革命の光と影
どうも、お世話になっております。負け豚野郎です。一晩で真面目にやってネタを少なくしました。
## 第一話 〜神との出会い〜
俺の名前は**ハルカ・シノミヤ**。
43歳の中学教師。
教員歴20年。ベテランなんて呼ばれる歳になったが、正直しんどい。
この日も朝から通勤ラッシュに揉まれて、ようやく信号待ちに辿り着いた。
――ピヨピヨ…
信号は青……って、緑だろ、どう見ても。
誰が青って言い出したんだか。
……って、え? あの車、止まる気ないじゃん!
「おい! 危ない!!」
身体が勝手に動いていた。
目の前の子どもを突き飛ばし、代わりに――
――ガンッ!
……ああ、終わったか。
痛みはない。視界がぼやけていく中、助けた子どもが泣いてるのが見えた。
ああ、無事ならそれでいい……。
「やあ、こんにちは」
――ん? 誰だ?
気づけば真っ白な空間にいた。
音も風もない。不思議と落ち着く場所。
「僕は“神”だよ。君、立派だったからさ。ご褒美に“異世界で第二の人生”、どう?」
あ? はあ? 神だあ? 誰だお前。
「まあまあ。君みたいな善人、久しぶりでさ。ちょうど“空き”が出たんだよね、神の席に」
いやいや、俺が神ってなんだよ。教員免許しかねーぞ。
「異世界の神って、案外ゆるいの。力も自動的に付与されるし、何ならチュートリアル付き!」
勝手に決めんなって!
「じゃあ、行ってらっしゃーい! 神様、楽しんで〜!」
ちょ、待――
――ピピロロロ…
【チュートリアルを開始しますか?】
☆YES☆ ☆NO☆
……マジかよ。
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## 第二話 〜異世界チュートリアル〜
【チュートリアルを開始しますか?】
☆YES☆
「やっほー、ハルカくん。改めて、ようこそ異世界へ!」
またお前かよ、胡散臭い神様。
「まーまー。ここからが本番。まずは“神の力”、使ってみようか」
はいはい、何すれば?
「そこにある木、動かしてみて?」
は? 木って、物理的に?
まあいいか、念じればいいんだろ?
【木、動け】
――ズズズズ…
え。マジで動いた。
「ナイス! ほら、君は正真正銘の“神”なんだよ」
おいおい、雑すぎんだろ。
「じゃ、チュートリアル終わりっと! 次は世界の管理、よろしくね!」
いきなり放り投げたな…
目の前に街が見える。行ってみるか。
【あの街へ移動】
――シュンッ!
うおっ、転移も自由かよ。便利すぎ――
「止まれ!!」
は?
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## 第三話 〜神は危険人物〜
「そこの者、止まりなさい!」
街の門番らしき女戦士が駆け寄ってくる。
「入国証を提示しろ!」
いきなり高圧的だな。
いや、異世界ってこんなもんか。
「あー……その、俺、神なんだけど?」
「……ふざけるな!! 神など、存在してはならない!!」
……どういうことだよ。
「今、この世界は“神の座”を巡って争いが絶えない。神の力を持つ者は、すべて危険視されるのだ!」
マジか。
でも、証明してやるよ。
【木、再び動け】
――ズズズズ…
「……本当に……神の力……!? そんな……でも、それなら……!」
急に表情が変わった。
「私は**リア**。この街の門を守る者。……申し訳ありません、疑って」
まあ、しゃーないよな。
「しかし、あなたが神だと知れれば……命を狙われます。どうか、身を隠してください!」
そうか、力を持つ者は敵視される……この世界、思ったよりヤバいな。
「門を通ってください。中にはあなたの力を求める者もいます。気をつけて…!」
リアに見送られ、街の中へと入った俺――
“神”として、世界を歩き始めた。
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。
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## 第四話 〜街探索〜
門を越えた私は街を探索していた。
見た目は中世ヨーロッパみたいで、異世界って感じがすごくする。
ちょっと歩いていると、広場があった。
そこで大道芸人のような格好をした男が叫んでいた。
「ようこそ! ようこそ! この世界で唯一神の名を知る者、その名もクレマンティーヌ様のご登場だ!」
どわっ!?
「クレマンティーヌ様のお力を見せてやってください!!」
すると、フードをかぶった女が現れて、突然地面から火柱を立てた!
「すげぇー!!」
「クレマンティーヌ様万歳!!」
みんながそう叫んでいた。
うーん、これは調べた方がよさそうだな。
「なぁなぁ兄ちゃん、この人って何者なんだ?」
「あぁ? お前、知らないのか? 世界中で神を名乗ってんのはこの人だけなんだぜ! 世界の大戦争を終わらせる唯一の救世主なんだよ」
へぇー。
「……なぁ、よく見たらあんた…神っぽくね?」
げっ!!
「ま、まさかあんたも神を名乗るってんじゃねぇだろうな?」
「神はひとりで十分だぞ?」
やばい……
【透明化!】
「わっ!? 消えた!?」
「まさか…本物の神か!?」
逃げるが勝ちじゃー!!!
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## 第五話 〜酒場〜
やばいやばい、気配を消して遠くの酒場に逃げてきた。
「へいらっしゃい」
カウンターに座ると、髭を生やしたマスターが話しかけてきた。
「お前さん、旅の人かい?」
ああ、まぁそんなところかな。
「ここは神のいない世界…旅人は珍しいねぇ」
ふーん。
「この世界の真実を教えてやろうか?」
は?
「その顔、聞きたそうだな。教えてやるよ!」
うーん、なんか一方的なやつだなぁ……
「神がいないってのは建前でな、ほんとはこの世界には神が二柱いたんだよ」
二柱?
「ひとりは人々を見守り、導く神。そしてもうひとりは神の力を使ってこの世界を支配しようとした神さ」
はぁ…
「で、そのふたりが争った結果、相打ちになって消滅したんだと」
そんなことがあったのか。
「で、だ。いまはその神の力が世界中に飛び散って、誰でも『神になれる可能性』があるって噂になってる」
そりゃ戦争にもなるわけだな。
「おっと、話しすぎちまった。まぁ気をつけな。……“力のある奴”は命を狙われるのさ」
肝に銘じておこう。
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## 第六話 〜使徒〜
【家、出現しろ】
よし、今日は街外れに隠れ家を作って寝よう。
ひとまずここで生活の拠点を作らないとなぁ。
家具も、ベッドも……【出現しろ】。
完璧だ。神の力、チートすぎるな。
トントン
……ん?
「失礼します」
誰!?
「私はエリナ。この世界で神を探す旅をしています」
どっから入ってきた!?
「さっき、あなたの家が突然現れるのを見ました。あなた……神ですね?」
え、いや、それは――
「隠さなくて結構です。あれは神の奇跡です。間違いありません」
……ああ、はい。実は神です。
「やはり! 私は、あなたに仕えさせていただきたくて来たのです!」
は?
「元々、私は先代の神の使徒でした。でも、神が消滅してしまって、行き場がなくなっていたのです」
先代……って、あのふたりの?
「ええ。私は導く神に仕えていました。あなたの力は、それに似ている……そう感じました」
なるほどね。
「どうか、私を使徒として迎えてください!」
うーん……わかった。よろしく、エリナ。
「はいっ!!」
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## 第七話 〜同盟〜
エリナが仲間になってから、生活は安定してきた。
彼女は料理もできるし、身の回りの世話もしてくれるし、文句なし。
しかも強い。神の使徒は伊達じゃない。
ある日、家の近くに見慣れない旗が立っていた。
「これは……他国の偵察隊ですね」
え?
「おそらく、あなたの神力を感じ取って、調査に来たのでしょう」
マジか……
「こちらも対策を考えましょう。いっそ、味方を増やしては?」
味方?
「はい。“反戦同盟”を掲げて各地の勢力と手を組むのです」
それって……国を作るってことか?
「ええ。神であるあなたにしかできません」
……なるほど。面白くなってきたじゃないか。
よし、やるか!
俺がこの世界の秩序を取り戻してやるよ!
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## 第八話 〜始動〜
よし、まずは各地の村や町に声をかけて、同盟の仲間を増やしていこう。
だけど、いきなり「神です」って言っても信用されないだろうし、どうしようかな……。
「神の力を見せれば、自然と人は集まります」
いや、それって逆に怖がられるパターンじゃない?
「では、“助ける”のです。困っている人々を救えば、信頼が得られます」
ふむ、なるほど。確かにそれが一番自然かもな。
「最初は西のサルム村が良いかと。盗賊に悩まされているようです」
OK、それじゃ行ってみよう!
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## 第九話 〜盗賊団〜
サルム村に到着すると、確かに村は荒れていた。
建物が壊れ、人々の顔には疲れが見える。
「こんにちはー、村長さんいらっしゃいますかー?」
「あんた……旅の者かい? 今は出てったほうがいい。ここは盗賊どもに狙われてるんだ」
「だからこそ来たんですよ。盗賊を退治しにね」
「なにぃ!? ……あんた、無謀なことを……」
「任せてください。俺、ちょっと特殊なんで」
夜、盗賊団が現れた。
人数は20人ほど……まぁ余裕だな。
【重力結界・展開】
動きが鈍くなる盗賊たち。
「な、なんだ!? 足が……重っ!!」
【雷槍・連撃】
全員、一瞬で沈黙。
「す、すげぇ……まるで神の力だ……」
「……村長、この人、本物の神様なんじゃ……?」
「…………」
「はい、本物です」
エリナ、暴露すんな!!
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## 第十話 〜拠点〜
サルム村を救ってから数日、村人たちは俺たちを信頼し、協力してくれるようになった。
拠点として村の一角に本部を作り、俺たちの活動を“神盟”と名付けた。
なんか格好いいだろ?
「神盟……響きがいいですね」
だろ?
「ですが、他の勢力からの警戒も強まるでしょう」
まぁ、覚悟の上さ。
すると、ひとりの青年が訪ねてきた。
「神様……俺を仲間にしてください!」
「君は?」
「元は帝国兵士でした。でも、上官の命令で村を焼けと言われて……嫌気が差して逃げてきました」
ふむ……
「俺、戦えます! でも、誰かを傷つけたくないんです。神様のように、人を助ける力になりたいんです!」
「名前は?」
「カイルです!」
「よし、カイル。ようこそ神盟へ!」
「はいっ!!」
少しずつ、俺のもとに人が集まってきている。
きっと、これが始まりだ――この世界を変えるための、最初の一歩。
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## 第十一話 〜侵攻の足音〜
神盟の名は、近隣の町にも広まりつつあった。
助けを求めてやってくる人、仲間になりたいと言う者……少しずつ、確かに力になってきている。
「報告です! 東の砦が帝国軍に制圧されました!」
「やはり、動き出したか……」
帝国は、俺たち神盟の台頭をよく思っていない。
そりゃそうだ、支配する側からしたら、民衆が力を持ち始めるのは都合が悪い。
「我々の規模では、まだ正面からの戦は避けるべきです」
ああ、わかってる。戦って勝つことが目的じゃない。
この世界の仕組みそのものを変えたいんだ。
「……神様、俺、やっぱり怖いです」
カイルが震えていた。
「怖くて当然だよ。でも、お前の勇気は本物だ。怖くても立ち向かえる、それが本当の強さだ」
「……はい!」
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## 第十二話 〜密偵〜
ある夜、村の周囲で不審な動きがあった。
結界に引っかかった痕跡がある。
「まさか、帝国のスパイ……?」
俺は姿を消して、夜の森を駆ける。
【透明結界・起動】
気配を完全に消して、木々の間を進むと――いた。
黒装束の人物が、地図を手にして村の様子を描いている。
「誰だ!」
叫ぶと同時に相手は逃走。だが、こちらのほうが速い。
【瞬歩】
一瞬で背後に回り込む。
「……っ!」
「捕まえた」
マスクを剥がすと――少女!? しかも若い。
「あなたが……“神”ですか」
「お前、帝国の兵か?」
「いいえ。私の村は帝国に滅ぼされました。だから情報を集めてたんです。あなたが、本当に神なら……この世界を変えられる人なら……」
「名前は?」
「リィナ」
「よし、リィナ。神盟に来い。情報屋として、君の力が必要だ」
「……はい」
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## 第十三話 〜動き出す世界〜
神盟には、新たな仲間が加わった。
元帝国兵のカイル、情報屋のリィナ。
そして、他にも各地から技術者や薬師、弓兵が集まり始めていた。
「神様、すごいですね……本当に、皆が希望を抱いてる」
「それだけ、今の世界に不満があるってことだよ」
でもそれは裏を返せば、帝国にとっては脅威ってこと。
「神盟の本拠地が特定されつつあるという情報があります」
「……早いな」
「帝国の動きも加速しています。今のうちに、本格的な防衛体制を整えるべきです」
ああ、やろう。
ただの自衛ではなく、“守るための力”として。
そしてもう一つ、俺には考えていることがある。
「いよいよ、動く時が来たかもしれないな……」
「神様……?」
「帝国の中枢に、接触する。直接話してみたいんだ」
「なっ……それは危険すぎます!」
「でも、戦わずに済むなら、そのほうがいい。戦争は最後の手段だ」
そう、神だからって無闇に力を振るっていいわけじゃない。
“変える”とは、壊すことではない。
“繋げる”ことだ――この世界の可能性を。
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## 第十四話 〜対話の扉〜
帝国との対話は、無謀だと思われても仕方がない。
だが、それでも一縷の可能性に賭けたかった。
「神盟の代表として、俺が行く」
「護衛はつけます。最小人数で。私とカイル、それにリィナで」
マリアが真剣な眼差しで言った。
「……ありがとう」
帝都への道は険しく、各地の監視網を避ける必要があった。
「ここを通れば、旧帝国街道へ抜けられます」
リィナの情報は的確だった。彼女は帝都の構造まで把握している。
「“対話”なんて、通じると思いますか?」
カイルがつぶやいた。
「思わない。でも、やってみなきゃわからないだろ?」
帝都に着いたその夜、俺たちは極秘裏に、ある男と接触する。
帝国の若き宰相――レオン・グラディウス。
「……君が“神”か。思っていたより、ずいぶん人間くさいな」
「人間だからな」
「その謙虚さが、我々には一番の脅威なのかもしれない」
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## 第十五話 〜宰相の選択〜
「レオン、お前はこの世界をどうしたい?」
俺の問いに、宰相はわずかに口元をゆがめた。
「理想? 正義? 世界平和? 笑わせるな。国家は現実の上にしか立てない」
「だから民を犠牲にするのか?」
「犠牲なしに変革は起こらない。それを知ってるから、私はこの地位にいる」
「でもお前は、話をしてるじゃないか。俺と」
「……君が“神”でなければ、今ごろ牢の中だっただろうな」
彼の目は冷たく、しかし奥底に何かを秘めていた。
「……帝国の上層は、君たち神盟の存在を危険視している。が、私は……別の可能性も考えている」
「協力してくれるのか?」
「条件がある。帝国の軍事施設を襲うな。民衆への呼びかけは制限付きで行え。代わりに、改革案を出せ。君が“変える”というのなら」
「……いいだろう。やってみせる」
握手を交わす。
それは同盟ではない。ただの一歩。
でも、未来へ続くかもしれない一歩だった。
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## 第十六話(最終話) 〜そして世界は〜
神盟は変わった。
俺たちは“革命軍”から、“再建者”へと役割を変えた。
戦いではなく、再編を。
奪うのではなく、与えることを。
「学校ができたんです! 子どもたちが、字を読めるようになってきてます!」
マリアが報告を嬉しそうに伝えてくれる。
「農地の共有化も順調だ。水路工事が成功すれば、周辺の村も救える」
カイルの報告も頼もしい。
「帝都内部に情報拠点を3カ所、配置しました。民衆の支持率は、昨年より30%増加」
リィナの情報は、俺たちの未来の方位磁針だ。
俺は、“神”であることに苦しんだ時期もあった。
だけど今は、わかる。これはただの“肩書き”だ。
人々の希望が、俺を“神”にしたのだ。
「……神様、あの頃の僕、覚えてますか?」
カイルが笑う。
「ああ。怖くて震えてたお前が、今じゃ前線のリーダーだもんな」
「神様も、ずいぶん人間くさくなりましたよ」
「そりゃ、最初から人間だからな」
笑い声が響く。空は晴れていた。
そして世界は、確かに変わり始めている――。
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どうも、負け豚野郎です。お読みいただきありがとうございます。帝国に歯向かう物語描きたくて、描かせていただきました。
ここだけの裏話なんだけどムライセンセイの世界と世界線共有してます。