表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/89

第20話 お財布さん

「……ん」

 レイの意識が戻った。


「あ、レイ。大丈夫?」

「あーうん。大丈夫」

「ちゃんと覚えてる?」

「模擬戦で意識がなくなって今保健室、でしょ?」

「正解」


「それで、勝敗の結果は? ……まぁ、なんとなく分かるけど」


「シン君の勝ちだったよ」

「やっぱり……。あーあー勝てるかもって思ったんだけどなー」


「いや、俺なんかやばい負ける! って思ったぞ?」

「あはは。シンのこと追い詰められたね」


「っていうか最後さいご影鰐かげわにが成功しなかったら負けてたと思うしな」

「じゃあ、シンの方が持ってたっていうことだね」

「ラッキーだったな」


「……ねぇ、ザック」

「ん?」

「やっぱり、レイさんとシンっていい感じだよね」

「あー。そーだな」

「2人ってそういう関係なのかな?」

「え……」

「そういう関係って?」

「だから、恋人関係だよ!」

「あーそうなのか?」


「……ザックに聞いた僕が馬鹿だったよ」

「私はそういう関係だと思うよ!」

「僕も思うね」

「私もぉ」

「私もそう思う」

「僕もそう思います」

「俺もそう思う」

「俺も」

「私も私も!」


 俺達と一緒に暮らしてて境遇を知ってるセレス以外満場一致かよ!

 っていうかなんでさらっとセラピア先生も会話に加わってるんだよ!


「お前らうるさい! あとレイはただの幼馴染みだから恋愛関係とかは何もない!」


 そう言った途端にその場の俺、レイ、セレス以外の全員が口を揃えて「えー」と不満の声を漏らした。人の声でここまで綺麗に揃うことあるんだな。


「じゃあ私達でこの2人をそういう関係にしようよ!」

 突然クレアがそんなことを提案する。なんだその超ありがた迷惑なものは!


「「いいね!」」

「「よくない!」」


 みんなのハモリに対してこちらも同等のハモリで対抗する。


「というか皆さん。レイさんは目が覚めたばかりですよ?」

「あ、そっか。ごめんね! レイちゃん!」


「ううん、大丈夫だよ。もうなんともないから」

 そう言ってレイは起き上がり、立った。


「じゃあ、もう教室に戻った方がいいんじゃないかな? エクス先生も多分待ってるだろうし」

 えっと確かこいつはカイルか。

「それもそうだな。んじゃあもう帰るか」

 ザックがそれに応える。


 教室に戻るとエクス先生が黒板に落書きをしながら待っていた。

「お、やっと戻ってきたか」

「いや、先生……」

 時間潰しの方法落書きって……。


「エクス先生ってこんな才能もあったんだね」

 レイがそう言うのも無理はない。なんせ黒板に落書きされている内容は俺達の似顔絵だったからだ。それもかなりハイレベルの。


 ちなみにエクス先生と呼んでいるという話はここに来る途中に話した。


「んじゃあとりあえずお前ら席に着け」

 みんなその指示に従ってそれぞれ自分の席に着く。


「んで、これから話すのはこの後どうするかだが、模擬戦はもうなしな。いちいち回復させんのめんどいし」

 理由それか……。


「だから、誰かこれがしたい! とかいうのあるかー?」

 全員黙り込む。どうやらぱっと思い付かないらしい。


「うーん。普通にみんなで話すでいいんじゃない?」

「雑談か。さんせーい」

 クレアの提案にザックが賛成する。


「じゃあ雑談でいいか?」

 誰も反対はしない。


「ならそれでいっか。ちゃんと話せよー。喋らないのは禁止な」


 すぐに俺の周りに来たのはさっきと同じくザックとアレクだ。


「シン。さっきの戦闘凄かったね」

「正直俺も驚いてるよ」

 と、言うのも纏いを使う実戦(模擬戦だけど)は初めてだからだ。


「しかもシンが使ってたのって影と氷の上の冰だったよね」

「よく分かったね。あ、そういえばさ」

「うん?」

「この学園の同世代に共振武器使える人が2人って聞いたんだけどそれって誰なの?」

「あぁ、1人はあのマギアス。学年トップの首席くんだよ」

「へぇ」

 ん? なんだ? 何故か少し懐かしいような気持ちになる。何故だろう。


「そしてもう1人がカイルだよ」

 マギアスは刀を腰に備えてるから刀なんだろうが、カイルは何も身に付けていないから何の共振武器か分からないな。


「カイルは何の共振武器を使うの?」

「大鎌だよ」

「お……!」

「びっくりした? 気持ちは分かるよ。少し怖いもんね」


「ていうかその大鎌は持ってきてないの?」

「異空間収納を使ってるんだよ。大鎌じゃかなり目立つからね」


 異空間収納か。プロットに教えてもらわなきゃな。絶対便利。


 そう話していると、マギアス、カイル、ロイド、ライムの4人もこっちに来た。


「楽しそうだね。僕達も混ぜてよ」

「うん、いいよ」

「何話してたの?」

「共振武器とかのことだよ」


「なるほど。っていうかシンすごいな。この年で玖ノ型までも使えるなんて」

 俺と同じく纏いの難しさを知っているマギアスが感心してくる。


「いや、玖ノ型が成功したのはまぐれなんだよ。実際まだ5回に1回成功したら上出来って感じだから」


「そうなのか。あ、そうだ。今日の放課後俺らで遊ばね!?」

 ザックがそう提案してくる。

「おぉ、いいね」

「僕もいいよ」

「僕も」

「ごめん、俺今日用事あるからいけないよ」

「俺は行けるよ」

「僕も用事があります」

 カイルとライム以外は行けると。


「なんなら学校帰り直行で遊ぼうよ」

「あ、それいいな!」

「でも、どこ行くの?」

「てきとーに食べ歩きしよーぜ」

「所持金今どれくらいある?」

 アレクがみんなにそう聞く。まぁ、それも当然か。直行で行くからな。


「俺金貨3枚ぴったり」

「「おぉ……」」


 みんなが驚いたような顔をした後、何故か俺以外の男子で集まる。


「シンがこんなに持ってるならシンに全部奢ってもらったらいいんじゃねぇか?」

「だよね」


「っていうかシン持ってきすぎじゃない?」

「何アイツ。実はボンボンなのか?」

「確かに、共振武器買えるくらいのお金あるみたいだしな」


「もしかしたらレイさんに貢いでるのかな? レイさんにも自分のお金で買ってあげたとか……」

「ってことは、レイはシンを財布としてみてるのか?」

「有り得るよ」


「なら、シンに真実を伝えなきゃ」

「辛い現実だろうけどね……」

「シンなら大丈夫さ。あいつは強い男だ。大丈夫だと信じよう」


「ちょっと待て! なんでそう話が変な方向に行くんだよ!」


「シン……受け入れられないかもしれないけど……レイさんはシンのことを……」

「だからそうじゃねぇって! 貢いでもねぇよ! 財布としても見られてもないから!」


「うん。そうだよね。受け入れ難いよね。でも、これが真実なんだ……」

「真実じゃない!」


 その時、急に俺の肩に手が置かれた。

「シン、受け入れるんだ。辛いことだが、現実を受け入れ、それを乗り越えるんだ」

「ザックもなんでそれが真実だって決めつけてるんだよ! ていうか俺が持ってきすぎって話だっただろ!」

「あ、そうだったね」


 その一言をきっかけにレイが俺の事を財布と思っているという考えはみんなの頭から抜け落ちた。


 思ってない……よな?

 やばい、俺がそう思い始めちゃってる……。そんなことはないはずだ。


「ま、全員自分の分は自分で払うでいっか。もし足りなくてもシンがいるし」

「レイよりもお前らが俺のことを財布として見てるだろ……」

「「あ、バレた」」

「……バレたじゃない!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ