ目の前にいる私は何者!?

「あんた…、誰…!?」

―私?貴女よ。

 「それ」は答えた。その声は口を動かして発せられているはずなのに、直接頭の中に響いてきた。そういえば、こいしは私の「無意識もうひとりのじぶん」の話を聞かせる~~とか言っていた。…そういう事か。

「…で、ドッペルゲンガーが何の用かしら?」

 強がって、平静を保てている様に言った。内心ではかなり動揺している。

―貴女が想いに任せて行動しないから、わざわざ出てきたっていうのに、とんだ言い草ね。

「あらそう、でもお生憎様。別に私は特に悩んでる事なんかないわよ?」

―自分に素直になれないのは、よくないことよ。私と貴女は一心同体なのだから、強がったって無駄。

「…そうだったわね」

 隠し事は無駄だと理解した。せっかくこいしが提供してくれた機会なのだし、とことんやってやろうじゃないの。

「私に聞かせたい話って、魔理沙の事でしょう?」

―愚問ね、それ以外に何があるのかしら?

「…たしかにそうね。で、何が言いたいわけ?まさか私がフランに嫉妬してるとでもいいたいの?」

―そうよ。魔理沙に人形を作るように頼まれてから、ずっと嫉妬の炎に身を焼いていたじゃないの。魔理沙は私の事よりあの娘の方が好きなんじゃないかって。

「…ッ!そ、それは私の思い込みで…。それに…、魔理沙が依頼してきたのは…、ただ単に友人へのプレゼントの為で…、本当は私の事が…」

―そう思っているのは貴女だけかもしれないわよ?

「う、嘘よ!!そんなこと…、あるわけ…、ない…はず…」

―本当に?

「…………」

―私達の事も魔理沙はただの友人としか見ていないのかも、いや、本当はもうすでにフランと…

「やめて…」

―他の人物と付き合っている可能性もあるわね。パチュリーとか。

「やめてぇ!!」

 いつの間にか私は泣き叫んでいた。もうこれ以上聞きたくない…。耳をふさいでも、声は反響する。

―もしかしたら貴女のことなんて友人とすら思ってないのかもしれないわね。都合のいいように利用していただけかも。あいつらにたぶらかされてね。

「嫌…、そんなのあり得ない…!!」

―魔理沙を他の奴に奪われるのは嫌?

「…嫌!!」

―なら答えは簡単よね?

「…ええ。あの女達を」








*してしまえばいいの。













「…でも、行動に移すのは少し待って」

―…なぜ?

「確かに貴女の言うことはもっともだけど、私はまだ魔理沙に…」

―告白するっていうの?

「ええ、まだ魔理沙に私の気持ちを伝えてない。もしかしたらあいつが鈍感なだけで…」

―儚い希望ね。

「でも、できる限り魔理沙の友達を傷つけて、悲しませたくないもの」

―…まあ、そうね。せいぜいがんばりましょう?自我わたし…。



そしてアリスの意識は覚醒した。



生存フラグが立ちました~







この物語にハッピーエンドを認めない!!(赤文字)

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