19 結果オーライ
「良かったねえ〜」
「そうだね」
「「結果オーライ?」」
部室でやっと落ち着いて、気も抜けた。
双子なんてクッションに転がってダラけている。いつもはスライム達が乗っているクッションだけど、今はネコラとライムがに双子の頭の上に乗ってまったりしている。
他はちゃんと椅子に座っている。モモフィーちゃんは相変わらず私達の後ろに椅子を持ってきて座り、そこから双子を観察してるけど。そしてモモフィーちゃんの膝の上にはマルコがいる。
すっかり懐いちゃってべったりだねえ。良いなあ。
ライムはいつになったら子供… じゃなくて分裂、してくれるのかなあ。色が変わってきていたけど、クロシェ達と合体してまた分裂したら、元の水色に戻ってたんだよね。
また毎日の魔力を込めた餌やりがんばらなきゃ。
「部費どうする〜?研究旅行とか行けないかなあ」
行けないだろうと思いつつも言ってみる。希望を言うだけはタダだもんね。
「行きたいけど部費では無理だろうね。でも、シュカと旅行は行きたいな」
「うん、私も!」
クロシェと手を取り合う。2人きりで旅行なんて… 行きたいに決まってる!まだ早いけどねっ。
「ふふ、シュカちゃんとクロくん2人じゃお家の人の許可が貰えないんじゃない?」
イエスリーが言った事は最もだ。
最悪兄弟が着いて来かねない。そうなったら本当に最悪だ。ゾッとする。
あ、でも女装してもらって女の子だって言い張ったら…
いや待てよ。女の子に変身して貰えばいける…⁈
いやいや、流石に彼氏との初旅行にそれは無いか…。
「そうだよねえ」
「研究会の合宿って事にしてみたら?」
「え?旅行を?」
イエスリーが提案してくれる。確かにこれから夏休みも来るし、その間に合宿と言うのも有りだよね。
どこか行きたい所でもあるのかな?
「そうだね、ここまで頑張ってちゃんと部活動として認められて…、と言うか研究の成果が見込めると認められたんだもんね」
「「良いねー旅行」」
双子も乗り気だ。遊びには基本いつも乗り気だ。
「でもどこに行くの?」
イエスリーに聞くと、スライムの生息地で割と近い場所をいくつか教えてくれた。
流石イエスリー!
「モモフィーちゃんも部員になって一緒に行くよね?」
後ろを振り返って聞いてみる。
「私も?でも、スライムに興味は…」
「「スライムおもしれーよ」」
「!!」
双子に話しかけられて、モモフィーちゃんが固まる。
マルコが膝の上でぴょんぴょん跳ねると、モモフィーちゃん再起動。
「あ、あの、私…」
「「部員になるよねー?」」
「はっ…はい!」
「これ入部届けね」
イエスリーがサッと紙とペンを渡して、すぐに書かせる。
わーい!部員ゲットー!
男女3人づつで良い感じだよね。
そのままイエスリーは机を二つ並べると、スライム研究ノートをモモフィーちゃんに渡して報告書に書く内容を相談し始めた。
ああ…
助手が欲しかったのかな…?
役に立てなくてごめんねっ…
「「どこ行こっか〜」」
双子はいつの間にか地図を広げて、スライム生息地をチェックしている。
「皆様テスト勉強は大丈夫ですの?」
そこへモモフィーちゃんがテストの話しを…
ん?テスト?
「ああ!初めての定期テストが… いつだっけ?」
「来週ですわ」
「えっ」
ヤバい。何もやってない。いや授業はちゃんと真面目に受けていたんだよ。でも覚えてるかと言われたら、それはねえ?
「「授業聞いて教科書読んでるから大丈夫」」
「それで大丈夫なのはあんたらだけだよ!」
双子はいつもこうだ。予習復習無しで高得点を取る。ズルい。その頭の作りをよこせ。
ちなみにイエスリーはちゃんと予習復習をして高得点だ。
えらい。
「流石ですわ…!私は今週からテスト勉強を始めましたの。少しでもお2人の点数に近づける様頑張らなくては…!」
気合いを入れるモモフィーちゃん。頑張れ!
いや私も頑張らないといけないんだよ…
クロシェはどうかな?
クロシェの顔を見ると目が合い、ニコッと笑った。
「シュカ、一緒に勉強しようね」
「クロシェ…うん。頑張るよ!今日から始めた方が良いよね?」
「うん。こっちの机で始めようか」
横並びに机を並べてくっつけて、早速テスト勉強スタートだ。
合宿の件も、テストの点数が危ういと行けなくなりそう…
「俺ら帰るわ」
「またねー」
双子はさっさと帰ってしまった。頭良いけど教えてくれた事は無いんだよね。いや、有った…かな?
小学生の時にちょっと聞いたけど、教え方が下手で全然分からなかったんだ。教師には向かないね!
「最初だから、基本はきっと出るよね。このページの表は覚えた方がいいかな」
クロシェが教科書に指を沿わせて言う。確かにそうだけど、覚えるの大変だなあ。
「うん… でもこっちも基本だよね。これも覚えるのか…」
「そうだね。とりあえず端から覚えていこう」
まずは見て覚えて…
イエスリーとモモフィーちゃんもテスト勉強を始めたみたい。
まずはテストを乗り越えてから、合宿の計画を立てるんだ…!
合宿もせっかく行くなら遊ぶだけじゃなくて、ちゃんとスライムの事も調べたいし。
そして将来は、クロシェと一緒にスライム牧場を経営するんだ〜!
スライムの需要も絶対に有ると思うし、上手く育てればペットにも番犬にもなれるはず。
魔力を蓄え事も出来るみたいだし、研究次第で夢が膨らむね…!
「とりあえずここまで覚えて、順番に言っていこうか?」
「うん、分かった。ええと…」
ちょっとでも、クロシェに良い所を見せられる様に今は暗記を頑張らなきゃね。
そして私達は、何とか勉強をして定期テストに挑むのであった。
色々大変だけど、これからも頑張ります!ほどほどに。
クロシェの土魔法も一緒に練習して行けたら良いよね。
チラリとクロシェを見ると、隣なのでもちろんすぐに気付き、にっこり微笑みが返ってくる。
うん。この笑顔の為なら、私頑張れる…!
ではまたね〜!
おわり