第1章 ①
糞素人なので、誹謗中傷怖いです、
Pomeraで書いたものを貼り付けているので、ゆっくりと直して行きます。
違う方に見ていただいて、ボロクソ言われましたが、あえてそのまま投稿します。
四月。春の季節の到来。
僕、姫乃香織は今日から高校一年生になる。
それを祝福するかように桜花びらが並木道に舞う・・・・・・予定だったけれど、まだ蕾の状態である。
それでも、僕の心は今の快晴のように晴れやかだ。
過去に色々な出来事があったけれど、一度それらをリセットして、新たな気持ちで頑張って行きたい。
そう思っている・・・・・・と、こんな感じで、途中まではいられたけど、現在目の前にいる集団に阻害されている。
「あー。ねーちゃんじゃん。なんで学ランなんか来てるんだよ」
通学路で僕を発見するなり、四人組小学生集団のリーダー格を務めるケンタ君が、人差し指を向けながら叫ぶように言った。
他の二人も笑いながら乗っかる。
僕は溜息しか出なかった。最悪の展開が用意されていたなと。神様が実在するなら、恨んでしまいたい。
通学路が一本道で遠巻きに確認出来たなら、全力で裏路地に逃げ込んだり出来たが、ラブコメよろしくまさかの角を曲がろうとしたところで遭遇してしまうとは。
僕は膝に手を置きながら、小学生集団を見下ろす。
「あのね、ケンタ君。僕は正真正銘の男性なんだって、前にも説明したよね?」
「どうみたってねーちゃん女にしか見えねーのに、なんで男だなんて言い張ってんの?」
そうだそうだと後ろの二人が野次馬のように便乗する。
数で押し切ろうという心理だろうか。
「・・・・・・こんなことぶりかえしたくないけど、前僕の胸触って固いの確認してるよね?」
「俺のねーちゃんもそうだから俺知ってるぞ。そういうの〝貧乳〟って言うんだよな」
ケンタ君が元気よく手を上げながら言った。
是非それは授業中に発揮して欲しい。
意気消沈となる。
前回の僕ならそうだったけど今は違う。一応切り札があるから。
僕は胸ポケットから水戸黄門よろしく、印籠のようにそれを出した。
ケンタ君は眉根を寄せながら思案顔を作る。
「なんだ? それ?」
自信ありだっただけに、そんな反応をされると胸を張れずに中途半端な感じになる。
小学生なら知らなくても仕方がないか。
「何って生徒手帳だよ。これには僕が男性である証拠が印字されているんだからね」
顔写真と名前が印刷されている部分を見せ、とどめを刺すように、男性と書かれている部分を指で示す。
あ、ちなみに高校のはまだ貰ってないから中学の頃のやつです。
これでこのイタチごっことも終焉だ。
と思っていたが、ケンタ君は変わらなかった。
「ねーちゃん。よくないぜ。そういうのいんぺいって言うんだろ?」
「い、いやいやこれは学校が正式に配布しているやつだから」
「だから、学校に対しても自分が男だって嘘ついて作って貰ったんでしょ?」
ケンタ君は、小学生にしては難しい言葉を知ってるし、頭も回る。
もしかしたら口げんかをしても勝てないかもしれない。
きちんと出生記録などに基づいて名前やら性別やらを印刷してることを武器にしても、さらなる意義の申し立てが待っているのだろう。
追い打ちをかけるように、ケンタ君は言葉の剣を抜き放つ。
「それに、ひめの・・・・・・? かおり・・・・・・? 完全に女性の名前じゃんか」
そう指摘を受けて心の中でしまったーと叫んだ。
発遭遇時も名前を聞かれてあの時上手く逸らしたのに堂々と公表してしまった。
僕は汗を流しながら。
「僕、香織っていうんだよ。ほら、香織なんて探せばいるよ」
と抵抗。
名探偵に追い詰められた犯人ってこんな感じなんだろうなあと思った。
ケンタ君はじーと僕を見つめるばかりでだんまりを決め込んでいたが、思いついたように口を開く。
「やっぱり、ち〇こ出すしかないんじゃないか?」
後ろの二人も便乗するようにそうだそうだと声を上げる。
「いや、だからそれは勘弁してといいますかなんといいますか・・・・・・」
「やっぱりねーちゃんじゃんか」
「いや、だからその・・・・・・違うって・・・・・・」
「じゃー、見せても問題ないじゃんか。心配すんなって俺のも見せてやるから」
見せれば万事解決。
だって男を示す最大の証拠だから。
でも小学生に言われてはいどうぞは踏み越えちゃいけない一線を踏み越える気がしてる。
くだらないプライドだって言われたらそうかもしれない。
でも、僕は・・・・・・。
小学生三人が通学路ではしたなくデリカシーのかけらもなくち〇こコールをして、そろそろ前回同様逃げようかと思ったけれど。
「あ、あの・・・・・・」
小学生集団の殿で声がした。弱々しくも芯の乗った声だった。
「なんだよユウキ」
ずっと後ろでだんまりを決め込んでいたが、体を震わせながら三人に前髪から覗く瞳を向ける。
「そ・・・・・・そろそろ辞めてあげない? その・・・・・・お、おにーさんが可哀想だよ」
恐怖を抑えるようにランドセルの肩ひもをぎゅっとにぎる。
ユウキ君の声を受けてどこかバツが悪そうな顔を浮かべるケンタ君。
ふんっと言いながら、僕の顔を見る。
「ユウキに助けられた事に感謝するんだな」
横暴に言い放ちながら、行こうぜと他の二人を先導して、僕の横をすり抜けた。
ユウキ君だけその場に残っている。
「ありがとうね、ユウキ君」
「い、いえ・・・・・・その・・・・・・なんといいますか」
ユウキ君は上手い具合に僕の焦点に合わないように逸らしながら、二の句を紡いだ。
「僕も・・・・・・だから」
「え?」
小さくぼそっと零された言葉を、上手く拾うことが出来なかった。
「い、いいえ。なんでもないです」
「おーいユウキ。なんやってるんだよ。早くいくぞ」
ケンタ君が催促するように手を振る。
「う、うん。今行くよ。じゃあすいませんが失礼いたします」
そう言って、一礼するなり、そそくさと三人に合流して学校へと向かっていった。
ユウキ君、さっきなんて言ったのだろう。
四人が見えなくなってもそれが心の中に渦巻いていた。