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14 ストーカー対策

「モモフィーちゃんおはよー!」

「おはようございます… わざわざ迎えに来なくても大丈夫ですわよ」


翌朝、クロシェと一緒に女子寮の前でモモフィーちゃんに会った。

もちろん教室まで守ろうと待ってたんだけどね。


「学校の隣だし、わざわざって言う程の距離じゃないよ」

「……あなた達毎日一緒に登校してるんですの?」


モモフィーちゃんが私とクロシェの繋いだ手を見ながら言う。


「えへっ」

「少しでも長く一緒にいたいからね」


やだクロシェったら… そんな事言ったら惚気にしか聞こえないのに。

その通りなんだけどね〜。

クロシェの手をぎゅっと握ったら、優しく握り返してくれた。


「…あの、本当に迎えに来ないでくれます?今日はとりあえず一緒に行きますけど」


何故か迷惑そうなモモフィーちゃんだ。

さっさとと学校へ向かってしまった。

この時間なら登校する生徒達の人目も多いし、ストーカーの危険は無いかな。

無事に2組まで送り届けたけど、ストーカーと同じクラスだったっけ。

様子を見ておこうと、2組のドアからこっそりと覗く。

魔法を失敗してた男子は…ええと…

あれ?どんな人だったっけ?


「…召喚魔法を失敗してた人って、誰だか分かる?」

「ごめん、顔は見てなかったから分からないや」


クロシェも覚えてなかった。

目立った特徴も無かった気がするから仕方ない。

諦めかけた時に、モモフィーちゃんをチラチラ見ている男子を見つけた。

あの人かな?


「あの人かな?焦茶の髪の…普通の…」

「うん。モモフィーちゃんを見てるね」


目もたぶん茶色かな。

平均的な背と体型の男子だ。170センチくらいかな。

目付きだけがチラチラとモモフィーちゃんを追っていて怪しい。

それ以外は動きもないので、始業時間には私たちのクラスに戻った。


「おはよう、シュカちゃん。今朝は2組を見ていたみたいだけど…」

「おはよイエスリー。そうなの。モモフィーちゃんのストーカーを見て来た!」

「まだストーカーじゃないんじゃない?」

「うん。でも怪しかった。チラチラとモモフィーちゃんを見てて…」


イエスリーと双子にも、ストーカーの容姿を説明してモモフィーちゃんの周囲に気をつける様にした。



休み時間の間は様子を見に行って、お昼はモモフィーちゃんを連れて食堂へ。

双子はモモフィーちゃんの後ろの席に座ってもらい、隅っこの4人席を確保して座った。

ランチを確保して食べ始める。

モモフィーちゃんは寮暮らしなので、食堂のサンドイッチを買って食べている。


「ここまでしなくても良いですから!」

「双子と一緒に座れれば更に効果的だと思うけど」

「それは無理ですわ!」


残念。

双子は近寄り難いから、普通の男は基本寄ってこないんだよね。

双子とモモフィーちゃんが一緒にいたら、なんか微笑ましい感じになる気がする。


「後ろにいらっしゃると思うだけでも…、ほんとうはむりなんですのよ〜」


いきなりモモフィーちゃんが泣きそうになる。

嬉し泣き?


「でもこんなに近くに寄れる様になって良かったねえ」

「え…」


モモフィーちゃんはチラリと後ろを見てすぐ前に向き直った。

モモフィーちゃんの正面に私が座っているけど、双子はモモフィーちゃんの後ろに背を向けて座っている。

食堂内からは、双子の背に隠れてしまいモモフィーちゃんはほぼ見えないだろう。


「食べたら部室に篭っちゃおうよ」

「そうだね。朝ネコラ達の様子も見れなかったし」


そうだ。ライムに魔力入りのご飯をあげて様子を見るんだった。忙しいわ〜。

そこへ、食堂内をキョロキョロしている普通男子を発見。

ストーカーだ。

空いてる席は見ていなくて、明らかに人を探している。

モモフィーちゃんには気づかずに出て行った。


「いたね」

「えっ?」

「うん。モモフィーちゃんには気付かず出て行ったよ」

「え… 本当ですの?私を探しに来たんですの…?」


モモフィーちゃんがショックを受けてる様子。


「でも、もしかしたら違う人を探してたんじゃ」

「「俺らアイツに睨まれたんだけど」」

「!!」


双子の報告にモモフィーちゃんが固まり、その後シュンとする。


「私のせいですわ… ごめんなさい」

「モモちゃんのせいじゃないよ」


イエスリーが優しく言う。


「でも、こうなってくると、この行動は正解だったんだね」


続いて優しく言うけど、ちょっと怒ってるな、コレは。

双子睨んじゃったもんなあ。


「そうだね。双子が睨まれるなんてバカな逆恨みだし。あ、でも睨まれたとしても双子は全く気にしないから大丈夫。良くあるパターン」

「…でも、私が…もっと上手く断っていましたら」

「あー何言ってもダメなヤツはダメだから、そこは関係無いかも。認識阻害魔法が使えれば、時間が解決してくれるけど」

「そんな魔法初めて聞きましたわ。姿を隠すのなら出来るますけど…」

「え、凄いね。でもまるっきり隠れちゃったら逆に気になって燃えるパターンがあるから、居るけど気にならなくなるのが良いんだよね」

「私、闇魔法しか使えませんから…」

「へえ、特化型なんだ。それでブラックドラゴンも簡単に作れちゃうんだね。凄い!」

「あなたみたいに何でも出来る人には言われたくないですわよ」

「へ?私の事?」


モモフィーちゃんの言葉に、思わず自分を指差して確認してしまった。

何を勘違いしてるのかな?


「ええ。もちろん魔法の話しですわよ?ほとんどの属性に適性がありますし、魔力量も多いから生活魔法や補助魔法もできますでしょ」

「え?そうなの?でも全部は出来ないよ?闇魔法も光魔法も…」

「それは練習次第でしょうね。適性が有っても得意なものとそうでないものの差はありますわ」

「へええ、そんな事まで分かる何て凄いねえ。魔力を見て分かるの?」

「ええ、まあ」


魔力の見え方は人それぞれだって知ってたけど、使える魔法まで分かる事もあるのか。

勉強になるね。


「「食い終わったかー」」

「ぴゃあっ」


双子が待ち飽きた様で、モモフィーちゃんの上から覗き込んで来た。


「こらこら、離れなさいっ!モモフィーちゃんがますます小さくなっちゃうでしょ」


みんな食べ終わったので、モモフィーちゃんを囲って部室へ移動した。

無事に何事も無く、その日は終わった。

今日は帰りもしっかりモモフィーちゃんを寮まで送れた。

でも翌朝のお迎えは頑なに遠慮されて、イエスリーが迎えに行く事になった。

イエスリーじゃストーカーが突撃して来そうで心配だけど… 仕方ない。

その後は家までクロシェが送ってくれた。


「いつも送ってくれてありがとう」

「こちらこそ送らせてくれてありがとう」

「えー、なにそれ」


クロシェと笑い合う。


「モモフィーちゃんも、早く心配なくなると良いね」

「そうだね。でも、彼の気持ちも少し考えちゃうかな」

「え、そう?」


クロシェが意外な事を言う。ストーカーに対してまで優しいなんて…!

もしかして、男性目線だと違うものなのかな…?


「もし、シュカに振られてしまったら、諦められないだろうから」

「え⁈ないないないない!あり得ないよ。逆なら分かるけど、クロシェを振る理由が全く無いもん!」


びっくりした。そんな事ある訳ないのに。


「そうだったら良いけど。何が起こるか分からないから…。でも諦められないけど、ストーカーにはならないよ」

「ええっ、そりゃそうだろうけど… その前に絶対にそんな事ないから!」

「絶対に?」

「絶対に!」

「うん。今はその言葉で満足しておくね」


えっ?

どう言う意味…?

クロシェはイタズラっ子の様に笑って言う。


「その内、言葉だけじゃ満足できなくなる、かも?」

「…え?ええ〜⁈ちょ、ちょっと待って… もしかしてからかってる?」

「少し」

「クロシェ〜」

「でも本当だよ」


気付いたら家の近くに来ていた。

クロシェは私に軽くハグして、耳元で「また明日」と囁いて帰って行った。

何て良い声…!

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