いろいろおかしい婚約破棄のざまぁへの過程
「・・・・という理由で婚約破棄だ!」
私はアルテシア、大勢の前で婚約破棄を宣言されたわ。
私の能力不足をあげつらわれた。
それだけなら良い。お父様とお母様の悪口も言われたわ。
浮気相手は格上の侯爵家の令嬢、文句は言えないわ・・・
「お嬢様、帰りましょう」
「ええ、そうね」
「馬車は出さないぞ。歩いて帰れ!」
屈辱だわ。わざわざ馬車で迎えに来て・・・
ニタニタ笑いながら、門までついて来た。歩いて帰る令嬢・・・屈辱だわ。
その時、メイドのケリーが何かを見つけたわ。
「お嬢様、タクシーです!タクシーで帰りましょう。ヘイ、タクシー!」
え、馬のない馬車が来るわ。
目の前で止って・・・
ドアが開いた。
「お嬢様、お入り下さい」
「ええ・・・」
運転している方は外国人のようだ。黒髪で肌が濃い。お父様と同じ年齢かしら。
「お客様、どこまで?」
「王都貴族街、四番街のヘイダー伯爵邸まで!」
「はいよ!」
「おい、待て、それは何だ!」
「デービット、私も乗りたいわ」
2人の戸惑う声が聞こえるわ。
タクシーの御者は勝手に話し始めた。
「いえね。転移しちゃって、スキルがタクシーですよ。だけど、そうはならんでしょう・・・」
「ええ・・・」
ガソリンは勝手に補充されるし、法定点検も勝手にされるし、メーターもこの世界の通貨になっているし。名札もこの世界の文字に変わっている。
全く訳分からないのです。
「お嬢様は園遊会のお帰りですか?」
「いえ、婚約破棄をされましたわ・・・」
「えっ、それは失礼・・しました。悪役令嬢の方ですか?」
「悪役令嬢・・・」
「失礼しました。なら、案内するところがあります。カラオケです。楽しいですよ」
「カラオケ?」
「お嬢様、行きましょう。楽しいですよ!今、王都で評判です。お嬢様は領地経営の勉強ばかりしていましたから知らないのも無理はありません」
そう・・・もう、領地経営の勉強はしなくてよいわ。デービットは全くしなかったわ・・・
王都の繁華街についた。
カラオッケと看板がある。ケバケバしいわ。
「・・・お代はおいくらかしら」
すると、御者はメーターを下ろした。
「失礼な口を利いちゃって、お詫びでただで良いですよ」
「まあ・・・」
「お嬢様、行きましょう。王都で大人気ですよ」
御者が案内で店に入る。
また、黒髪の男だ。老齢だわ。
「平松ちゃん。彼女たちに部屋を用意してくれ」
「はいよ。予約で埋まっているが吉田つあんの頼みじゃ仕方ない。転移仲間だ。飲み放題をつけるよ」
部屋に入った。魔道機械が置いてある。
「お嬢様、飲み物を取ってきます。何が宜しいですか?コーラーがお薦めです」
「・・・じゃあ、コーラーで」
☆数時間後。
ジャガ!ジャガ!ジャガ!ジャガ!
ケリーがマラカスを振って盛り上げてくれるわ。
「ああ~、令嬢峠♩冬景色~♩」
「お嬢様、すごいです!90点です!」
「フフフフ、次はケリーよ。曲は何かしら・・・あら、もう入れてある。メイドブルースね。タンバリンでいいかしら」
「吟遊詩人こね。飯はイモばかり。弟は鼻水たらして空見あげてる~♩ああ~、王都でメイドさなるさ~♩・・・」
「まあ、98点、負けたわ・・・」
「お嬢様、毎日歌っていますから」
楽しく過ごしたわ。変わったお食事がでるわ。でも、美味しい。はじける水も癖になるわ。
「お代は結構です。吉田つあんの紹介だからね。初回サービスです」
「有難うございます。あの、予約できますか?」
「もちろんですよ。優先権があります」
屋敷に帰って、お父様とお母様に報告した。
「婚約破棄されましたわ」
「そうか、やっぱりな」
「アルテシア、吹っ切れた良い顔になったわね」
「お姉様、ズルイ!お姉様、カラオッケに連れて行って欲しいの~!」
「フフフ、今度は3人で行きましょう」
「ワーイ、お姉様大好き!」
予約の日を楽しみに待っていたら。デービットが来た。
お父様は激怒しているが、侯爵令嬢と結婚するから強気にでられないわ。
「よくも、ノコノコと・・」
「あなた。抑えて」
「アルテシアはいるか?カラオッケに行くそうだな。その権利を寄越してもらおう。マルガリッタと視察に行くように侯爵閣下に命令されたのだ」
「そ、そんな・・・」
飲むしかなかった。
予約の日、当日はヨシダさんが迎えにきたわ。
「え、予約の変更・・・人を?」
「金は払うぞ。私とマルガリッタを連れていけ」
「貧相な御者ね。我が侯爵家では御者もイケメンよ」
「あま、いいけど・・・」
ヨシダさんは渋々2人をタクシーに乗せた。
「ヨシダさん。申訳ございません」
「まあ、大丈夫だ。あの二人なら・・」
「えっ」
意味深だから聞こうと思ったら、メルルが泣いて遮られたわ。
「ウワーン、グスン、お姉様!」
「私がリュートを引いてあげるから、お歌を歌いましょう」
「私はお菓子と飲み物をご用意します」
3人で屋敷でカラオッケごっこをして遊んだわ。
☆☆☆カラオッケ店
「ほお、明るいな。蛮族にしては魔道具だけはいいな」
「・・・どうも、アルテシア様の代わりですね」
「そうだ。支配人、最高の待遇をせよ」
「はい、大部屋をご用意します。ソファー付ですよ」
ヒラマツさんは、部屋に案内して意味深に言ったそうよ。
「ほお、ソファーはフカフカだ。寝られるぞ」
「キャア、すごいわ」
「お二人は紳士淑女です。大丈夫だと思いますが、あえて言います。この部屋でいかがわしい行為をしてはいけません。もし、したら、ペナルティがございます」
「するわけないだろう」
「そうよ。全く下品だわ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後、社交界から帰って来たお母様が報告してくれたわ。
顔が笑っている。悪い笑顔だわ。
「アルテシア、あなた、聞いて、あの二人、貴族籍から抜けたそうよ」
「「えっ」」
何でも、カラオッケ店でいかがわしい行為をして・・・
「離れなくなったのよ。マルガリッタ様、痙攣を起して・・・クス、二人くっついたまま回復術士のところまで運ばれたそうよ・・・それも、マルガリッタ様が上よ。クスッ」
「まあ・・・・」
「お母様、意味が分からないの~?」
「メルルは知らないで良い事よ」
カラオッケの神はカラオッケ以外の使用を拒むそうだ。それがスキル・カラオッケ店経営の守護。
例えば、カラオッケ店で金貸しや、売春、連れ込み宿として使うと、天罰が下る・・・
もしかして、ヨシダさんはそのことが分かっていて・・『大丈夫だ』と言ったのかしら・・・
とりあえず。カラオッケ店の大部屋は、しばらくは使用禁止。聖女様を呼んで浄化の魔法をかけるそうだわ。
ヤダワ~、浄化をしても使いたくない・・・・やった部屋が分かるじゃない。
とりあえず当分は3人でカラオッケ店に行く予定だわ。
最後までお読み頂き有難うございました。




