熱帯夜
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
GW初夜、生暖かい雨が延々と降っていた。上昇する気温と、ベタつく室内。隣に寄り添って居た女も何時も密着して離れないのに、今日だけは僅かに距離を置いている。寝る前にも氷枕を二人分用意して居たぐらいだし、やはり蒸し暑いのだろう。
「寝れるか?」
「寝れは……する」
酷く歯切れの悪い言葉が返ってきた。まぁ無理は無いだろう。寝れは……する。だが蒸し暑い。物凄く。安眠には程遠い。扇風機は物置の奥底、今から出そうとは思わない。という事で氷枕片手に添い寝をしている。別室で寝る事を提案したが嫌がった。ならば添い寝である。
「汗掻いて、風邪引くなよ」
「汗掻くの?」
「掻くだろ……」
会話はそれで終わりだった。離れた処から手を伸ばし、一定のリズムで腕を叩くと瞼を閉ざして眠り始めた。良い夢を……。難しいが。
朝目覚めて隣を見る。勿論、隣に女はおらず。この調子だとリビングかも知れない。身体中から汗が吹き出しており、寝間着がしっとりと湿気っていた。着心地が悪い。最悪だった。衣類はない。また盗んだのだろう。
リビングに向かう前に脱衣所の様子を見ると、女が体育座りしていた。
「ん、リビングも湿気ってて、此処も湿気ってる。全てがしっとりしてる。君の服も、しとしと」
「着替えるから、リビングに移動しててくれ」
そう言うと体育座りのままにくるりとそっぽを向いた。動く気は無いようだ。かれこれこの状態になると、梃子でも動かない。諦めて上着を脱ぎ捨てると、そのまま床置き捨てた。すると見計らった様に後ろを振り返った。
「それ、頂戴」
「汗臭いぞ」
「そんな事ないよ。きっといい匂いだよ」
求めるのは脱ぎ捨てたTシャツ。夜もすがらの汗を吸い上げて、重くなった物。出来れば渡したくない。さっさと洗濯機に突っ込んで、匂いごと消してしまいたい。
……目を合わせたら負けである。物欲しそうに手を伸ばして来るに決まってる。しかしその様が愛おしい事も十二分に知っている。結局、欲望に勝つ事は出来ず、俺は真下を見下ろした。
案の定、キラキラの瞳で此方を見据えている。それが欲しいと手を伸ばし、手を握っては開くを繰り返す。仕方ない。
「ほれ」
渡してやると両手で愛おしそうに抱え込み、顔を近付けた。途端に安心した表情になり、のっそりと立ち上がった。生身の上半身に抱き着いて、ぴったりと密着する。
「やっぱりいい匂いだよ。体もしっとりしてるね」
胸元にぺたぺたと触れて来て、頬を擦り寄せる。
「汗掻いたからな」
「唯一良かったこと。君の匂いが強まる事」
オマケ
「そろそろ服着たい」
「……珈琲用意するから……。あと次から君の服、温めておくから」
「あと一分な。あと、どうなっても知らねぇ」
Q
汗まみれなシャツの匂いは?
A
いい匂いだよ。某液体の制汗剤の匂い。
顔埋めて包まろうとしたら、新しいシャツ渡された。
熱帯夜で汗をかいた話。
また彼シャツして欲しい。何なら釦適当に止めて欲しい。
めっっちゃ煽って欲しい。
これから書く予定です。