表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/89

第48話 国王からの呼び出し

挿絵(By みてみん)


 俺とレイの追いかけっこは、レイ体力がが先に尽きたので、休戦ということになった。


 いや、普通、俺の勝ちで終わりじゃね?


 まぁ、レイだからしょうがないか。


「ほら、そろそろ別荘戻ろうよ」

「うん……結局見つけられなったね」


 なんか、浮かない表情をしてると思ったら、隠し通路的存在を見つけられなかったことに、残念がってただけか。


 良かった。少なくとも、さっきよりは楽になったみたいだ。


 別荘に戻ると、もうみんな集まっていて、俺達が一番最後らしい。


「シン、なんか収穫あった?」

 戻ったら最初に、マギアスが話しかけてきた。


「いや、なかったよ。そっちは?」

「こっちもなかったよ。先輩達の班も何もなかったって」

「そっかぁ……」


 ちょっと残念だな。


 でも、普通に考えてみれば、そりゃそうなんだよな。

 だって、アストリア家がしっかり調べて何も掴めなかったのに、俺達がそんな簡単に何か分かるわけもない。


 分かってたけど、残念なんだよ!


 その夜、みんなでセレスと先輩達の作ったご飯を、いつものように食べながら、今日の出来事を情報交換した。


 俺達が話したことは、みんなに気を遣わせるのも嫌なので、レイが何度もこけたとか、レイがお腹ぐーぐー鳴らしてたとか、レイが迷いかけたとか、真実味のある嘘をついて誤魔化した。


 レイにはものすごく否定された。

 おかしいな……?


 ―――――――――


「はぁ……アルスベリアでの合宿もあっという間だったね」

 残念そうにベッドに寝転がっているレイが言う。


 最終日くらい、いつものように桜の会を開こうとなったのだ。


「学園対抗戦って、まず2週間くらい使って国内予選やるんだよね?」


 俺達がこの約2週間、頑張ってきた目的の『学園対抗戦』について、自分の知識をセレスとおさらいする。


「はい。と、言っても、この国では、ソルセルリーが一番の難関、強豪とされているので、ソルセルリーはシードとされ、実際に国内予選で戦うのは決勝に進んだ一つの学園とのみです」


「え、じゃあ一回勝てば本戦に進めるってこと?」

「そゆことになる!」


 片手をピンと上げて肯定するセレス。


 小さい子みたい。


「なんかズルみたいだな」

「それだけの実績と歴史があるから。私達の学園は」


 ま、シードの理由なんてそんなもんか。


「それで、本戦では6ヶ国から一学園ずつ代表としてやるんだっけ」

「そだよ!」


「そういえば、まだこの国以外の国について知らないな。今教えてくれる?」

 今更他国のことを全く知らないことに気付き、セレスに教えを乞う。


「いいよ! この大陸には国が6個あるの!」


 さっきも6ヶ国って言ってたしな。


「まずはこのサンクテュエール王国ね」

 そりゃあこの国は流石に分かるよ。


「次に、アギュオス帝国。貴族制度が最も厳しい国で、完全に皇帝が主権を握ってます!」

 わー……なんか悪印象。


「で、フォラリア共和国。国民が自由に行動出来る、というか、制限があまりない国!」

 おー自由国。


「更にレギオス帝国。皇帝、貴族制度はあるけど、言う程厳しくはないの。でね、軍事力がこの国の次に高い国!」

 この国の軍事力、やっぱこの世界でもすごいんだ。


「それにギラスレイト公国。いくつかの貴族が支柱となってる国で、魔法技術の平均が世界的に見ても高いの!」

 ほう。


「そして最後に、カール公国。そこは、資源が豊富な国なの!」

 なるほどなるほど。


 てかセレス、テンション高いな。


「ふあ~……」

 そんな時、レイが可愛らしいあくびを繰り出した。


 ありゃ、もうおねむですか。


「じゃあ、もう眠くなったみたいだし、ここでお開きにしよっか。セレスも、教えてくれてありがとね」

「はーい」


 ―――――――――


「あうぅぅぅ…………」

 昨日の元気なセレスとは違い、気力のないセレス。


 ほんとに、乗り物に弱いんだなぁ。


「先輩、またセレス寝かしてきますね」

「あ、うん。ごめんね」

「大丈夫ですよ」


 今回は、レイが手伝うとは言ってこなかった。

 前ので俺が一人で出来るのを、ちゃんと分かってくれたか。よかったよかった。


 前と同じように、お姫様抱っこをしてセレスを寝かしに行く。

 今回は嫌がらなかった。よかった。仲が深まったのかな?


 でも、また顔は赤かった。


 セレスをベッドに寝かせると、忍冬すいかずら冬青そよごが話しかけてきた。


【殿! 僕達が王女のこと見守ってるから外行ってていいよ!】

「あ、そう……?」


 セレスはそれで大丈夫かな?


 俺は心配で、セレスのことを見る。

「大丈夫ですから……私のことは気にしないでください」


 そう……かなぁ……。


 あ、でも女性は弱ってるとこを男性に見せたくないとも言うし……それなら俺はいない方がいいのか?


【ほらほら、殿は自由にしてていいから】

 忍冬すいかずらに足を押され、強制的に部屋から追い出された。


「えぇ……にしても、俺が殿でレイが姫。んでセレスが王女か……」

 なんかややこしいな。


 俺は風に当たろうかなと思い、潮風が感じられる外に出る。


「ふぅ」

 なんか……色々と疲れる合宿だったな。


 ディザイアのこと、忍冬すいかずら達のこと、三色の海、鬼特訓と、波乱の強化合宿だった。


 ―――――――――


 船で大陸に戻り、合宿で疲れただろうから今日はそれぞれゆっくりする。ということになった。


「……」

「ん、どしたの? シン」


 浮かない表情をしていると、レイがどうしたのかと話しかけてくる。


「いや、なんか……空気がおかしくない? あと、肌にも違和感あるし……」

「んー? そんなピリピリしたりしてるようには見えないけど?」


 不思議そうにレイが言うが、そういうことじゃないんだよな。


「違う違う。その空気じゃなくて、酸素とかの空気のこと」

「あぁ、そっち? ……確かに、なんか変……っていうか、嫌な感じ」

「でしょ?」


 一体、この感じはなんだ?


「もしかして2人とも、空気に違和感を覚えてます?」

 さっきまで、シェル先輩と操縦士さんにお礼をしていたセレスが、いつの間にかこっちに来ていて、空気に違和感を覚えているかと、鋭いことを聞いてきた。


「え、なんで分かったの?」


「実は、アルスベリア島から大陸に戻った時、全員の方がそう感じるそうです」

「え、なんで……?」


「アルスベリア島にいる時は皆さん気付かないんですが、あっちの空気が良すぎて、こっちに戻ると空気が気持ち悪く感じるんです」

「え、この国も空気キレイだと思ったんだけどな」


 ここも空気おいしいよ? 最初来た時感心したもん。


「それだけ、アルスベリア島がすごいということです」


 そんな、少し驚きなことが発覚したが、久しぶりの自分の部屋に軽い懐かしみを感じながら、ゆっくりと眠りについた。


 眠りにつき、その次に意識が戻った時、俺は猛烈な痛みと一緒だった。

「……ごほっ!!」


 一体何だと、閉じそうな瞼を必死に開けながら状況確認しようとする。


「シン、大丈夫!?」

「う、うん……」


 レイが俺の安全確認をしてくる。

 レイがこんなにも心配してくるなんて、俺、今そんなヤバい状況なの?


 視界が冴えた俺は、近くにレイがいるという情報を手に入れる。


 レイが、俺の腹部辺りに乗ってる……?


 って、なんだそういうことかよ……。


「今の痛みの原因、レイだよね?」

「うん、そーだよ」


 まるで当たり前でしょ? とでも言うように答えるレイ。


 こいつっ……。


 俺の上にレイが乗ってる。そして、俺はさっき猛烈な痛みを感じた。

 それらのことから導き出される結論は、『レイが俺にのしかかってきた』というものだろう。


「で、なんでレイはわざわざ俺を痛めつけた?」

「あれ、まず叱ってくるかと思ってたのに」

 なぜこんなことをしたのか聞くと、心外そうな顔をしてきた。


「今日はなんか気分が乗らないんだよ……。それに叱られると思ってたんならやるな」


「シンをいじるのはやめられないからさ。でも、今日はそういう日なんだ。久しぶりだね」


「レイ、どういう意味ですか?」


 レイの言った言葉の意味が分からなかったのか、セレスが意味を聞いてくる。


「あぁ、シンね。こう見えてかなりの気分屋なの。だからたまに、テンションがすごく高い日だったり、すごくクールな日だったりがあるんだよ。全然喋らない日だったりね」


「そうなんですか」


「まぁ大抵は普通のシンなんだけどね。こういうのになるのは極稀だよ……今日のシンは、やる気のないシンかな?」

「んだよーやる気満々だぞー……」


「あ、絡みがめんどくさいシンでもあった」

「んだよー、めんどくさくないぞー」


「確かに今日のシンはおかしいですね」

 何がおかしいんじゃこら!


「ほら、もう学園行くよ」

 レイが小さい子をしつけるように俺に言う。


 ―――――――――


 学園に行くと、みんなからアルスベリア島のことについてものすごく聞かれた。


 中にはシェル先輩の水着とか、けしからんことをいっぱい聞いてきた奴もいたが。……ロイドがね。


 その質問に俺は気分がおかしいので全く答えず、他のメンバーがほぼ答えていた。


 忍冬すいかずら冬青そよごのことは、驚かれるのも面倒なのでペットだと言っておいた。


 そういえば、新しい年の始業式は、俺達がアルスベリア島に行っている間に済んだそう。


 俺、まだ一回もそういう行事参加してないな。


 そして、その日の学園もあと少しで終わる時、ある知らせを受けた。


『——王が、俺とレイとセレスを呼んでいる』という知らせを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ