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2話 クリオラ・ローエンス


この屋敷にはたくさんの人がいる。

ボク、父さん、母さんの他にも、使用人として30人くらいの人がいる。

侯爵家として30人の使用人は少ない方だと思うけど、そもそもウチはそれほど大きくないから、

大人数いても困るだけなのでボクが生まれた頃はーーというか今も「ご加護をー」とか言って使用人になりたい人が後を絶たないけど、全員断ってるくらいだ。


まぁそういうわけで、人数が少ないのでウチの使用人の名前は全員覚えてるし、それなりに仲もいい。

でも、『仲がいい』が行き過ぎてしまってる人もいてーー


「おはようございます。救世主(メシア)よ」

「うん。おはよう。クリオラ」


その一人が、このクリオラ。フルネームはクリオラ・ローエンス。

執事、というか、役職的には執事なんだけど、他にもいろいろやってる男だ。

父さんの旧友らしく、父さんとは結構気さく…なんだけど、

混沌の時代と呼ばれている、予言によって人類が混沌に支配されていた時代にとても苦労したらしく、

その時代を生まれただけで救ったボクのことを救世主と呼んで崇めてくる。

というか、こういう人は一定数いて、『勇者教』とかいうよくわかんない宗教を作ってるらしい。

やってることは人助けだからボクがどうこう言えないけど、名前は変えてくれないかなぁ、って思ってる。


「本日もお相手を務めさせていただきます。準備はよろしいですね?」

「は、はい」


あと目が怖い。




ボクは『勇者』というものらしく、1歳の頃から武の鍛錬を積んできた。

鍛錬の相手はクリオラ。普段は崇めてくるクリオラだけど、鍛錬となると容赦が微塵もなくなる。

その甲斐あって、現在のボクの存在値は359。第三アルファ全体から見てもかなり強いはずなんだけど…。


広い、草原のような庭でクリオラと向き合う。

蒼空の下のボクたちを、太陽が照らしている。


「武装闘気」

「武装闘気」

「剣気、ランク9」

「剣気、ランク2」


バフをかける。

クリオラがランク2の魔法を使っているのは、いわゆる『ハンデ』。

それほどまでの『差』が、ボクとクリオラの間にはある。

ちなみに、武装闘気にランクがないのは、武装闘気が『F魔法』に分類されるから。簡単に言えば、『ランク魔法』は使用する魔法のランクによって、『F魔法』は使用者の存在値によって魔法のクオリティが変化するらしい。


先手はボク。


「ソニックフィスト・改」


駆けて、突く。それを追求したグリムアーツ。

距離を詰めて、切り上げるまでにかかった時間はコンマ数秒。


『ソニックフィスト』は、比較的広く知れ渡っていて、

それ故に洗練されているグリムアーツの一つだけど、初撃重視な部分が否めない。

それで決められるならいいけど、決められなければ大きな隙を作ることになる。

その点が改善されたのがこの『ソニックフィスト・改』。



金属同士がぶつかる音が響き渡る。

いくつものフェイントを入れたにもかかわらず、クリオラの剣はボクの剣を阻んでいた。



ちなみに、剣は真剣を使っている。急所を狙うのは無しだが、

「回復魔法で治せる範囲なら、むしろどんどん傷つけていきましょう」らしい。

確かに、その方が回復魔法の練習にもなるし、実戦形式は大事だと思うけどとても痛い。

昔は毎日泣いてたし今も時々泣いちゃうけど、それでも、なぜか、ボクの『中心』が『諦めるな』とうるさいほどに叫んでいる。

だからーー。



縦横無尽にボクの剣が軌跡を空間に刻み込んでゆく。

けれど、クリオラはまるで柳のように、全てを優しく受け流していく。

そして、隙ができれば容赦なく斬りつけてくる。


こんな時間が1時間ほど続いて、息を乱した様子を僅かも見せないままクリオラが口を開く。


「さて、そろそろ時間ですかね」

「はぁ…はぁ……ふぅ…」


一度、互いに距離をとって、深呼吸。

そして、


「「異次元砲っ!!」」


互いに異次元砲を放つ。

このメニューはいつも決まっている。

1時間ほど剣戟を続けたあと、異次元砲の打ち合い。


異次元砲は無属性かつ貫通属性という珍しい性質を持っており、

異次元砲に対抗するには異次元砲を打ち返すしかないと言われている。

大抵は剣でなんとかなるが、異次元砲だけは剣では対抗できない。

だから、毎日の日課として異次元砲の打ち合いを取り入れている。


数秒の拮抗。と、思いきや徐々にボクが押されていって…


「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!」


ぐわあぁぁぁぁぁ。今日も負けたあぁぁぁぁ。



(棒読み)って付きそうな感じだけどめっちゃ全身痛いの我慢してるだけっていう。

ドーキガンくんかわいいね

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