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第81話 魔法陣戦闘者

挿絵(By みてみん)


 シンはローレイと、マギアスは助っ人の方をという担当を決める話を付けている間に、ローレイ達フェラス学園勢も全く同じ内容の会話をしていた。


 マギアスと助っ人。この2人の目的は共通している。マギアスはシンの邪魔にならないよう、自分のことに集中させるためこの2人から自分諸共遠ざかること。


 助っ人もローレイの邪魔にならないようにのサポートに徹することにした。


 だが一つ違うのが、マギアスは自分で決着をつけるつもりでいる意思があるが、助っ人にはなかった。


 何故なら、少しすればローレイが決着を付けて加勢に来ると信じていたから。そうすれば一番安全に得点出来ると。


 助っ人はほんの少しでも自分の生きている時間を延ばそうと時間稼ぎに思いつくことは全て決行することにした。


「私は、フェラス学園のサリア=フローレン。新2年生です。よかったらお名前を教えてくれませんか?」

「マギアス=イディオ。俺も2年だよ」


 マギアスはいつも通りの反応を返すと相手の少女、サリアは突っかかるところがあるのか首を傾げた。


「マギアス……君? もしかして、『障害物競走』の時の!?」

「ん? ……あぁ、最初に話した」


 自分を知ってる風の口調にどう接せればいいか戸惑ったが障害物競走というワードがキーになり思い出すことが出来た。


 水色のフワッとしたセミロングが目立つおっちょこちょいな子。というのがマギアスの印象だ。


「あの時はありがとうございます。おかげで私も心に余裕を持つことが出来て、偶然にも1位を取ることが出来ました」

 深々と行儀良くお辞儀をすると、マギアスはおっちょこちょいなのを思い出してある行動を取った。


「うん、俺は敵に塩を送っちゃたんだよね」

「えっ? あ、いやっ、それはその……えと、すみません」


 からかいに対して純粋な反応を見せられるのはマギアスのツボにハマり、クックッと笑いを堪えるのに必死になった。


「冗談だよ、はははっ。なんか仲良くなれそうだね」

「よかったです……そうですね、ありがとうございます」


 硬直スノーノイズ柄のせいで互いに相手の顔は見えないが、前に知り合ったことと笑い声によって自然と相手の笑顔が2人の頭で想像された。


 ほっこりとしたところで、終止符が打たれた。マギアスのすぐ右後ろにあるコンクール製の建物が猛炎によって崩壊させられた。


 ガラガラと崩壊音が鳴る中で、一点から黒いものを纏った青年が突き破って出た。

「あ、マギアス」


 それはあまり人と仲良くなることが多くないマギアスにとっての大切な友人だった。

 期間こそ長くないが、マギアスの心内こころうちでは立派な親友。シンもまた、同じように感じている。


「シン、随分と押されてるみたいだけど?」


 相手に押されるという予想通りに展開が進むことに多少驚いたが平然とシンに皮肉を言った。


「うるさいなー、こっから逆転するんだよ」

「そっかそっか。がんば」

「あれ、マギアスって同じ学園の仲間だよね?」


 予想外の淡々な冷たい態度に驚き隙ができた所をローレイは渾身の一撃を入れる。戦場でそんなことをするのは愚行だと注意喚起して。


 対してシンは年寄りの堅い言いつけを聞き飽きた孫が反発するように押し返す。


「マギアス、手伝ってくれてもいいけど?」

 またようやく一旦退けたところで、マギアスに話しかける。今度は侮れないと切羽詰まった様子で。それでも紛らわすためいつもの友達ノリを。


「何? やっぱシンだけじゃ荷が重いか?」

「いや、重くないけどマギアスの良心が痛まないのかなーって」

「まぁ、全然?」


 そこでシンはマギアスが今は手伝う気が全くないと察し、諦めてローレイ戦に本気で集中し始めた。


「なんか、マギアス君も私も敵だってこと忘れちゃってたぽいですね」

「うん、ついほっこりしちゃってたよ」


「これが終わったら、ゆっくり話してみたいです」

「うん、終わったら話そ」


 沈黙が始まり何拍か経った時、マギアスの足が地面から離れた。真っ直ぐとサリア目掛けて突進していく。


 サリアは右手を前にし、何かを掴む動作を空振っている中行う。


 マギアスはそれを見て異空間収納を戦闘に使用するタイプかと警戒した。


 サリアの右手に小さな紙切れが現れる。サリアがそれを持って叫ぶ。


「エイリュオン・ラーヴァ!」

 猛々しい炎。マグマと言ってもおかしくないそれがマギアスのいる方向一点を突いて直線を画く。


 異空間収納は色んなものをしまえるし好きな時に取り出せるから有用だ。だがそれを戦闘に使うとなると話が全く違ってくる。


 異空間収納を使う場合に一番多いのは、今サリアが使用したような魔法陣を使うタイプ


 魔法陣は魔法の手助け。または自立して魔法を発動する。魔法陣を使えば、本来難しくて発動不可能なものも可能だったりするし、威力だって調整できるからある程度上げることができる。


 ただ時間がかかるのが欠点。それを補うために先に描いたものを異空間収納にしまって使う魔法使いが多くなった。


 だがその大半はその手段を断念した。せざるを得なかった。


 なんせ異空間収納はピンポイントでこれを出そうとしなければそれを出すことが出来ない。


 例えば火を出す魔法陣を取り出そうとしても出ない。この造りをしている魔法陣を取り出そうしなければその魔法陣は取り出せない。


 つまり全てを記憶し、どれが何個あるかも把握しなければならない。

 記憶しただけでも、それだけでは戦場では使えない。


 ただでさえ集中を別のポイントに向けなければいけないのに、そこまで頭が回る魔道士はそうそういない。


 魔法が問題なく十分に使える人のなかでそれが出来るのが平均何人程なのかと聞かれれば、恐らくその答えは数十万単位にごく数人だ。


 その1人がサリアだというのを理解したからこそ、マギアスはより一層警戒した。


「漆ノ型 螺旋水」

 炎に対しての水で無理矢理の正面突破でギリギリ突き破る。


「流石です。ソルセルリー学園の代表者は全員最高に警戒しろと言われましたが、本当にその通りみたいです」

「俺としてはパッと見、ディアライト女学園とフェラス学園が手強いと思うけどなッ!」


 スパッと空気まで斬る斬撃をサリアは身体強化だけで避ける。


「魔法陣使うって時点で結構厄介なんだよなぁ」

「自慢ですけど、魔力量も結構高い方なんですよ? 数値にして1000万ほど」


 避けられて一拍落ち着いたところで、マギアスはわざと隙を見せた。左手で大胆に頭を掻き、右手の剣はぶらんと力を抜いている。


 だがサリアは攻めず、ただ言葉に言葉だけを返した。マギアスはその自慢を正面から受け、少し戸惑った。


 そんなもんか? と。


 ……あぁ、この時代では多い方か。


「そりゃすごいな」


 ―――――――――


「ふぅ、さて、これくらいでいいですかね」

「え?」


 戦いの最中にいきなりそんな発言をしたローレイをシンが目を開いて見る。


「忘れたんですか? マキに会わなければいけないのでしょう? ならここでずっと決着が着くまで戦うわけにはいかないじゃないですか。まさか夢中になって忘れていたんですか?」

「あぁ……えっと、スミマセン……」


 誤魔化せばいいものを、ローレイの勢いに負けシンはつい正直に謝ってしまった。それには流石にため息が漏れ出る。


「はぁ。とにかく行ってください。私が逃したのを誰かが気付かない内に」

「あ、ありがとうございます!」


 シンはさっき落とした刀を拾ってある程度の距離まで逃げるように走り、そこから予想より大幅に消耗した体力を回復するためゆっくり歩いた。


「シン=サクライ。マキが目をかけているに足るその片鱗のようなものしか見えませんでしたが、奥にあるその脅威は間違いなく優に私を越すでしょう」


 ―――――――――


「んー、シンいないかな? 1人の戦闘での戦い方は分かったから、複数での戦いに共振融合使ってみたいのに」


 と言っても多分今試しても失敗するけどと、上手くいかないなと顔をしかめるレイ。


「あ……3人近くにいる。全員が私のとこに来てる? あー、大量得点を狙ってるのか。てことは得点が少ない学園の人かな? リードしてるなら四つ巴にはなりたくなりよね? それよりも安全策取るだろうし」


 こういう時、かなりリードしているソルセルリーのレイとしては一旦逃げて序盤はゆっくり行くのが定石。だが好奇心には勝てずレイはそこを動かず待ち構えた。


 その途中、レイは探査魔法の気配を感じ取った。

「え、何この雑な探査……こんなただ魔力を適当に拡げるだけじゃ無駄に消費するだけだし相手にしたことバレちゃうじゃん」


 探査魔法は何も気付くことが出来なくはない。空気中に漂う微粒な魔力を感じられれば、自分にぶつかった魔力にも気付くことは十分可能だ。


 だからその調整など、強い相手ほど高い難易度が要求される。

 そして今の雑な魔力操作の実力から成る魔法は、レイよりも格下ということを語っておりレイの認識する敵は2人と言っても良くなった。


 暇だなぁと座ってプラプラしながら待っていると、同タイミングで三者はレイの元へ辿り着いた。


「お、来たね?」

「テライト・フラーガ!」

「テライト・ケラノロス!」

「テライト・ネロー!」


 テライト……自分の武器に好きな属性を纏わせる魔法。三者はこの世界で一番オーソドックスな武器、剣に炎、雷、水を纏わせて一気にレイを中心に引き合った。


「共振同調、漆ノ型——迅雷!」

 シンとの鬼ごっこ時に見せた共振の型と同調する、言わば共振融合の下位互換。レイは真上へ飛び、強欲に最低3点取ろうと決めた。


「肆ノ型 百雷ひゃくらいごう!」

 今まで一点突破にアレンジした肆ノ型しか使ってこなかったが、文字通り百発……数えられない落雷を真下に向けて落としまくった。


「仕上げにっ、雷豪らいごう 陥落かんらくけい!」


 一発特大なのを喰らわせても良かったが、それを回避された時面倒だとレイは考え安全策を取った。


 降りる直前、レイは魔力弾を真下に撃ち致命傷を避けた。反動には身体強化で無理やり耐える。


 地に着いたあたりか、時間の上の文字列が動いた。


クリア学園……13ポイント


セイミナス学園……12ポイント


リュギア学園……15ポイント


フェラス学園……19ポイント


ディアライト女学園……19ポイント


ソルセルリー学園……24ポイント


「わ、意外ともう動いてるな。今下の学園は手当り次第襲うってところが多いのかな?」

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