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番外編 花宮真姫

挿絵(By みてみん)


 私、花宮真姫はいつも通り起きて、いつも通り朝ご飯を食べ、いつも通り支度をし、いつも通り真と零と登校する。


 そんな風に、いつも通りの生活を送る。と、その時までは思っていた。


 歩いていると、真と零がいたからいつも通り声をかける。


「あ、真姫ちゃんおはよー!」

 こっちから話しかけるつもりが先に零から声をかけられた。


「おはよ……どしたの? 真」

 そう尋ねると真は黙って零の方を見る。


 ……なるほどね。

「あぁ。そういうこと」


 そして私達は学校に向かって歩き出す。


「う……」

 と、歩いて少しした時、急に目眩がしてよろめく。


 頭を抑えながらも耐えるが、目を開けると真と零の姿が見えない。


「……あれ? 2人ともー?」

 おかしいなとは思いながらもまぁいっかと思いそのまま学校に行く。


 教室に入っても真と零の姿は見えない。……ん?


 そこで私はある違和感に気付く。

 ……真と零の姿どころか、2人の席すらなくなっている。2人は最後列の窓側の席と、その隣だ。


 なのに、そこだけ妙にぽっかりと何もない。


「ねぇ、あそこの真と零の席、どうしたの?」

 これは流石におかしいと思って友達に聞く。


「……真? 零? 誰それ?」

 だがその友達は本当に意味が分からないという様子で首を傾げる。


「え……? 真と零だよ? あの学年中が美男美女トップカップルって影で噂してる」

「……誰それ? もしかして真姫、読んだ本の内容と現実の境目が分からなくなってるの?」


 …………え? な、なんで?


「あ、ねぇ。真と零はどうしたの?」

 この友達のふざけだと思って他の友達も聞いてみるが、さっきと反応は同じ。


 ……どうして? なんで2人のことをみんな忘れてるの?


「あ、先生! 真と零どうしたんですか?」

 私としたことが、柄にもなく焦ってしまっている。


 でも仕方がない。2人は親よりも一緒にいる時間が長いのだから。


「……真? 零? そんな生徒、うちのクラスにいたかしらね?」


 ……先生まで?


 ないと思うけど、みんなで壮大なドッキリ仕掛けてるとかないかな? ……ないか。


 と、とりあえず、帰ったら2人の家に寄ってみよう。何か分かるかもしれない。


 ―――――――――


 全ての授業終了のチャイムが鳴り、学校を出て2人の家へ直行する。


 真の家は確かこの道をまっすぐ行って右に曲がったらすぐだから、と。


 そして真のまぁまぁ大きい一軒家を目にする……ことはなかった。


 そこにあるはずの真の家はなく、あるのはただまっさらな更地だけだった。


 ……じゃあ、隣の零の家は!


 その零の家も、更地になっている。


 まるで、世界から2人の存在そのものが消えたかのように。


「……なんで、2人ともいないの? ……あ! そうだ! お母さんたちなら何か知ってるかも!」

 2人の家族に何か聞いているかもしれない。


 そう思って家に帰って2人を探すが、家にはいなかった。どうやらまだ仕事のようだ。


「今日に限って……」

 ため息を吐きながらソファに座り込む。


「お風呂入ってさっぱりするかな」


 お風呂に入ったら、このなんとも言えない嫌な予感と不安な気持ちを身体を洗うのと同時に洗い流してくれるのではないかなんて理由でお風呂に入る。


 ―――――――――


「ただいまー」

 玄関の方からお母さんの声が聞こえる。


「おかえり。あのさ、聞きたいことがあるんだけど、

いい?」

 すると、2人は急に真剣な表情になって2人で話し始める。


「……もしかして、もうなの?」

「俺は聞いてなかったけど、多分そういうことじゃないのか?」


 私にはそのヒソヒソ声が聞こえないので自分だけ仲間外れにされている気持ちになり、何を話しているのか問い詰める。


「い、いやなんでもないよ」

 だがはぐらかされる。


「……まぁいっか。とりあえず聞きたいことがあるからリビングに来て」


 その後、ダイニングテーブルに行き、片側に私、もう片側に2人が座る。


「……それで、聞きたいことっていうのは?」

「うん。今日ね、真と零が学校にいなかったの。だから何か知ってるかなって」


「…………ごめんね。私達は何も聞いてないわ」

 妙に長い空白の後、そう答えた。


「……そっか。ごめんね」

 謎は解けていないが、探っても仕方がないと思い普段通りご飯を食べて自由にして寝る。


 ―――――――――


 目が覚めると、私は白い空間にいた。


「……夢、かな?」

「夢じゃないよ」

 神々しい声だ。でも、少女っぽい。


 少女の姿が顕現する。


「夢じゃない? ならここはどこ?」


「答えるけど、あまり驚かないでもらいたい」

 ……随分と表情を変えないな。


「分かった」

 今はここがどこか知りたいのですぐに了解する。


「ここは君たちで言うところの神界というものだよ」

 金髪金眼の少女は、そう答えた。


「……神界?」

「とりあえず今はそこには疑問を持たないで」

 いや、そんな事言われても疑問はいっぱいあるよ。


「あなたが今1番知りたいのは桜井真と、光崎零のことでしょ?」

「……! なんでそれを?」

「私が最高神だから」

 さいこうしん……まぁいいや。


「真と零はどこに?」

「簡単に言うと、異世界」

「…………はぁ?」

 いけない。素っ頓狂な声を出してしまった。でも仕方ないでしょ。いきなりこんなこと言われたら。何かのドッキリかと思うのが普通だよ。不思議とそうは思わないけど。


「つまりあなたはこう言いたいの? 真達は異世界転移したと」

「そういうこと」


 ……何故だろう。普通なら嘘だと思うはずだが、とても嘘とは思えない。この少女の言っていることの、全てが。


「じゃあ……私も真達のいる場所に連れて行って」

「無理」

 即答された。


「なんでよ! 真と零は行ったんでしょ? なら私も行かせてよ!」

「それは出来ないの」


「……そういう決まりがあるの?」

「それはない」


「じゃあなんで?」

「今そんなことをする訳にはいかないの」


 正直、意味が分からない。でもこの少女の眼は本気だ。とりあえず嘘ではないだろう。


「でも、勘違いはしないで」

「どういうこと?」

「その場所に連れていくのは駄目だけど、同じ世界に連れていくのは出来る。それなら大丈夫だと思うから」


 ……一体この少女は何を気にしているのだろう。ルールがないのであれば、他に何があるのだろう。


「それでどこに飛ばすかって話だけど、かなり遠い国になる」


「それは了承するよ。真達と同じ世界に行けるだけで十分」

「……1つ、アドバイスを」

「ん?」


 少し考えた後に私にアドバイスをくれるという。


「その国、フォラリア共和国にフェラス学園がある。その学園に入ったら国の代表校同士で戦う学園対抗戦がある。その学園対抗戦に恐らく真と零も来る」

「それに出れば、2人に会えると?」


「そういうこと。その学園に入れるようにこっちで根回ししておく。真と零に会ったら、2人のいるソルセルリー学園に入学するといい」

「あ、ありがとう。でも、なんでそこまでしてくれるの?」


 この少女にそこまでする理由があるのだろうか?


「……あなたがあそこに合流してくれなきゃ私が困る」

 ……どういうこと?


「じゃあ、もう飛ばすね」

「え? ちょっと待って! 他にもまだ……」

「大丈夫。言語理解もあげたし、スキルもランダムだけどちゃんと与えた」

 最後に聞こえた声にそういう話じゃない! とつっこみながら私の意識が薄れゆく。


 ―――――――――


 そしてその時決めた予定通り、フェラス学園に入り、Sクラス生になり、シン達と会うことを心待ちにすることになる。


 そしてマキとシン、レイが合流するのは、もう少し後の話となる。

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