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第52話 フォラリア共和国に集う6学園

挿絵(By みてみん)


『な、なんだ!? これは! 突然シン選手が霞んだように消えたと思ったら、出てきたのはシン選手と伸びているフォークス学園の学園対抗戦メンバーだ!! まさか……まさかまさか、不正を働いたフォークス学園メンバーをシン選手が一人で圧倒したというのかっ!!』


 いや、圧倒も何も、こいつら力的にはめっちゃ弱かったよ?


 ザックでも余裕で勝てるよ。てか、クラスのみんな余裕で勝てると思う。


『シン選手ッ! こ、これは、どういうことですか!?』

 実況の人が俺に説明を求め、マイクのような拡声器の魔道具を投げてくる。


「うぉっと!」

 ちょ、こんなん投げてこないで!? 危ない!


『え、えっと……フォークス学園のメンバーが——』

 そして俺は、こいつらが使った卑劣な手口を、この場にいる観客と実況さんに説明した。


『そ、そんなことが……』

 自分達の知らないところで、そのような劇が繰り広げられていたと知り、驚き呆然とする。


 そして、実況の席を、何者かが奪った。


『シン選手、すまない。この予選の責任者として、謝罪する』

 その場で礼をしながら言ってくる、学園対抗戦予選責任者と言うその人。


『あ、いえ、俺は大丈夫ですよ。怒ってませんから』

 俺が起こっているのは、このフォークス学園の奴ら(クズ達)に対してだけだ。


 不正を働いたこいつらは、俺がある程度の傷を与えてしまったので、担架で運ばれ、まず医務室に行くそうだ。


 その後に質問(尋問)するのだそう。


 ……もうちょい手加減した方が良かったかな? 俺としては早く質問(尋問)されて欲しい。


 もうそこに留まる理由も特にないので、選手控え室に戻る。


「……シン、ありがと」

「……ありがとうございます」


 2人の顔からは、自責の念が伺える。


 これは、俺が2人の気持ちを考えて怒ったことに対して礼を言ったのだろう。

 そして、自分の代わりに俺がやったことで汚役をさせてしまったとでも思ってるのだろうか。


「2人とも。俺はあいつらの手段に勝手に怒って、勝手にボコっただけだよ?」


「……ごめん」

「ごめんなさい」


 ……ったく、そんな重く考えないでよ。


「ほら、2人はなんも悪くないから、ね?」

 慰めるように優しく撫で、優しく声をかける。


「……うん」

「ん」

 これで、少しは楽になってくれたかな?


 あれ、でも、なんで俺が怒ってたって、分かったんだろ。

 試合を見ていたとしても、見えるのは幻覚だけのはずなのに。


 ……あ、魔力が思わず高まっちゃったから、それで気付いたのか。


 って、それじゃ会場にいた人で大半が魔力に気付かなかったの? マジかよ。


「ね、シン君」

 2人を撫でていると、準備をするためにここにはいないはずのシェル先輩が、そこに不機嫌そうに立っていた。


 え、なんでここにいるのです? 幽霊ですかあなたは?


「えっと……?」

 まずなぜここにいるのかと疑問に没頭してしまい、困惑して何を発したらいいのか分からず固まってしまう。


「あぁ、さっきシン君が、不正をしたフォークス学園のメンバーリザーブを除いて、全員医務室送りにしたでしょ?」


 俺の心情を察してか、先輩が説明しようとしてくれる。この確認は、説明に必要なことだからなのだろう。


「は、はい……」

 なんか悪いことした気分。なんも悪いことしてないのに……。


「戦闘不能、それに不正行為。こうなったら、もう分かるでしょ?」


「……強制棄権」


「そう。ってことは、もう私達が戦う必要はもうない。だから戻ってきたの」

「そういうことですか」

「うん」


「……それで、いつまで2人のことを撫でてるんだし?」

「え? ……あっ!」


 俺はみんなに撫でているところを見られるのが恥ずかしく、すぐに手を退ける。

 なんか視線を感じると思ったら、これか!


 しかもみんないつの間にか来てて見てるし!


「そ、そういえば、本戦はいつから始まるんですか?」

 ふと気になったことを、話題転換にちょうどいいと思い、切り出す。


 本戦に行くのは決まったわけだけど、また、アルスベリアに行ったりするのかな?


「あぁ、一週間後には開会式だよ」

「はっや!?」

 予選もそうだったけど、行事早すぎない?


「ちなみに本戦の会場は、フォラリア共和国のドクマ闘技場だって」

「ほう」

 全く知らん。


 ―――――――――


 そして、何も起こらず一週間。


 皆訓練に励んでいたが、レイとセレスはそれ以上に励んでいた。


 ……よほど悔しかったんだな。


 学園対抗戦本戦の会場とされる、フォラリア共和国のドクマ闘技場へは、国から国へと転移できる有料の転移碑を使って行った。


 俺達は学園対抗戦で行くから、無料で使うことになったが。


 荷物も、全て異空間収納に入れているので手ぶらだ。


 転移した瞬間、感じる空気が変わる。


「……賑やかな国だなぁ」

 それが、一目見て持った感想。


「ね、国中に活気が溢れてるって感じ」


「まぁ、それもそうだよ。なんせこの国は一般人が大成功できる可能性がそこら中に転がってるんだから」

 俺達の感想に、先輩がその理由を説明してくれる。


「ほら、早く宿行くし! 急がないと開会式に送れちゃうかもだし」

「あ、そうですね」

「みんな! ちょっと急ぐよ!」


 そして予約しておいた宿に行き、荷物を置く。


 だが急いでいて階段を小走りで降りようとした時、誰かにぶつかってしまった。


「あ! ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」

 俺にぶつかり、尻餅をついてしまったその女性に、手を差し伸べて掴んでくれたので、引っ張って立たせる。


「すみません、ちょっと急いでて……」

「いえ、私も急いでて……」


「おーい! 早くするしー!」

 宿の外から、俺を急かす声が聞こえる。


「あぁ、やばい。ごめんなさい!」

 ぶつかってしまったのにこんなさっぱりと終わらせてしまうことに対して謝罪し、また小走りで外へ向かう。


「……ら」

「……ん?」


 後ろから、何か聞こえたので振り向く。


 今のは……さっきの人が呟いたのかな?


「シンー? どうしたのー?」

「あ、ごめん、なんでもない。すぐ行くよ!」


 そして俺が駆けていく姿を、階段の上からそっと見つめていた、一人の女性がいた。


 急いでいることも相まい、そんなことには一切気付かずに走っていく俺。


 その女性は、俺が見えなくなるまで、静かに見続けていたのだった——。


 ―――――――――


『この学園対抗戦本戦へと勝ち抜いた猛者共よ! 血に飢えた獣が獲物を仕留めるように、全力で敵を打ち倒し、盛大に盛り上がり荒れ狂えぇ!!』


 ……暑苦し。


 てかこんなの学生の大会で言うセリフじゃないだろ絶対。


『暴れる準備は出来てるかぁ!!』

「「おぉー……」」


 みんなめんどくさそうに、と言うより、無理やりやらされているように言う。


『では次は、出場学園の紹介だぁ!!』

 あれ、なんか声震えてない? よく見たら涙目?


 やべ、めっちゃ可哀想に見えてきた。



『ま、まずはサンクテュエール王国から。毎年本戦に駆け上がり、優勝回数も最多! 正真正銘の王者! ソルセルリー学園んん!!!』

「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」


 開会式を見に来ている観客が、大歓声を上げる。


 ……さっき上げてあげてほしかったかな。



『次にアギュオス帝国から。俺達に歯向かうものは許さない! 容赦なく潰すぜ! 銀の帝王! リュギア学園!!!』

「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」


 なんか帝王ってかっこいいな……俺もそっちが良い。



『この国フォラリア共和国から。仲間がいれば何でもできる! チームワークが一番だ! 自然と調和! フェラス学園!!!』

「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」



『そしてレギオス帝国から。頭脳明晰! 神算鬼謀! 正確無比の司令塔! セイナミス学園!!!』

「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」



『ギラスレイト公国から。容姿秀麗! 優雅優艶! 孤高の聖女! ディアライト女学園!!!』

「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」



『最後にカール公国から。器用貧乏! 広く浅く! 多才の貴公子! クリア学園!!!』

「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」



 ……この文句って、誰が決めてんだろ?

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