お月様の夢
むかしむかしあるところに夜が大好きなお姫様がいました。
お姫様には大好きな友達がいました。
今日もお姫様はいつものように城を抜け出し、国で1番景色のきれいな丘に来ました。
「おはよう。お月様」
「おはよう、姫。また抜け出してきたのかい?」
姫はお月様が大好きでした。
お月様も姫が大好きでした。
「お月様、きょうはどうしたの?元気がないわ。」
「姫、僕はずーっと悩んでいることがあるんだ。」
「それはなに?」
「僕は日向ぼっこ、というのをしてみたいんだ。だけど、僕は夜にしか出られない。僕はずーっと寒いままだ。」
「お月様はいつも寒いの?朗らかな春も、溶けるような夏でも、さむいの?」
「そうだよ。僕はどんな時でも全てのものが凍てつくような冬しか感じたことがないんだ。でも、君といると少しだけポカポカしたような気持ちがするんだ。」
「不思議だわ。私もお月様といるといつも心がぽかぽかするわ」
「そうなのかい?それは嬉しいな。さて、今日は何の話をする?」
「そうね…あ!今日はね」
2人は今日もお日様が顔を出すまでお話をしました。
心のぽかぽかする理由に2人が気づくのはまだ先のようです。