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第9章:お昼休みの終末論 中

それは一瞬の出来事で、銃を撃ったノエルのことは全身に大きな刺激を残した。

しかし、その瞬間はわずか2秒に過ぎなかった。

さらに、期待していたよりも音は期待外れだった。

もっと「バーン」という音を想像していたが、実際の銃声は耳に響くものの、僕が聞いたのはもっと低い「ドシュ!」や「パチッ!」といった音だった。


なぜその弾丸が騒がしい音を立てなかったのか、今でもぼんやりとしている。的外れの弾丸が撃たれたのか、それとも撃たれていないのか、今も疑問に思っている。

撃たれたのか、僕が?いや、ノエルは確かに引き金を引いた。銃声は聞こえたような、聞こえなかったような…

疑い深い性格のせいかもしれないが、見知らぬ事情と現実の接点を疑い続けた。

疑い余地はなかった。余裕を与えられていない今、頭が真っ白になってしまった。

どう考えても仕方がなかった、そこには傷でも負ったことはなく、生きている元気な健康の良い男だった。

今日も気持ちの良い風が吹いている。余裕がないからそんなどうでもいい話は後回しだ。

勝手に頭に浮かんだ思いを振り払いながら、首を後ろに向けて、背後にいた二人の先輩たちの無事を確認した。



「よ、よかった、みんな無事で安全だ。じ、銃にサプレッサーがあったとはいえ、困惑してたよ」

無駄な気遣いで気まずい空気になると思ったが、先輩はしっかりとフォローしてくれた。

「凛、その銃にはサプレッサーは使っていない。凶器ではなく、ただの麻酔銃だ」

フォローというより、その返答は空気をがらりと変えた。情報量が多く、僕を考えさせ、自分の無知に気づかせた。

「麻酔銃?あんな、ば、馬鹿な」

「当然、銃だと思ってたのか?あら、恥ずかしいわ」

隣りにいる女にさえバカにされた、そして、僕はやっと気づいてた、僕が馬鹿だったことに。

いや、ご冗談を、僕はそれが凶器ではなかったことにやっと気づいてたというわけではない、というのは嘘になるから、つまらないことを言わないでおこう。

今の事実を考えれば、こんな短距離で的外れだとしても、単なる脅しに過ぎなかったのか?


しかし、これは羽田凛というダメダメ委員長の考えすぎだった。ノエルは銃に不慣れで、標的を定めたにも関わらず、引き金を引く際に手が震えた。

ノエルは自分の愚かさに恐怖を感じ、申し訳ない失敗に隙を見せた。銃のセイフティを外す以外の訓練を受けていないアマチュアだった。

ノエルは口に出せないことを頭の中で悩んでいた。

「しゃべり以外の知能があれば、こんなことにはならなかったかもしれない」

弱さを嘆いても仕方がない。これはノエルが現実から逃げた神様の罰だと信じていた。

ノエルは自己嫌悪を感じていた。組織の無茶な策に付き合っていたこと、昨日のお酒で起こされた二日酔い、未だにリカーの臭いが口から漏れ、鼻にも漂っていた。

桜井先輩はその全てを分析し、見据えていた。


「恵、反撃の準備を」

桜井先輩は恵に指示を出した。

恵は悪友のようだった。

「何その私が悪友みたいな顔してるの?」

「ひぃ、ご、ごめん自分の顔がどんな表情なのかさっぱりなのでぇ」

鋭っ!鋭すぎる!

やばい、こうなったら、って、前の敵に集中してください!

「ノ、ノエルはまだあそこに立っているだからね!」

何を勝手に反撃の準備をしてるんだ!それにノエルが平気な顔でそれを見ているなんて!

意味がわからない。でも、凶器ではないことがはっきりと分かった。

「凛、ノエルに攻撃を仕掛けろ!」

「銃をリロード、い、今はしてないよなノエルは」

「クールダウンだよ、クールダウンの間を狙っているから早くしろ!」

「そ、そうですか、はい、そ、そうしまーす!」

んなわけか!落ち着いて考えてる場合じゃないから、指示に従うかどうか単純に迷ってた…

「や、やっぱり逃げるしかないな!」

「何を勝手に間違った方向に逃げているんだ!」

桜井先輩は僕を止めようとしていたが、その手が僕に届くわけあるまいけん、失礼ながら君が遅れたことに嘆くと良い。


桜井先輩に舌を出したくなったところで、いよいよ僕は足を枝にぶつかってしまった。

「や、やば、枝に足をぶつかってしまった!」

まるでノエルがそう聞こえるように、僕がばかげた声で叫んでいた。「お前が探していた我が身を、この小さな木の枝が!」と言わんばかりに、派手に地面に落ちた。

顔は泥だらけで、残念ながら口の中にも入ってしまった。泣きそうになったが、こんな展開は、あの先輩のハンカチをもらえるチャンスかもしれない!

「凛、ハンカチだ」

「ち、違うわ、お前のじゃない!」

それでも、僕は桜井先輩からハンカチを奪い、顔を拭いた。

「それ、返さなくていいから」

桜井先輩は呆れ顔で、僕は怒りっぽくふくれっ面で応じた。

「べ、別に返したいわけじゃないんだから」

さて、顔がきれいになったから、話を戻そう。

ただの事故だった。注意不足で無意識に起こった惨劇。悔しいよりも恥ずかしかった。

もしあの後輩の女に絡まれていたら、どんなことになってただろう。

「にしても、この方向に逃げるなんて、ノエルはこっちじゃない、そっちなんだ」

「そっち」を見ると、恵が一人でノエルを捕まえていた。

「いてて!やめて!痛いよー!」

「抵抗は無駄よ!」

え?

「そ、そんなに簡単に捕まえた?」

「簡単じゃなかったとしても、凛がいなくても、俺たちは大丈夫だったみたい」

僕がいらないということはわかっている。少し現実逃避していたが、それは意外な感情に打ち消された。

「今のは冗談だから、そんなに落ち込むな」

「や、やさしいね、お前、彼女よりも」

「何を言っているんだ、だから、彼女じゃないって、ただの腐れ縁なんだ」

「た、ただのって」

桜井先輩は僕をじっと睨んだ。これ以上何か言ったら大変そうな顔をしていたので、次のジョークは控えめにすることにした。

「は、はい、わかりました」

腐れ縁か。僕にも腐れ縁の女がいたら、あ、そうだ、いるんだった。

今すぐにでも切りたいそんな縁。うるさい邪魔者ばかりで、僕はただ静かな昼休みを過ごしたいだけなのに、それがどこが間違っているんだろう?


安心できる人生、誰にも邪魔されない心地よい平和な季節...

「おい、そんな平和な顔してる場合じゃないだろ」

「な、なんでお前らは何でも見通せるの?鋭すぎるよ!もしかしてテレパシー?」

「凛がそんな顔をするからわかるんだろ」

お待たせいたしました。


これまでで一番長い章が完成しました!素晴らしい物語をお届けするために、読書を通じて勉強し、豊かな語彙を身につけることに努めてきました。魅力的な文章を書くためには、豊富な語彙が必要だと考えています。


冗談はさておき、少し恥ずかしいですが、不安も感じています。巧宮寛です!読者の皆様、これまでのご支援ありがとうございました!今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

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