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君と創る歴史  作者: 秋月
第2章~悠久の時を超えて~
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第16項:風雷と氷水

閑静な里、たくさんの者が大きく円を描くかのように二人を囲んでいる。

その円の中央では二つの影が絶え間なく動き回り、金属が触れ合う高音が響き渡っている。

常人ならばその姿さえ捉える事のできない速さで動き回る二人は時折離れ、またすぐに近づき打ち合う。

その二人を見守るかのように佇むギャラリーは誰一人として言葉を発する事はなく、ただ全てを見逃さないように瞬き一つせずに見入っていた。

やがて、二つの影が一斉に飛び退き、一定の距離を保ちながら対峙する。


「さっきとは別人やないの? まさか私の動きについてくるやなんてなぁ」


カグヤがほぅっと感心するかのように息を吐き、手に握られていたクナイをクルクルと回す。


「別人もなにも正真正銘、俺は俺ですよ。だけど、今の俺は前のように甘くはないです」

「そか。やったら、もっと力見せてみなはれっ!!」


クルクル回していたクナイをギュッと握りなおし、再びもの凄い速さでカグヤはシグレの方に滑り込むように接近する。

シグレは滑り込んでくるカグヤに身動ぎせずに、予め構えていた月華を下から斬り上げる。

すると、月華の刃が纏っていた蒼い光が波のように広がり、シグレの目の前には大きな氷の壁が出来上がった。


「っ!!」


突然の巨大な壁の出現に一瞬目を見開くカグヤだが、すぐに目を細め手にあるクナイを氷の壁に向かって投げつける。

勢いあるクナイは氷の壁に突き刺さりはしたものの、貫くには厳しい厚さが氷の壁にはあった。

カグヤはその事を見通していたかのように壁に刺さったクナイを足場に大きく飛び上がる。


「まだまだ甘いでぇ、シグレ君!」


カグヤは宙を舞いながら何処からか取り出した数本の手裏剣を指に挟み込み、胸の前で腕を交差させ少し溜めを作ってからシグレに向かって思いきり投げつける。

風を切り、音を立てながら手裏剣は真っ直ぐにシグレに向かって自身の刃を向けながら飛んでゆく。

シグレはステップを踏み、真横に跳んで飛来する手裏剣の群れを避ける。


「ホンマにまだまだやでっ!」


そう言ってカグヤが両掌を胸の前で組むと、さきほど自分がいた場所に突き刺さるであろうと思っていたはずの手裏剣の群れが大きく弧を描き、シグレに向かって飛んでくる。


「ちっ!」


軽く舌打ちをして、シグレはステップによる回避を止めると月華で飛んでくる手裏剣を叩き落す。

力無く落ちた手裏剣は何の変哲もないただの手裏剣のように思われるが、シグレには何故手裏剣が方向を変えて向かってきたのかが分からなかった。


「おおっ! よう避けたな。と言っても、本来やったら更にそこからいろんな方向に曲げるんやけどな」


まだ、子ども扱いされているようだ。

試合と言ってもどちらかといえば指導に近いのかもしれない。本当の殺し合いをするならばそこで叩き落されるような事にはしないという意味だろう。

相変わらずの態度にシグレはやれやれと溜息をつく。

幸いな事に体力はまだまだ残っているし、属性の扱いが出来る事で攻撃にも防御にもバリエーションが大分増えた。

たった数日でできるようになった自分にもびっくりだが、教えてくれたサンにも感謝だ。


「やっぱシグレ君の属性は氷かぁ。ふふ、私ら相性いいんやね」


先程シグレが作り出した氷の壁に突き刺さるクナイの上に両足を揃え、忍者ならではのバランス感覚で悠然と立っているカグヤが不敵に笑う。


「……相性が良いのは俺でしょう? むしろカグヤさんは不利なんじゃないですか?」


シグレは属性因子の相性表を頭に思い浮かべ、カグヤのペースに巻き込まれないように冷静に喋る。

すると、俺が喋り終えた途端にギャラリーの中の一部が笑い始めた。

それは少女達のようにクスクスのような可愛らしい笑い声ではなく、明らかに馬鹿にしたような男達の笑い声だった。

男達の笑い声に隠れて、微かに女達の笑い声も入り混じってだが聞こえてくる。

ギャラリーの中は笑っている者達と、何で笑っている者達がいるのかがわからない者達で別れていた。

視線をカグヤに戻すとカグヤは少しだけ目を丸くしながら此方をしげしげと眺めていた。


「ああ、そっか」


ポンと拳を掌に乗せ、何かを思いついたかのように懐から紙と筆を取り出しサラサラと何かを書き出す。

やがて完成したのか、筆を懐にしまうと髪に向けていた視線を戻す。


「シグレ君は属性が全部で何個あるか知ってるはるか?」


シグレはあまりに簡単な質問に少しだけ拍子抜けした。

属性の数なんて子供でも知ってるんじゃないのだろうか。

だから俺はハッキリとその問いかけに答えた。


「五つ」

「残念。外れやわ〜」


ニコニコと笑いながら俺の答えをばっさりと否定した。


「そんなっ! この世界の属性は、炎、氷、風、樹、地の五つのはずじゃ!」


シグレの叫びを聞いてもカグヤは笑顔を崩さずにずっとニコニコしている。

やがてカグヤはクナイの上からスタッと地面に着地すると、スッと紙の裏面をシグレに向ける。


「この紙に属性因子の相性図の全体像を書いたねんけど、見たい?」


カグヤの言葉にシグレはどうしようか迷った。

おそらくカグヤの持つ紙に書かれた表の全体図とやらを見れば、先程のカグヤの相性がいいという言葉の意味も分かるだろう。

だが、それ以前に属性の有利さが消えてしまうのが恐かった。

属性こそがシグレがカグヤに対して持っている対抗手段の一つだったからだ。


「まぁ、ここに貼っとくから見たいんなら見なはれ」


そう言ってカグヤは壁に刺さったクナイを抜き、紙の上から再びクナイを壁に刺す。

それを終えると、振り返り際に腰の小さなポーチからクナイを四本ほど取り出す。


「相性がいいっていうのはホントやよ? 属性においても人としても」


カグヤがパチンと右目でウインクする。

その仕草は可愛いというよりも妖艶だった。大人の貫禄、そして余裕が見られる仕草。


「今度の攻撃はその刀で叩き落すなんてしたら大変な事になりはるで。さぁ、どうするんやろね?」


嬉しそうにカグヤは腕を交差させ、投擲のモーションをとる。

このゆっくりとした動作もまた彼女の余裕から来るものなのだろう。

何せアドバイスまでしているのだから。


「…防いで見せますよ…俺は勝つんですからね」


苦し紛れに苦笑するも、実際の所防げるかどうか分からなかった。

ただ、カグヤの言葉は全てが本当の事だったので今回も本当の事を言っているとだけ思った。

つまり、叩き落す行為は危険ということだ。


「ほんなら、行くで〜」


カグヤが片手だけにクナイを持ち、もう片方の手の人差し指と中指だけを立て、他の指を曲げたまま目を瞑る。

やがてゆっくりと目を開くと心なしか紫電が走ったかのようなクナイを持つ手を下から真上に突き上げるかのように振り上げる。

その投げ方は腕や手こそ真上に上がっていたものの、肝心のクナイだけはこっちに飛んできているから凄い。


「氷壁っ」


カグヤの投擲の技術には素直に凄いと思ってしまったが、クナイが氷の壁を貫けない事はさっきので実証済みだった。

だからこそシグレはカグヤのアドバイスを受け取り、真下から月華を斬り上げて氷の壁を発生させる。

先程と同じようにクナイは壁に突き刺さる―――が、そこで止まるはずだったクナイは氷の壁に亀裂を入れ、壁を貫いて勢いを殺さないままに飛んで来た。

シグレは驚愕するも慌てて横に跳ぶが、クナイはさっきの手裏剣のようにグーンと大きく弧を描いて曲がってきた。


「ぐぁっ!!」


シグレは咄嗟に反応しようとしたが、間一髪間に合わずに頬や腕をチッと斬られる。

幸いな事に刺さる事はなかったがクナイが切り裂いた場所は服がパックリと別れ、肌には一筋の線が入っている。

そして、何故かビリビリとした痺れのようなものを感じる。


「んー♪ 必死のシグレ君やっぱかわええなぁ〜。イグサが羨ましいわぁ」

「…今思ったらカグヤさん、里に着くまでの口調と違いますよね」


本当に苦し紛れな突込みをしておく。

実際、きついからである。


「ああ〜。あれは社交用なんよ。だってこんな口調やと和の人って分かってしまいはるし」

「そうすか……。あの、紙見ていいですか」


俺はプライドを投げ捨てる。今はくだらないプライドよりこの勝負をどう切り抜けるかが最優先だ。

シグレの言葉を待っていましたとばかりに、カグヤは嬉しそうにいいで、と返した。

シグレは少し痺れる体を動かし、氷の壁に刺さるクナイを引っこ抜いて紙を見た。


「っ!! 属性があと五つも…」


そこに描かれていたのは、二つの五角形だった。

一つは一番上に炎、その右下に氷、その下に風、その左側に樹、そしてその上に地と書かれた小さな五角形。

そしてもう一つは、炎の文字の外側に力、氷の文字の外側に水、風の文字の外側に雷、樹の文字の外側に華、地の文字の外側に金と書かれた小さな五角形を囲むように描かれた五角形だ。

それぞれ、炎は力、氷は水、風は雷、樹は華、地は金同士で繋がれている。


「これは……」

「やっぱ知らんかったねんな」


唖然とする俺にカグヤはポツリと呟く。

また、見ているギャラリー達は視力がいいのか、俺の後方に回って俺の手にある紙の中の表を見て唖然としている者達もいる。

イグサもその一人だった。

よくよく見てみれば、唖然としている者達の忍び装束は何も反応していない者達と違う。

ということは……。


「内側の五つの属性が地元属性、外側の五つが天元属性っていうねん。騎士の学校なら卒業前に教えてもらえるはずやわ」


知らなくて当然だった。


「天元属性は地元属性の派生ともいえるもの。基礎と違って応用にはそれ相応の実力がいるって事や。だからこの里でも実力が認められるまでは教えてもらわれへんねんで」


カグヤさんの丁寧な説明により、知っている者と知らない者がいる理由が分かった。

シグレは手元にある紙に目を向け、自分とカグヤの属性の部分を見ながら先程の戦いの内容を思い出す。

表には属性の他属性に対する強弱が載っていなかったので自分で考えるしかない。

そして、少ししてから苦虫を噛み潰したかのような嫌な顔をした。


「……もしかして、氷は雷に弱いんですか…?」


できればそうであって欲しくない。

その気持ちを表すように、シグレはポツリと小さくカグヤに訊く。

それに対してカグヤは微笑みながら頭を縦に振る。

……頭痛がしてきた。


「まぁまぁ…シグレ君、相性がいくら良くたってそれが全てってわけやないんやから」


嫌味ですか。

確かに属性が全てではないというのは分かるが、身体能力でおそらく負けている上に接近戦もどっこいどっこいの俺にはカグヤさんの言葉は気休めにしかならなかった。

絶望と言えば大袈裟かもしれないが、それぐらいきつい場所に立ちながらもシグレは再び剣を構えなおす。


「そうですよね、俺だってまだ勝ち目ありますよね」

「そうやで〜。諦めるのはまだ早いで」


そう言ってカグヤはクナイを片手にシグレに向かって突っ込む。

先程のカグヤの攻撃でシグレの体にはまだ少し痺れが残っていたが、問題はない。

カグヤが右回りに一回転し、遠心力を利用して横から薙ぐ一撃をシグレは上手く受け流し、地面に月華を突き刺す。

すると、鋭く尖った氷がカグヤの足元から何本も飛び出すが、カグヤは大きく飛び上がり紫電を纏わせたクナイを氷に向かって投げつけ砕く。

すかさずシグレは地面に月華を突き刺したまま、線を引くかのように地面を削りながらカグヤの方へ突っ込み、カグヤの真下で月華を再び突き刺す。

月華が突き刺されると同時に、刃先で削られた地面は凍りつき、そこから氷の鋭い棘が連鎖するかのようにカグヤのほうに向かって伸びる。


「よう考えとるやないの〜。宙に浮いてる身動きが取れない相手を数で狙い撃ち。私以外の人やったらこれで決まってたかも知れんわ」


目を細めたカグヤはすかさず宙で両掌を合わせる。

途端にカグヤの足が宙でトンと音を立て、次の瞬間にはカグヤは大きく跳び、シグレがいる場所とは反対方向に着地した。

シグレが発生させた氷の槍は虚しく空を突くだけに終わった。


「……風の系統って厄介ですよね…」

「そや。…とは言ってもさっきみたいな事は宙に浮いている間では連続で使えやしまへんし。それでも、十分機動力が確保できるんやで〜」

「なら、機動力を奪えばいいんですよね…」

「何を……って寒っ!」


カグヤはバッと手で腕を押さえる。先程まではそうでもなかった周りの気温が寒いと感じるまでに下がっていた。

カグヤが鳥肌をたてながら辺りを見渡すと、さっきシグレが地面につけた削り跡から徐々に地面が凍り始めている事に気づく。


「なるほどな…自分のフィールド作るっちゅうことかいな。地面全部凍らされたら宙にいないと動かれへんな…邪魔させてな?」

「断固阻止しますっ」


カグヤが放つ紫電のクナイをシグレは何十にも重ねた氷の壁で防ぐ。

最初のほうは砕かれるも、少しずつ勢いが収まっていくので何とか防ぐことはできるが数が多いと、この方法も役に立たない。

そうなる前にシグレはカグヤの元へ氷の上を走って、文字通り滑るように急接近する。

カグヤは両手にクナイを持ち、対抗する。

そこからはまた影だけの打ち合いが始まった。金属の音と、氷が地面を侵食するパキパキという音だけが響く。

シグレが一薙ぎするとカグヤは片手のクナイでそれを受け止め、もう片方のクナイで素早く斬りつける。

それをシグレは上半身だけの動きで避けると、切っ先を地面に微かに触れさせて氷の槍をカグヤに向けて放つ。

カグヤはすかさずクナイに紫電を宿し、氷の槍を砕く。

この間僅か二秒というもの凄く早い打ち合いを繰り広げる。

やがて、地面を侵食していた氷がカグヤの足元まで広がってくるとカグヤは大きく後ろに飛び退く。

いつのまにか広場の殆どは氷で埋め尽くされ、今にも周りの木などを凍てつかせる勢いだ。


「すっかり埋め尽くされてしもたなぁ…。厄介やわぁ…」

「これで、この広場は俺のフィールド。さ、どうするんですか」


氷の上でなら自分の氷の属性を限界以上に使うことが出来る。

そう思った矢先にカグヤが今までとは、明らかに雰囲気が違う武器を取り出した。

イグサの武器と同じような―――怪しく鈍く光る忍者刀だ。


「”東麒麟(あずまきりん)”。これが私の相棒や。常に風を浴びる場所で採掘され、雷を宿すとされるディメシア鉱って鉱石で作られてるんや」


カグヤが刀身を抜くと、目でもわかるほどハッキリとした紫色の電気がバチバチと爆ぜている。

まさしく、雷を宿した剣といえるべきものだ。


「これでシグレ君の刀と打ち合えば、間違いなく勝つのは私や。さぁ、シグレ君こそどうするんや?」


カグヤの目がキラリと妖しく光る。

ニコニコ笑いながらも、シグレを見詰めるその瞳はまさしく獣のそれだった。

今度こそ負けると思ってしまう。多分、いや確実にあれと打ち合えば今度は痺れる程度じゃすまないだろう。

シグレはカグヤに向けていた目を少しだけ逸らし、木の上で白い息を一定の間隔で吐いているイグサを見やる。

不安であるも、どこか期待と信頼を抱いたイグサの目はカグヤとは違う輝きだ。

俺はそれを見ると再び、サンとの誓いとイグサの事を思い浮かべる。

そうしたら、俺はカグヤさんの質問に対する答えを弾き出していた。


「……それでもやるんやね」


俺は自然に半身だけを前にし、片手で月華を握り締めて対峙していた。

俺のその様子を見てカグヤさんも忍者独特の握り方で忍者刀を握り締める。

その瞬間、一時の静寂が訪れた―――。

一陣の軟らかな風が吹き、木の葉がサラサラと揺れる。

ギャラリーもその嵐の前の静けさに思わず固唾を呑む。それはカグヤ以上の実力者であるカムイやサクヤも例外ではなく目を思いきり開き、これから起こる事を一瞬たりとて見逃さない体勢だ。

ふと、イグサが座っていた木の枝の端がイグサの手の重さでポキリと折れる。

その枝が重力に逆らわずに木の真下へ落ちた時―――二人は動いた。


「勝負やで、シグレ君っ!!」


カグヤの右手に握られた忍者刀の東麒麟が更に激しく音を立て一層強く光が増す。

シグレの右手に握られている月華は音こそしないものの、青の波動がより大きく黒と黄色の刀身を包み込み、所々に青ではなく水色の波動が入り混じった混色の波動がユラユラと揺れる。

二つの刃は風を切り裂き、その身を相手に打ち付ける。

打ち付けあった瞬間に波動が入り混じり、何ともいえぬ色の波動が辺りを包み込む。

ランプのように点滅する光は二人を包み、辺りの地面の氷がバキバキと盛り上がりそして砕けてゆく。

互いに一歩も引かない、打ち付けられた刃は一寸たりとも動きはしなかった。

その場所だけが、その里の中だけ時が止まってしまったかのように何も動きはしなかった。

唯一つ、シグレの持つ月華が纏う波動だけが急な変化を告げている。

その変化に思わず、カグヤ、カムイ、サクヤの三人だけが目を見張る。


(そなアホな……氷の属性が途中で水に変わるやなんて……)


月華は徐々に纏う波動の色を青から水色の変えてゆき、最後には全てが空の色に染まった。

カグヤの顔が少しだけ悔しさで歪む。


(これで属性の相性がひっくり返ってしもた…。今更属性なんて変えれやしまへん…)


カグヤは諦めかけても力を抜かず、雷の属性で全力を出す。

しかし、カグヤの力は今までと変わらないはずだが、少しずつ時が動き出し、力の均衡が崩れ始める。

カグヤの東麒麟が纏う紫電が徐々にシグレの月華の水色の波動に巻き込まれていく。


「うおおおおおぉぉぉおおお!!!」


シグレの最後の叫び声が放たれた時、カグヤの東麒麟は紫電を全て奪われ、大きく力も無くとんでいき、地面の氷に深々と突き刺さる。

次の瞬間、シグレは武器を失ったカグヤを押し倒し、カグヤに馬乗りになって首元に月華の切っ先を突きつける。


「俺の勝ちです」


ハァハァと息を切らしながら、シグレは横になっているカグヤに呟いた。

「次こそは次こそはこの俺様の出番が…」

「うるさいっ(ゲシッ)」

「あわわ…サン姉様、死んじゃいますよ〜」

「サン…私もやってもいいだろうか?」

「ああ、出来れば手伝って欲しい(真面目顔)」

「分かった」

「ぎゃああああああああ!!」

「出られないからってこんなトコで鬱憤晴らさないでよ…」

上からウェイバー、サン、アニー、カノン、サン、カノン、ウェイバー、カディウスの順でした。



キミレキ豆知識:アニーの錫杖の見本は、犬の獣人が現代の女子高生と旅する物語のある法師様のもの。

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