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青葉若葉  作者: 咲月
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春・麗らかな日々 一

完結出来るかな?

 春といえば、対外の人物は出会いを連想して心躍る季節でしょう、少し虫が気になりますがこの季節は温かくて外出にも適する季節です。



 さて、もう口調を作るのも良いかな?

 そしてこの二人、本日高校二年生になるのだがすでに始業式から険悪ムード。

 「なんでアンタが隣に座ってんの?」

 「それはこっちの台詞なんだけど?」

 ギスギスとした空気がその二人の間だけで存在するかのように他のクラスメイトは我関せずというスタンスだ。

 「だいたいどうして土宮と進藤が並んで座ってるの? 馬鹿なの?」

 「ダラダラ五月蝿いんだよ少しは静かに座ってろ俺まで騒がれてるように思われる」

 お互いのボルテージは徐々に上がりつつある、この式が終わるまでに激突しないか非常に心配だ。

 二人の喧嘩を止めようとしているのは誰ひとり居ない、それは二人が気をはらって内緒話程度の音量で口喧嘩を繰り広げているから。

 しかしその音量も次第に大きくなっていく、真っ先に少女が立ち上がろうとしているが少年がそれを止めようとしない。

 「いい加減に不明なことを不明なままにするのやめない? あたしイライラするんだけど」

 「てめぇがイライラしようと知ったこっちゃないんだよ、理由を探したければ担任に直接聞いてみれば良いだろうが、なんでも聞かなければ出来ないのかよ?」

 「あんたホンッとムカつく」

 「そうかいそれはありがとう」

 ブチッという音がどこからか聞こえたと感じた少年は、しかし横を見るだけで即座にその出所を見つける。

 座っていたはずの少女が仁王立ちしている、また面倒臭い事になった。といいたげな表情の少年はアイマスクをつけて寝ようとする。

 「あんた立ちなさいよ!! 今日という今日は決着付けてやる」

 アイマスクを中途半端にずらし片目だけ見えるようにして少女に言い放つ。

 「なにが決着だよ、お前が春休み中追いかけ回すからただでさえ少ない春休みが消え去ったんだぞ、これは責任とってもらうしか無いだろう」

 二人の喧嘩は次第に本気になりつつあったが少女が立ち上がったことで教員達も見て見ぬふりを出来なくなったのかゆっくりと歩いて来る。

 「あー、お前が立つから教員にバレちまったじゃないか。あーメンドクサイ」

 片言喋っている時点で明らかに面倒臭いと思っていない、どころか面倒臭い状況から脱せられるとすら思っているのだろう。

 「二人ともちょっと職員室に来てくれる?」

 案の定つまみ出された。




 職員室内で、くどくど説教を喰らっている二人は一応しおらしい態度を取っておきつつ心の中では「コイツ(相手)あとで絞め殺す」と考えている、物騒極まりない思考だが結局はすぐに仲直りするのだから問題はない。

 『失礼しましたー』

 「お前があそこで立ったりするから俺まで説教喰らっただろうがどうしてくれるこの時間!!」

 「はぁ? 真面目に座ってろとか言ってたわりにガンガン本読もうとしてたくせに何言ってんのこの人はー」

 「くっそマジで腹立つこの野郎、揚げ足取りはお前の専売特許だったかな?」

 「なにその言い方!? こっちだって腹立ってるんだけど?」

 二人は階段を登りつつ軽い口喧嘩を続けている、どうして二人はここまで仲が悪いのだろうって思うこともあるけれど実はこの二人すごく仲が良いのだ。

 お互いがどこか気に食わないのか喧嘩していないとやってられないのか、移動教室でも結局二人揃っていることばかり。

 「で、あたし達って何組? どうせ二人セットでしょ」

 その言い方なんか腹立つな。という視線を投げかけるが即座にやめて前を向く。

 「三組、ご丁寧に俺達の名前だけ別にしてやがるんだよ」

 「はっ、マーキングは継続中ってこと? そりゃああんだけ暴れればマーキングはされるだろうけどね」

 この二人は去年の終業式、つまり二週間前に超壮大な喧嘩をした。ガラスは割れて机は粉々に砕けちり少年は顔に青痣を作り、少女の体には服の後ろで痣や内出血が大量に隠されている。

 しかしその大きな喧嘩をしてからすっかり仲良くなったようで今では軽い喧嘩なら日常茶飯事だ。

 その時の騒動のせいで職員室内での二人の評判はすこぶる悪い、まぁそのあたり二人は計算しているのかもしれないけど。

 階段を登りきり、自分達がこれから過ごすであろう教室に入った。

 「こんちゃー遅れましたー」

 「ういーす遅れましたー」

 似たような挨拶をして再び喧嘩の火種になりそうだったが担任の冷静なツッコミで二人の頭も(というより気分)落ち着いていく。

 「取り合えず座りなさい、問題児コンビ」

 そう促されて二人揃って席につく、隣同士なのがまた二人の神経を逆なでしたがそこら辺はお互い自重したらしい。激突せずに二人が大人しく席に着いたのを疑問に思ったクラスメイトは皆怪訝な表情でいる。

 「それじゃー取り合えず俺の紹介と行かせてもらう」

 そういった教師は黒板に自分の名前を書いていきわざわざ自分の口から名前を読み上げた。

 「黒崎翠、正真正銘男だけどこんな名前だからよろしく」

 あの字はそのままみどりと読むらしい、自分の名前も少し女っぽいからか少年の中にはほんの少しのシンパシーを感じている。

 「それじゃあ自己紹介してもらおうか、出席番号一番から」

 その言葉通りダラダラとした自己紹介が終わり係などを決めるべく全員で会議が始まる。

 「それではクラス委員長から決めていこう、俺の推薦でそこの問題児コンビ!!」

 二人揃って眠ろうとしていたところを大きな声で指名されたら起きるしかない。

 「なんの用ですかこの野郎」

 「まだ寝る……」

 更に机に突っ伏して寝ようとする少女の頭をバシリと叩き文字通り少女の意識をたたき起こすのは教員ではなく少年だ。

 しかしついさっきはシンパシー云々言ったけどそれは前言撤回するかもしれない。

 この二人は決して相いれるような仲では無い、これからもそうだろう。

 「お前ら二人でクラスの代表やって、委員長と副委員長ね」

 「随分身勝手な言い方だな、それは強制か?」

 「てめぇこそ教師に向かってなんだその口の聞き方は、内申書の評価消し飛ばすぞ」

 職権乱用発言だけど少年が得に気にしている感じはしないので少女も口を出さない、というよりいまさっき頭を叩かれたほうに怒りをそのまま持って行ってるようだ。

 「そんなことより謝ってくれない、すごいい頭痛いんだけど」

 「知ったこっちゃねえんだよ、爆睡してる自分に文句言っとけ」

 実行犯が何を言ってやがる、その口よりよほど雄弁な視線が語っている。しかし少女はそこまで怒っているわけではない、実際頭部に受けた攻撃は一瞬だけとんでもなく痛いだけで即座に痛みは抜けていくようにやられたからだ。

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