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君と創る歴史  作者: 秋月
第4章~星詩~
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第47項:青春

騎士選抜試験を終えて数日が経過したある日。

シグレたちは朝早くからバーンの招集を受け、彼の部屋へと足を向けていた。

途中男女で合流して、いつものメンバーが揃ったと思いきや、現状一人欠けた六人である。


「たくよぉ、こんな朝っぱらから一体何だってんだ」


めんどくさそうな態度を微塵にも隠そうとしていないのは、金髪碧眼のウェイバー=グラハム。


「…………くだらない用件ならばコロス」


眠たそうに不機嫌を具現化したような黒いオーラを纏うのは、黒の長髪に黒の瞳、重力に逆らうアホ毛と呼ばれる髪を携えたカノン=ウィアルド。


「はぅあ!?」


周りを歩く皆より頭一つ分小さく、カノンの纏うオーラにビビるのはセミロングの銀髪にオッドアイの犬の獣人であるアニー=トレアベル。


「カノン、アニーが怯えてるからやめなって。…まあ、バーン先生だからくだらないって事はないんじゃないかな」


苦笑いしつつカノンを宥めるのは、薄青色の前髪が少し長く黒の瞳を持つカディウス=フェブレード。


「どちらにせよめんどくさい事には変わりないな。それより、サンはどうしたんだ。一緒じゃないのか」


ハァと小さく溜息をつくのは、黒のショートヘアに琥珀色の瞳を持つシグレ=アマガサキ。

またの名を、シグレ=オーフェニア=ベルナーク。


「ううん、今日は朝から見てないよ…っていうか、昨日の朝から見てないんだよね。アタシ達が起きた頃には既にもぬけの殻だったし」


否定の意を示すように首を振るのは、赤茶色のセミロングに赤眼、そして猫の獣人であるイグサ=ハーミレイ。

また、ここにはいないが、茶色のポニーテールに黒曜石のような瞳を持つサン=イシュタリアが加わった七人がいつものメンバーである。


この六人、聖シュバルツ学園内では、その濃い個性と騎士選抜試験合格者という功績を持つ為に中々に有名な存在である。

既にそれぞれのファンクラブは滞りなく設立、活動しており学園新聞では特集が組まれていたりもする。

今現在も黄色い声が響いたり熱い視線を向けられていたりするが、もはや慣れ切ってしまった六人は何を思う事もない。


「で、結局のところ何の用事なんだ?」


「………まあ、十中八九この前の騎士選抜に関することだろうな。あれから俺たちに対して何の連絡もねえし」


「ということは、王族との謁見についてでしょうか?」


「騎士になる際には国王とその一族から御言葉を貰うのが慣わしだしね。その可能性は十分にあると思うよ」


「何だか想像つかないなー……皆は貴族の家系だったり騎士の家系だったりするけど、アタシは忍びの一族だし…」


「貴族や騎士の家系っていっても、そうそう国王に会えたりするわけじゃないよ」


「そうなの?」


「そうだぜ。つーか、俺なんて国王の顔すら覚えてねー」


「ウェイバー様、それは些かどうかと思いますけど…」


低血圧のせいで不機嫌な為に全く喋らないカノンを余所に話題は王族や貴族などの話に移っていく

そういえばサンがウェイバーたちのいう王族にあたるんだよな、とシグレは考えに耽る。

あのサンが、と言ってしまえばサンに失礼だがどうしてもお姫様、というには勇ましすぎる気がしないでもない。


「そういえば、シグレはグラスノアの王子なんだよな。ってことはこの国の王族とも交流があったりすんのか?」


「! い、いや…俺はよくは知らないな」


「そういえばこの国の王女も僕たちと歳が近いんだよね」


「………………………………」


「どうしたのですかイグサ様?」


「ふぇッ!?」


バカ、と心の中で呟く。

大方イグサも頭の中でサンの王女姿でも思い浮かべていたのだろうと予想する。

唐突に声を掛けられて、尻尾がビンと逆立っている。


「さ、サンがど、どうしたの!? って、あ……」


バカ、と更に心の中で呟く。

誰も今はサンの話をしてはいない。

いや、確かに王女はサンなのであるから正しいと言えば正しいのだが。


「確かに王女の名前はサン=フォニメント=ディオティナス王女だけど…」


「そんな風にさも親しげに呼ぶのはどうでしょうか…? ウェイバー様じゃないのですし」


「そうだぜ…っておいアニー!」


「…イグサ、俺たちの仲間のサンと同名とはいえ、王女の方を呼ぶ時は区別をつけた方がいいぞ」


アニーのサラリとした毒舌にウェイバーが突っ込んでいる間にシグレがフォローを入れる。

ハッと気付いたイグサは乾いた笑いを浮かべて誤魔化す。


「あ、アハハ。同じ名前だからいつものノリで言っちゃった……あ、ほら! もう着いたよ!」


イグサが指し示す先を見やれば、雑な字で「Burn」と書かれた扉がある。

これ以上この話題が続いてもイグサが苦しくなるだけなのでさっさと扉をノックする。

すると中から「入れー」と気だるそうな声が聞こえてきたのでドアノブを回して扉を開く。


中に入ると同時に、シグレたちは目の前の光景に思わず自分の目を疑ってしまった。


「んー? どうした」


「いやどうしたじゃねえよ……何だよその格好」


突っ込んだのはウェイバー。

他の者は皆同様に唖然としたまま。

それもそのはずで、いつもはだらしなく着崩し不格好もいいトコなバーンが、白銀を基調とし黄色と金色を取り入れた騎士服を纏っているからだ。

その姿、何処からどう見ても真っ当な騎士である。


「ああん? これが俺の武装だっつの。つかお前ら、なんだその服は。今から準備しとかねえと夕方の謁見に間に合わねえぞ」


『謁見?』


バーンの言い草に全員が口を揃える。

その反応を見てバーンは暫く何やら思案顔でいたかと思えば突然、


「ああ、そういやお前らにまだ言ってなかったな。今日の夕方五時から、レスティア国王と謁見だからそのつもりで」


ポンと手を叩き悪びれなくそう告げた。

その場の時が、空気が凍る。

この後の展開が容易に想像できてしまう為、シグレは予め両手で耳を塞ぐ。

その瞬間だった。


『ええーーーーーーーー!?』


予想していた通りめんどくさい事になったと、深いため息をつくシグレだった。




   ***




あれから全く反省した気配のないバーンから「スマンスマン、ほれ。これがお前たちに支給された制服だ」と言われ渡された服を持ってそれぞれ自分の部屋へと戻る。

新品の服独特の感触を感じながら袖に腕を通していく。


着終わった後に試しに鏡を見てみれば、そこには先程のバーンの服より多少飾りが減った白と黒基調の青と水色が取り込まれた騎士服を纏う自分の姿があった。

肘や手首、膝や足首など関節の要所要所には何らかの紋様を刻み込んだ特殊な素材で保護されており、見た目に比べてかなり丈夫らしく、バーン曰く「戦闘服であり正装」とのこと。

騎士服には様々な種類があり、それぞれ個人の戦闘スタイルによって変わるらしい。

しかしこの足首にまで垂れ下がった飾りの腰布のような飾りを見ているとゲームなどで見かける軽装気味の見た目重視な服に思えてならない。


「……似合わねえな」


自分で言うのもなんだがハッキリ言って似合っていない。

服の方が立派過ぎて逆に服に着られている感じがヒシヒシと伝わってくる。


「グダグダ言っても仕方ないか」


もはや諦めの境地に達したシグレはとりあえず変な所がないかだけを確認してから部屋を後にする。

謁見は夕大体五時辺りからとバーンは言っていたので、実際まだまだ時間に余裕はあるわけだが、同時に新人は早めに行っとけとも告げられた。

その為今は昼過ぎだが皆で着替えて集合することになっている。

ちなみに集合場所は学園の中庭である。


途中、幾度となく好奇の目で嬲られ黄色い声を耳にしたがシグレは無視していた。

中庭に近づけば近づく程それらが増えていくため、何事かと思えば中庭に着いた途端にその疑問は解消した。


「おーっす」


「やぁ」


中庭には既にカディウスとウェイバーの二人がベンチに座り込んでおり、来訪したシグレに声をかける。

シグレが二人に近づくと周囲のざわめきが更に大きくなる。


「集合、もうちょっと遅らせた方が良かったみたいだね…」


周りの視線が気になるのか、周囲に目をチラチラ向けて落ち着かなさそうなカディウス。

カディウスの騎士服はシグレの騎士服から飾りなどを全て取り除いたシンプルな服の上に、魔法使いっぽいゆったりとしたローブを纏ったものである。

色は白を基調とした深緑に桃色をあしらった落ち着きある感じだ。


「いんや、女子陣がどうせ遅くなるに決まってるんだからこん位でいいだろ」


かたや息苦しそうにしていながらもどこか飄々としているウェイバー。

スピードを活かした戦いをするウェイバーはそのバトルスタイルのためか、シグレのものよりも機動性を重視したものになっている。

シグレの服の半袖バージョンに特徴的なフィンガーレスグローブ、七分丈のパンツと……多少のラフさ加減は否めないが。

色は白と黒を基とし鮮やかな若葉色に紫を加えた斬新な色調だ。


「……………………」


「……………………」


「……………………」


カディウスは未だに落ち着かない様子でソワソワと挙動不審。

ウェイバーは諦めの態勢らしくベンチの背もたれに背を預けている。

そんな中、シグレがとる行動とは…、


「じゃあ、俺はもう暫く部屋に居るから集まったら呼びに―――」


「待て」

「待ってよ」


「チッ」


クルリと右に回れをして元来た道を引き返そうとしたところを敢え無く二人に捕まる。


「舌打ちすんなや! テメェが来ねえ間、俺らはずっとこの状況に晒されてたんだぞ。今更逃げよう何ぞ誰が許すか」


「流石に逃がすわけにはいかないよシグレ。今回ばかりは、ね」


鬼気迫る二人の手を払って逃げるわけにもいかず、シグレは已む無く中庭で女子たちを待つのだった。




   ***




女子が来るまでの時間、それは見世物小屋に居る猿の様な気分だった。

一挙手一投足に一々反応されその度に写真を撮る音や黄色い喚声が挙がる。

その精神的ダメージは測り知れず、またウェイバーやカディウスも同様のようだった。


ようやく女子たちが来た時、ウェイバーは叫ぶ。

ついでに中庭周りに集まっていた男子共から『おお~~』などと喚声が挙がる。


「遅え!!」


「五月蠅いバカモノが!」


大声で叫んだウェイバーにカノンの一撃が決まり悶絶。

残る四人は総じて苦笑いを浮かべるしかなかった。


「お待たせして申し訳ありません、シグレ兄様、カディウス様、ウェイバー様。少しばかり準備に時間がかかってしまって……」


申し訳なさそうにぺこりと頭を下げるアニー。

アニーが纏うのはいつも着ているものより明らかに高位に見える巫女装束である。

白と薄青色を基調とし、黄色と金銀色を添え合わせたその騎士服はアニーの銀色の髪にも合っている。

また上から羽織った白の千早には太陽の紋が施されておりレスティア騎士を表している。


「いいのだよアニー、良き淑女は紳士を待たせるものだ。また良き紳士は文句の一つも漏らさず淑女を待つというもの。何処かのバカは紳士ではないみたいだがな」


落ち着いた様子でさり気なく足元に転がるウェイバーを蹴っているカノン。

こちらもウェイバーと同じく機動性重視な為か少々局部局部の露出が見られる服装だ。

何処かのゲーム内で見た英雄のもつような外套は黒を基にして鮮やかな若葉色と紫で彩られている。


「あの、シグレ。コレ…どうかな?」


恥ずかしそうにシグレに格好についての意見を求めるイグサ。

ウェイバーやカノンなどのスピードスタイルとは違った、トリックスター的なバトルスタイルのイグサの服装はまさしく忍び装束そのものだった。

鎖帷子のから上着をかけ両手には手甲、腰にはリボンが巻かれそれで野良袴を固定してるといった忍者スタイルだ。

黒をベースに赤、オレンジ、白を合わせた色彩になっている。


「ああ…よく似合ってるぞ。イグサらしくて良いんじゃないか?」


「あ、ありがとう…」


何も考えずに思った通りの事を言うとイグサが顔を少し赤らめながら明後日の方を向きながら礼だけ述べてくる。

それを見てムスッとした表情を浮かべたアニーは、


「兄様兄様! 私のはどうですか!」


シグレを見上げるようにして両手を握りしめ真剣に尋ねる。


「アニーもよく似合ってるぞ。何処からどう見ても立派な治癒騎士だ」


「エヘヘ……ありがとうございます!」


褒めてもらえたことが嬉しいらしくはにかみながら微笑んでいた。





その光景をじっと見つめるカノンに、悶絶して転がっていたために未だ中庭の芝生の上で寝転がったままのウェイバーが何気なく口に出す。


「………お前は行かないのか」


「―――私には、そんな事をしている暇はない。第一、お前には関係のないことだろう」


「へいへいそりゃ悪うございました」


淡々と返事をするウェイバーを無視しカノンもシグレたちに歩み寄る。

しかしながらウェイバーは依然として寝転がったままカノンについて思い描いていた。


「(前にアイツの養父(おやじ)さんが来た事を伝えてから……なんか様子がおかしいな)」


一見いつもと変わらなく見えるがやはりどこかおかしい。

そう思えるのはウェイバーがカノンとよくいがみ合ってるからだろうか。

ウェイバー自身、何故カノンの事が気になっているのかはよく分かっていない。


「アイツはただのライバル……つーか犬猿の仲っつーか……」


カノンが張り合ってこないと何故かはわからないが変な感じがして調子が狂う。

ウェイバーにはまだこの気持ちがなんなのかは理解できない。


「あー………考えるだけ無駄か!」


跳ね起きるように立ちあがりシグレたちに飛び込むように突っ込んでいく。

ウェイバーが自身の気持ちに気付いた時、また何かが変わるかもしれないのは本人を含めてまだ誰も知りえないことである。


――――――また、それらの一部始終を見ていた少年、カディウスはチラリと空を一瞥する。

この日、雲が全くない晴天である。


「青春、だねえ…」


自分でも爺くさい事を言っているな、などと思いながらもカディウスもまた、シグレたちの元に歩んでいくのだった。

「どうも皆さんお久しぶりです。『君と創る歴史』の主人公ことシグレです」


「一応(?)メインヒロインとされています、サンです」


「最近は作者がスランプだマンネリだとかなんとか言ってキミレキを更新せずに新しい方の小説ばっかり更新しやがって…」


「『銀龍伝』…だったか? 今現在切迫した展開らしいが…」


「そうらしいな。片方だけ更新しといて何がマンネリだスランプなんだか……」


「それは確かに否定できん事実だが…とりあえず一ヵ月以上放置されていたこの小説をまだ読んでくださってる方に御礼だけでも述べておこうと思っている」


「本当にありがとう。もしよろしければこの先も気長に読んでやってほしい…作者自身は更新を止めるつもりはないらしいからな」


「もし挫けそうになっていたら私たちが全力を以て書かせるので安心してほしい」


『それではまた次回で!』



※どうなるかは分かりませんが頑張ります。

服のセンスがないとか描写が下手とか言わないでっ

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