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15 くるくる

それから1週間。

私達の守りもあり、モモフィーちゃんはストーカーに絡まれずにいた。

でも、相変わらず昼休みや放課後には探されているみたい。

双子はストーカーと会うと睨まれるらしいけど、近づいてくる事もないので放置してるってさ。

一回、睨まれた時に大サービスして双子でイチャついたら、顔真っ赤にして逃げてったって言ってたけど…

イエスリーがすごくありがたがっていたっけ。

まあそれは良いか。

そしてモモフィーちゃんが少しずつ双子に慣れて来た。

コレならスラ研入部もしてくれるかも…?


「ライムちょっと色が変わって来た?」

「濃くなった気がするね」


朝、部室でライムに魔法りんごをあげながら観察中。

この1週間せっせと魔法をかけてりんごをあげ続けて来た。

そろそろ子供… と言うか分裂しないかな?

期待してライムを見つめるけど、それ以上の変化は無く、眠ってしまった様だ。


「残念。また放課後だね」


部室を出ると、誰かが走って行く後ろ姿が見えた。


「アレって…」

「モモフィーちゃんのストーカー?」


クロシェと顔を見合わせた。

部室を見られてた?

モモフィーちゃんはここに連れて来ない方が良いのかなあ…。

とりあえずみんなに知らせて用心する事にした。



放課後。

モモフィーちゃんを連れて行くか迷ったけど、双子に窓際で廊下を見張ってもらう事にして今日は一緒に行った。


「ここで見てんよ」


双子は椅子を並べ、廊下側の窓を開けて座った。

他の生徒が廊下を通ったら驚くだろうな… まあ良いか。

双子見て喜ぶ人はいても、怒る人はいないでしょ。


「教室では話しかけて来るの?」

「挨拶程度でなら」


そう答えるモモフィーちゃんだけど、それも嫌そうだ。


「私も同じクラスだったらなあ〜」

「そうだね。教室での様子も気になるもんね。モモちゃん、来年は同じクラスだと良いね」

「はい、お姉様」


クロシェとは来年も絶対に同じクラスが良い…

もちろんモモフィーちゃんもね。

そうすると双子も一緒だと喜ぶだろうし、イエスリーも当然一緒が良いよね。

何とかクラス編成を好きに操作出来ないものか…

いやいや、そんな先の事はとりあえず置いといて、今は今の問題を何とかしなきゃ。

クロシェは念の為、外側の窓を見ている。

3階だし外から覗かれる事はないと思うけどね。

でも、横顔もかっこいいなあ…!

思わずクロシェに見惚れていると。ライムが足元へ来てぴょんぴょん跳ね出した。


ニャア、ニャ

「りんご欲しいの?ちょっと待っててね」


イエスリーにりんごを貰い、クロシェと一緒に魔法をかける。

美味しくなあれーーーー!

よし。

クロシェも魔法でりんごを黄色くさせた。

マルコもモモフィーちゃんにりんごに魔法をかけてもらい、食べている。

マルコはすっかり大きくなって、もうネコラとライムと同じサイズだ。

小さめの枕くらいの大きさかな。

そうそう、まん丸だったけど普通の楕円になりました。

重くなったからかなあ。


「あれ…」


クロシェが窓の外に顔を出して外を見ている。


「もしかしてそっちに来た?」


私も急いで窓の外を見てみた。

離れた所にストーカーがいる。

でもこっちを見てはいない。下から見上げても中は見えないだろうけど。

地面に棒で何か描いてる…?


「落書きしてる?」

「彼、召喚魔法出来るんだったよね。練習かな」


あーそうだった。忘れてた〜。

じゃあ単に自主練中か。

棒だと思ってたのは杖だ。

魔法使い用の杖は、魔力のコントロールに役立つ。

お高いので、生徒はあまり持っていない。

あ、スライムに邪魔されてるっぽい。

地面に描いた魔法陣?、を消されちゃってスライムを追い払ってる…。


「ただの魔法の自主練みたい」


安心させようと笑って言うけど、モモフィーちゃんは浮かない顔。


「どうかしたの?」

「…お披露目の時に魔法を使う前に…私に捧げるとか言ってたのを思い出しまして」


うわ、それは早く忘れたいよね…

まあ失敗したんだから、言った本人も忘れたいだろうけど。


「何を召喚しようとしてたんだろうね」


クロシェが言う。

モモフィーちゃんもそれは知らないみたい。

双子も外の窓際に来てストーカーの様子を見ている。


「「あ、失敗した」」


あらら…

見なかった事にしてあげましょ…

今の内に帰っちゃおうと、私達全員は部室を出た。


「また明日〜」


みんなでモモフィーちゃんを送ってから、二手に別れる。

イエスリーはにこにこ笑顔で私とクロシェに手を振って、双子の後を着いて行った。

私達はたまには遠回りしようと、別の道を行ってみた。


「この辺りは来たことある?」


聞いてみると、クロシェはちょっと辺りを見てから言った。


「学校見学に来た時に、少し歩いたから…」

「そうなんだ。この先を行くと海が見えるよ」

「へえ、海岸までは行った事なかったよ」

「行ってみる?」

「良いの?」

「うん。髪がベトベトになるけどね」

「潮風で?」

「そうそう」

「じゃあ、浄化魔法の練習が出来るね」

「そっか!」


最近、浄化魔法を教わって、私は後一歩で出来そうだったんだっけ。

浄化魔法は生活魔法の一種で、汚れを落とすのに使える。

使えるようになれば、お風呂とか歯磨きとか洗濯とかしなくても良くなる!とっても便利!

でも、お風呂は普通に入りたいかな。


「海見えてきた」

「本当だ」


潮風を受けながら海岸近くまで歩いて行った。

砂浜まで入ると、靴が砂だらけになっちゃうので、その手前で止まって海を眺める。


「綺麗だね」

「うん!」


海に太陽が反射して、キラキラ輝いている。

青い空に白い雲。

そして青い海。

自然って、綺麗に出来てるよねー。

潮風を受けて、前髪オールバックになる私達…。

クロシェのオールバック絶対カッコいい。

海を見ていた視線を急いでクロシェへ向けると、クロシェは私を見ていた。

うっわ!

カッコいいし見ていたいけど、私は前髪ヤバい急いで直さないと…!

反対側を向いて、手櫛で前髪を下ろそうとしたけど、既にベタベタしてきている。


「うわ、もうベトベト… クロシェこっち見ないで」

「どうして?僕も同じだよ」


クロシェは私の顔を覗き込んで来た。


「前髪ぐちゃぐちゃで不細工だから!」


くるりと回って再び反対側を向く。

前髪を抑えてみるが、もちろん直らない。

毛量も多いから、もうどうにもならなそう…!

クロシェは何故か笑いながら回り込んでくる。

嫌がらせかっ⁈

クロシェに顔を見せない様にまた逃げて…

おかげでくるくる回る事になる。


「わっ!」

「捕まえた」


クロシェが私の両手を掴んで、顔からはがしてしまった。


「やっぱり、可愛い」

「えーーーーーー………絶対ウソだ」

「絶対本当」

「…クロシェ目がおかしい」

「そう?」


ううう、クロシェがカッコ良すぎるよ…

おでこ出すと ちょっと大人っぽく見える。

色気が増すよ…!

クロシェを見ていたかったのに、視界に、遠くに居る人影が入ってきた。


「あれって… ストーカー?」

「え」


クロシェも振り返って見ると、嫌そうな顔をしたモモフィーちゃんのストーカーが、学校の方向へ戻って行った。


「私達を追って来たわけじゃないよね」

「違うと思う。海に用事があったのかな」

「海に… もしかして海の生き物を召喚しようとしたとか」

「召喚するのに、近付く必要があるの?」

「あのね、私も召喚の初歩なら出来るんだけど…」


辺りを見回して、丁度いい物を探した。

小さな貝殻発見。あれで良いか。

意識を集中して、自分の手の平に貝殻を召喚する。


「出来た」

「へえ、凄いね」

「初歩だと、このくらい小さい物でどこにあるか場所が分かってないと出来ないんだよ。生き物を召喚するのは難しいけど、近い方がまだ簡単だから」

「魔法陣を描くのは高度な召喚魔法?」

「そう。さっきも失敗してたし、練習の為に魚でも召喚しようとしてたんじゃない?」


食べられるし一石二鳥だよね。うんうん。

…でも、さっき2人でくるくる回ってたとこ見られてたよね… 別に良いんだけど…

いややっぱ恥ずかしいわ。


「戻ろっか。これ以上ベトベトになったら大変だしね」

「うん。風の当たらない所で浄化魔法練習してみよう」

「うん!うわー後ろ髪も爆発してる…」


自分のポニーテールを触って確認すると、バリバリのくるくるになっている…

元々ウェーブのかかった癖っ毛なんだよね。

湿気ですぐにくるくるになっちゃう。

毛量のせいで、おろすと髪の毛お化けの様になる…。

だから、昔からずっとポニーテールにしてるんだ。


「クロシェは直毛で良いね」

「そう?気にした事無いけど… シュカみたいにふわふわしてる方が可愛くて好きだよ」


うわあ〜またクロシェは恥ずかしい事言う!


「違うか、シュカの髪だから好きなのかな?爆発してても好きだな」

「え、ちょっと、それはからかってるでしょー」


思わずむくれてしまうが、顔が熱いから赤面しているのは隠せないだろうな… クロシェは嬉しそうだ。


そして来た道を少し戻り、浄化魔法の練習をした。

やる気満々なおかげか、上手く使う事が出来た!

クロシェも私が手伝うと出来ていた。

私達優秀じゃない?

愛の力かなあ。

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