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後編

下駄華緒さんというユーチューバーがいる。

元火葬場職員の経験を生かし「火葬場奇譚」という面白いチャンネルを配信しているのだ。

それを参考に、ぼくも怪談ライブの配信を始めた。

コメントやメールで感想を書いてくれる人がいるのだが、ある日、配信を終えると急にカメラが光りだし、目を開いた時、あたりが何もない不思議な空間になっていた。

「お待ちしてましたよ、みぶさん」

どこからか声がする。

「だ、誰ですか?」

ぼくが尋ねる。

「そうか、あなたには私の姿が見えないのでしたね。

私はここの空間に住んでる者です」

「ここの空間って?」

「ここは昔からあるリモート空間です。

あなたがたの世界と並行して互いに影響することなく存在していたのですが、最近、リモート配信する人が増えてこちらにも動画が送られてくるようになりました。

みぶさんの動画配信も面白く拝見させていただいてます」

「ありがとうございます。で、ぼくがどうしてここに?」

「実はみぶさんにここで怪談をやって貰いたいんです」

なんでも、現実世界からの配信はこの空間において画像音声が乱れがちなので、ここで直に動画を撮りたいとのこと。

言われるままに、いくつかの怪談を語った。

「ありがとうございます。これはほんのお礼です」

ばさっと音を立てて分厚い封筒が落ちてきた。

同時に、あたりが明るくなり、元の部屋に戻る。

早速、封筒を開けて、中にはいった札束を取り出す。

ところが、リモート空間の一万円札は空気に触れると溶けるように消えてしまった。

翌日、パソコンを開くと、電子マネーで90万円入金されていた。

札束が溶けた瞬間に、電子マネーに変換されるシステムらしい。

但し、変換手数料が89万9千円差し引きされている。




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