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第32話 クレア、見直したよ。今まで馬鹿だと思っててごめん

挿絵(By みてみん)


 長所試験も纏いやら魔法やらを見せて無事終了し、あとはすぐに結果が出るそうなのでそれまでみんなで話でもして待つことになる。


「私……Sクラスにいれるかな……」

 ネガティブになりきっているクレアだ。


「だ、大丈夫だよ。クレアなら」

「大丈夫かな……?」


「そうだよ。でも、なんでクレアはそんなにSクラスに拘るの? 確かにSクラスにいるメリットはあるけど、そこまでかな?」

「……セラール商会って知ってる?」

 と、いきなりそんなことを言いだした。


 セラール商会? なんか聞き覚えのある単語だけど……どこで聞いたっけ?


「確か、ウェンズさんのあれがそうだったよね?」

 不思議に思っているところをレイに確かめられる。


 なるほど。ウェンズさんの商会そういえばセラール商会って言ってたな。


「うん、知ってるけど」

「私のお父さんね、そのウェンズさんのグループの1つの商会なの」

「へ、へぇ」

 それで?


「今私のお父さんの商会があんまり良くなくてさ。一応娘がここのSクラス生だっていうステータスあるからそれがまぁまぁ宣伝になってるんだけど、そのステータスがなくなったらいよいよ本格的にやばくなるから……」


 ……こいつ、家族のために頑張ってたのか。ただのあほだと思ってたけど。


「あなた……色々苦労してたのねぇ……」

「今までお茶目な子供だ思ってたけど、見直したよ」

 おっと、アレク。それは一言余計じゃないかな?


「クレア、ただの馬鹿だと思っててごめん」

 おや、みんなクレアの評価が酷いぞ。


「うん、ありがと……」

 あれ、もしかして見直してくれたことに感謝してるのか? ちゃんと『子供』とか『馬鹿』とか聞こえてるか?


 まぁいいや。ここで掘り返すのも良くない行動だろうし。


「おーいクラス決まったぞ……って、どうした? みんなしんみりして」

 ちょうどエクス先生が結果を持ってくる。が、俺達のしんみりとした空気に違和感を覚えた先生。


「あ、いや、なんでもないですよ」

 話すと長くなりそうなのでさらっと流す。


「そうか、ならいいけど。んで結果なんだけどな?」


 唾を飲み込んだ弾みで、ゴクリ、という音が聞こえる。その音を出したのはクレアだけだが。1人でこんなに音出せるのか。

 俺は素直に感心してしまう。何に感心してるんだ俺は。


「めでたくSクラスは1年時と変わ……」

 そしてエクス先生がらを発音しようと口を開ける仕草をした途端。


「ぃやっったーーーッッッ!!!!」

 近所迷惑な騒音が教室中に響く。


 みんなも迷惑だ! と怒るどころかびっくりしている。


「いや……はえぇよ……」

 エクス先生もポカンとしてるよ。


「やったやったやったー!!」

 そんなことクレアの耳には届いてもおらず、その声に気付くことなくはしゃぎ続ける。


 ここが他のクラスと少し離れててよかったよ。近くだったら絶対クレームが来ていただろう。


 そして一通りはしゃぐと疲れたのか椅子に戻り、ピタッと動きを止める。軍隊みたいに綺麗に止まったな。


「ま、まぁとりあえず全員今まで通りだから。それと明明後日から学園対抗戦メンバーの選出があるからな。出たいやつは特に鍛えとけ。あ、そうだ」

 そう言って俺とマギアスのことを見るとこう言った。


「お前らも一応鍛えとけ。多分2人はメンバー確実だろうけど、他の国の学園にも強いやつがいないとも限らないからな」

「え、確実?」

 俺は率直な疑問を持つ。


「そりゃそうだろうよ。お前らは実力でツートップなんだから」

 え、そうだったの?

 あ、もしかして俺がマギアスに勝ったからそう言ってるの? だとしたら間違えだよ! マギアスに勝ったのは俺じゃなくて夢に出てきたあいつなんだよ!


 ……まぁ、こんなこと言っても信じてくれないだろうけど。


「分かった」

 マギアスが一言。


「はい……」

 俺も渋々だが了承。


「まぁ言うことはこんくらいだな。じゃああとは各自自由に」

「「はーい」」


 みんなガタガタと席を立ち、いつも通りアレクはザックと、クレアはミラとカーラと、というグループになって帰る。


 ライムとロイド、カイル、マギアスは大体1人だ。たまにそこで帰ったりもしてるけど、基本的には1人だ。


 ―――――――――


 家に帰り、風呂に入る前、俺は訓練場に向かう。

 まぁ家と言っても城なんだが。


 マギアスとの戦いが終わってからずっと思ってる。


 自分の身体に残っている感覚。マギアスと戦っていた時に俺とあいつが入れ替わり、あいつが戦っていた時の感覚。

 

 それが俺の身体に残っている。


 ──だから、どうしても試してみたい。


 日影を抜いて後ろに構える。

「影纏い玖ノ型 ……影鰐かげわに!」


 すると、マギアス戦の時までは行かないが、前よりも規模が大きい影鰐かげわにを発動することが出来た。


「……出来た」


 これが出来ることを確認すると、次は別のことも試す。


「……闇纏いは出来るのかな?」

 実践してみようと日影を構え、基本の壱ノ型に挑戦する。


「闇纏い壱ノ型 闇刃あんじん

 そう刀を振ると、闇は全く纏わなかった。


「……はぁ。そう簡単には行かないか」

 主人公補正期待したんだけどなぁ……やっぱり俺、主人公じゃないとか……?


 まぁ、一般の人よりは強いからいっか!


 そう結論付けると次は影纏いの拾ノ型を試す。


 何故闇纏いから試したかって? そりゃ闇纏い出来たらかっこいいじゃん。早く試してみたいじゃん。


 まぁ、置いといて、

「影纏い拾ノ型 夜叉ノ虧月!」


 これが発動した時の合図は自分の身体から影がぶわぁって出ることだ。……分かりにくいな。でも理解してくれ。俺は説明が苦手なんだよ。


 そして肝心の結果は……見事に失敗だった。


「……はぁ。主人公補正くれよー」

 ここで俺はふと疑問に思った。


「……なんで俺は強くなろうとしてるんだ? 確かに最初は身を守る為って分かってたけど、力は大分付いたよな? なんか、使命みたいに強くならなきゃって思ってたけど、そんな強くなって意味あるか?」


 正直最もである。

 ラノベの主人公だったら理由もなく強さを欲しがって成長するけど、それ冷静に考えたらおかしいよな?


「……まぁ、いっか!」

 自分でも強くなるのはロマンがあると思うし、別にいいやという考えに至る。


「さて、やることもやったし、もう風呂入って寝るか……あ、そういえば桜の会があるんだった」

 でもいっか。話すのは好きな方だし。


 ―――――――――


「あ、シン遅いよ〜。お風呂にそんな時間かけるタイプじゃないでしょー?」

 そして当然のように2人はベッドでくつろいでる。


「……風呂に入る前に少し身体動かしたんだよ。だから遅れたの」

 心の中でため息を吐きながら説明し、この時間での俺の定位置となったロッキングチェアーに座る。


「へー」

 こいつ、人に聞いておいて答えられたら興味なさそうにベッドの感触を楽しんでやがる。


「そういえばレイは学園対抗戦メンバー選出に控えて準備するんですか?」

 お、今日はいつも通りのテンションだ。正直助かったな。

 ずっとあのテンションだったらいつかめんどくさくなりそうだし。


 ていうかセレスのレイの呼び方が変わってる。今日の模擬戦で何かあったのか。


「準備ねー今まで以上に訓練頑張るよー」

「私もこのままレイに勝ち続けられるように頑張りますよー」


 おっと、さらっと煽ってるな。


「む。まぁ、すぐにセレスごとき超えられるから見ててよねーだ」

「そっちこそ! すぐにそんなこと言えなくなりますよーだ」


 おや、2人の間で火花が散っている。……あれ、ほんとに散ってない? あれ? ちょっと?


 ここで火事とか起こさないでよ?


「ちょ、火事なるからやめろって」

「あ、その心配はいりませんよ。この城の中の全てのものは燃えないようになってますから」


「え、なんで?」

「なんか、そういう魔法? だか魔道具? だかのおかげって聞きました。何故か詳しいこと教えてくれなかったんですよね」


 この国王女様に秘密にしてること多くないか?


「まぁ、それならいいけど……って良くない! そういう問題じゃないよ! 危うく流されるところだったよ!」

「「え?」」


「え? じゃない! そういう事じゃなくてそんなくだらない争いで魔法使うな!」

「くだらなくないよ!」

「そうですよ!」


 ……あれくだらなくなかったのか。

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