第33話 学園対抗戦メンバー選出
あれから3日経ち、ついに今日が学園対抗戦メンバー選出の日となった。
「えーっと、俺の名前はー……」
「あ、あったよ。シンの名前」
俺たちの前には、黒板に張り出された学園対抗戦メンバー選出の大会? のようなものの対戦表がある。
「んーと、知ってる人はー……俺のCブロック、知り合い誰もいないんだけど……」
「私は何人かいるね」
「っつーことは、まず準決勝で誰かと当たって勝ったら恐らくマギアスとってとこか」
まぁマギアスは勝ち抜くだろ。
その時教室のドアが開かれた。
「ごめんな。その表ちょっと変更がある」
そう言ってペンで俺とマギアスの名前を消した。
「え?」
「不思議に思ってるだろうが、今から説明するから」
「あ、はい」
「お前ら、3日前派手に暴れたろ?」
「「は、はい……」」
反省してます。
「そう小さくなるな。別に叱りゃしねーから」
ホッ。それは良かった。
「んであんだけ派手に暴れたから学園長も見てたのな?」
お、お恥ずかしい……。
「それでこんな実力を持ってるのは上の学年にもいないって確信したみたいで2人は無条件で決定になったんだよ」
なんかズルいみたいでやだな……。
「あ、別にズルじゃねぇよ? てかこんなんならなかったとしてもお前らならメンバーになれただろうよ」
―――――――――
そして、特に波乱もなくメンバー選出が終わってしまった。
……戦いたかったな。
メンバーは俺、マギアス。そしてなんと驚くべきことに、レイとセレス。なんとレイは準優勝、セレスは3位入賞したのだ。
そして残るはシャムル=フォン=アストリア。4大貴族の1つ、アストリア家のご令嬢なんだと。
ちなみに、アレクのライル家と、カイルのレクシア家も4大貴族の1つだぞ!
シャムル=フォン=アストリア。今は2年生、つまり俺達の1つ上ということだ。この学園の生徒会長を務めており、成績優秀な上にこの美貌となると、そりゃ人気も超ある。
胸まで届くか届かないかくらいの純白のサラサラ髪に、青い瞳。更に小柄な女性だ。
まぁ悪く言えば色の抜け落ちた白髪に青の目ん玉のちびだ。すまん、悪く言いすぎた。
えっと、俺が言いたいのは言い方次第で人の印象は全然違うってこと。
そして俺にとって重要なのはこの後。なんと、リザーブ枠でカイルが選ばれたと。
……え、何? リザーブ枠って。じゃあ最初から6人にしたらいいじゃんよ。
「あなたがサクライ シン君?」
急に先輩が話しかけてくる。
「あ、はい。そうです」
その時、先輩の目がキランと光った。
そして先輩は俺に近付き、上目遣いでこう言った。
「ね、今日の放課後、私の家に来ない?」
胸元見えてますから! あなたかなりあるんですから見られるの分かりますよね! なのになんでそんな無防備なんですか!
「はい……」
俺は先輩の流れに乗らされてはいとしか言えなかった。
「じゃあ、放課後門の外で待ってるね」
そう言うとそのままどこかに行ってしまった。……可愛い。何あれ、普通に可愛すぎん?
と、何か殺気を感じるぞ?
俺は不思議に思って後ろを見る。
「「……」」
そこにはドス黒いオーラを出しているレイとセレスがいた。
…………こわい。
「ねぇシン? 今一体あんなに近距離でな、に、を、話してたのかな?」
「い、いや、別に大したことじゃ……」
「大したこととかは関係ないんです。ただ私達は話していた内容を、聞いているんですよ?」
「ご、ごめんなさい」
「それで? 何を話してたのかな?」
「そ、それは……」
「言えないですか?」
「はい……」
え? あれ? ちょっと待て。
どうして俺は今秘密にしたんだ? 普通に言えばいいのに。
レイとセレスの雰囲気で俺が悪いことをしていたと思ってしまったのかな。そのせいで悪いことは隠さなければという考えに至ったのかな。
つまりはレイとセレスのせいと。なるほどなるほど。
―――――――――
「シン! 帰るよー」
「あ、ごめん。先に帰ってて俺ちょっと用事があるから」
「そう? 分かったー」
「レイ、今のシンの用事って絶対シャムル先輩が関わってますよね」
「つけるか」
「ですね」
俺は靴を履き替え、門の外に行く。するとそこにはシャムル先輩が暇そうに待っていた。
この世界にスマホってないからなぁ。そんな感じの魔道具とかないのだろうか?
「お待たせしました。先輩」
「お、来たかシン君。じゃあこっちついてきて」
そして先輩について行くが、妙なことに転移碑を5回くらい使って先輩の家に着いた。
なんでだ? この国の転移碑は全て繋がってるのに、どうしてそんな遠回りを?
「じゃあ、まずは上がって」
「は、はい……」
こういう立派な建物に入るのは王城のおかげで慣れたけど、なんで家に?
更には先輩の部屋に招待された。
先導されるがまま俺はベッドに座らされ、先輩は隣に座った。
……ん? なんかおかしくないか?
まぁいっか。別に断る理由もない。俺だって男子だし可愛い子が近くにいて嫌と思うことは無い。
にしても可愛い部屋だなぁ。
「ねぇ」
「あ、はい?」
「シン君はなんで私がシン君を部屋に呼んだか分かる?」
「何か話したいことがあったんでしょう?」
「正解」
これくらいは誰でも分かるよ。そうじゃないのに他人を部屋に呼ぶ可能性は低い。
「じゃあ、何を話したいんでしょうか?」
「うーん……」
そればっかりは分かるわけないわー……。
「分かりません」
潔く諦める。
「じゃあ教えてあげるよ。私がシン君を呼んで何がしたかったのかと言うと」
「したかったのかと言うと?」
「ただ話してみたかっただけなのでした!」
笑顔でそんなことを言う先輩。やべ、普通に可愛い。
「そんなことですか……」
「ちょっと! がっかりしないでよね! 雑談は楽しいんだよ!?」
いや、雑談が楽しいのは分かるけど……。
まぁいっか。
「それで、何話します?」
「うーん。あ、じゃあシン君の前いた世界のこととか?」
「前いた世界のことですか……この世界とは全然違いますね」
「へぇ、どんな風に?」
「まず、魔法がないんですよ。魔法とは違くて、科学ってものが発展してて」
「ほえぇ」
変な声。
「それで、戦いも一般の人は全然しな……って、ん?」
俺はここでやっとある違和感に気付く。
「え?」
俺はありえないといった目でシャムル先輩を見る。
「どうしたの? シン君」
「なんで、俺が転移者だって分かったんですか?」
さっき、俺は元いた世界について聞かれた。これを知っているのは城内の人とエクス先生だけなのに。あ、あと学園長もか。
なのにこの人は知っていた。どういうことだ?
「そんなの簡単だよー。まずこの時期に入学するって時点でおかしい」
「それは確かに」
「それにあんな実力があるのに今まで名前を全く聞いたことがなかったのも気になる」
あぁ、マギアスとやった時のを見られたのかな?
「それで、もしかしてと思って今日サクライ シン君って呼んだら、当然のように君は返事をした」
あ、そうだ。ここではシン サクライってなってるんだ。それで俺にカマかけたって訳か……。
「それで、それを知ってどうするんですか?」
「別にどうもしないよ?」
「え?」
「ただ知りたかっただけだよ」
「なんだ、なら構える必要ないですね」
「そりゃあないよぉ。お姉さんには気を許して大丈夫よ」
その身長だとお姉さんってより……。
「シン君、失礼なことは考えない方が身のためだよ」
なんで俺の周りはこう感の鋭い女性が多いんだ!
「分かりました。お姉さん」
素直に従ってみた。ただの気分でだが。
「ふふふ。よろしい。私はお姉さ……!!」
先輩が足を嬉しかったのか足をばたつかせていたせいでテーブルに足をぶつけてしまってみたいだ。
「うぅ……い、いたいよぉ……」
「……ふっふふ……あははは!!」
俺はおっちょこちょいな先輩を見て笑ってしまう。
「うぅ……なんで私毎回決まらないの……」
どうやら意外とおっちょこちょいみたいだ。
「先輩、もっと砕けて話してくださいよ。本当の自分で」
俺は今の行動を見て、先輩が普段自分を作っていると思った。
「……じゃあお言葉に甘えさせてもらうけど、私はお姉さんなんだから」
先輩はお姉さんキャラでいたいのか。その見た目だと妹だと思うんだけどなぁ。
妹だと思ったら、俺は先輩を撫でてしまっていた。
「ん……」
先輩は気持ち良さそうに顔を少し突き出してくる。
何コレ、先輩可愛い。
「可愛いですね」
自然とそんな言葉が漏れる。自然な微笑も付きながら。
「あうっ……!」
途端に顔を真っ赤にして俺の胸に顔を埋める。どうやら恋愛経験は豊富ではないようだ。
可愛いな。ちょっといじめてみよう。
「シャムル先輩、髪質良いですね。撫でてて気持ちいいです」
更に埋めるシャムル先輩。
「……シェルって呼んで」
「え?」
「シェルって呼んで」
「え、えっと、シェル先輩?」
にっこりと笑うシェル先輩。
「この呼び方仲良い人しか知らない呼び名だよ。なんと、シン君は男子で初めてシェルって呼んだ人なのです」
お、先輩と仲良くなれた。やった。
「シェル先輩、顔が真っ赤でりんごみたいですよ?」
「シン君……」
どうやら俺の言葉は届かなかったみたいだ。
次の瞬間、俺はベッドに押し倒された。
「……え?」
「大丈夫……初めてだけど、頑張るから……」
「頑張るって、何を?」
見れば、シェル先輩の息は少々荒く、目は潤んでいる。
俺はシェル先輩にベッドで床ドンされた状態だ。
「大丈夫だから……ね?」
「はい……」
先輩の空気に流され、俺は承諾してしまう。
身体も反抗しようとしてない。
あぁ、俺はここで、先輩と大人の階段を昇ってしまうのだろうか。
きっとそうだろうな。
「んっ……」
先輩が俺の唇と自分の唇を付け、舌を絡めてくる。
あっ、だめだ。もう、何も考えられなくなっている。あまつさえ、気持ちいいとすら感じている。
この場には止める人は誰1人いない。ならば、逃れはしないだろう。
「はぁ……はぁ……気持ちいいよ。シン君」
「はぁ……」
俺は何も答えられない。
先輩はその後、さっきと同じキスをしてくる。
自分の下半身にで伸ばしているのを感じ取れる。
理性がほとんど失われた俺はシェル先輩の扇情的に潤んだ目を見つめながら覚悟するのだった。




