謎の少女
時間がかかりすみません
プロローグ3 「 お前は・・誰だ・・? 」
「おーい、カズ?大丈夫か?」
とうやは心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいた。
「・・・え、あ、ああ。大丈夫だ」
俺は反射的にそう答えた。
「いやー驚いたよ。突然真顔になって黙り込んだんだ。・・どうかしたのか?」
再び心配そうな顔だ。
「いや、ちょっと考え事しててな・・」
「もしかして・・女か?」
「そんなわけない」お前じゃあるまいし。
「まあ、いいや。何かあったら何でも相談しろよ」
そういって、自分の席に戻っていった。
「おう」
俺は平静を装い話していたが、実際はかなり混乱していた。
今俺は、いつもどうり教室にいる。
ゾンビもいないしクラスメートもとうやも、そして俺も生きてる。
・・・いったい、何がどうなってるんだ・・?
何一つ変わりない、学校生活。
さっきまでのことが本当なのかすら、怪しんでしまうほどに。
ん?さっき・・さっき・・?俺は時計を見た。
「あー、なるほどね」
俺は一つの答えに行き着いた。
つまり、時間が巻き戻ったのだ。四時間目から、朝の時間に戻ったのだろう。
突拍子もないことだが、それが一番納得できる。
しかし、ここで、3つの疑問が浮かんだ。だれが、どうして、どうやって行ったのか、だ。俺はし ばらく考えて結論を出した。
「・・・・・・・・・・・わからん・・・・・・・・」
さすがに、これ以上は情報が足りないだろう。
ならば、集めるしかないな。こんな面白いこと、首を突っ込まずにいられるか。
よし、さっそく行動だ。
席をたち、とうやの席に行った。
「とうや、ちょっと、授業さぼらないか?」
「ん?どうしたカズ。優等生のお前がそんなこと言うなんて。明日は雪・・いや、槍だな。ま、別にいいんだけど」
さすが非優等生。
「で、どこ行くの?」
「スーパーいってから、俺の家でゲームしようと思ってる」
「カズの家か・・久しぶりだな」
俺たちは学校からでて、スーパーにむかった。俺が主に買ったのは保存のきく缶詰だ。
とうやはそれを変な顔で眺めていたが、こいつは馬鹿だからな。簡単にごまかせる。
時間が巻き戻っただけならば、ゾンビは再び現れる。もし、そうなったとしても、備えがあれば大丈夫だろう。
俺ととうまは、俺の家に入った。
俺の家はごく普通の一軒家だ。親はここにはいないので、特に問題はない。
俺は荷物をリビングにおくと、まずは時計を確認した。いまの時刻は10時半。
たしか、ゾンビの出現は4時間目のはじめだったから・・ということは、ゾンビの出現はあと1時間後くらいか。
暇だな・・。よし、チェスでもやるか・・が、とうやはもともと弱く、全勝できた。
やはり勝利は最高の美酒である。非常に気分がいい。
それは、突然の出来事だった。
俺がよそうしていたよりも30分もはやく、ゾンビはやって来た。
「おいカズ、なんか、そとやべーぞ」
外は俺が想像していたよりもとてもひどかった。
ゾンビは波のようにやってきていて、人々は車を出したり、走ったりしてゾンビから逃げている。
捕まった人は数体のゾンビに囲まれながら食われている。
俺はこれを見て、心の底から思った。
「馬鹿だな、こいつら」と。
だってそうじゃないか。ゾンビは動いたものを追いかける。なのに、なぜわざわざ逃げるのだ。
俺たちのように家にこもって静かにしていれば、ゾンビには襲われない。
それすらわからずに逃げるとは・・あきれて言葉が出ない。
ふと横を見ると、別の意味で言葉が出なくなっている人もいた。
「とうや、大丈夫か?」
「あ、ああ。悪い・・ぼーっとしてた」
さすがだ。こんな状況でもすぐに適応している。とうやの目に、恐怖の色はなかった。目の前の馬鹿共とは違うな。
「カズ、いま俺は何をしたらいい?」
「いや、今は何もしなくていいぞ」
「そうか、わかった」
物分かりがよくて助かる。
ゾンビの波が過ぎてから、俺たちは行動を開始した。まあ、行動といっても、全部家のなかでやることだが。
「とうや、風呂をあらって水を張ってくれ」
「??・・・おう、わかった。」
俺はその間に、家の水道をフル稼働して、からの容器やペットボトルにみずを入れていった。
ライフラインの中で一番失ったら困るものは水なので、一番最初に確保しておきたかったからだ。
「カズー、終わったぞー」
「ありがとう、早かったな」
「・・なあ、なんで風呂?」
「水はなくなったらこまるだろ?」
「・・・なるほどー」
これはわかっていないときのなるほどだ。
「ライフラインはいつかはなくなるだろ?だからなくなる前にできるだけためとこうってわけ」
「あ、なるほどー!」
これはわかっているときのなるほどだ。
「よし、じゃあ次は食料の仕分けを・・・」
「なあ、ちょっと見てくれよ」
とうやは俺の言葉をさえぎって言った。
「あれは・・まさか・・人?」
「だよな、どうみても」
とうやが見ろといった場所には確かに、人らしき人物がいた。
しかし、おかしい。
波は過ぎていたが、ゾンビはそれでもまだまだいる。
なのに、その人物の周りには、ゾンビがいない。
いや違う、いるにはいるが、反応していなのだ。だが、その歩き方はまっすぐで、とてもゾンビには見えない。・・・どういうことだ?
「なあ、カズ、あいつ、何か持ってないか?」
「たしかに、なにかもって・・・もしかして・・」
大きななにかをそいつが持っているのを見て、俺は一つの仮説に行き着いた。
俺ととうやを殺した、大鎌を持った少女なのではないか、ということだ。
「・・・あいつ、こっちに来てる・・よな・・?」
「っっ!!!・・・・あ、ああ・・」
もし、あの少女だった場合、こっちに来ていることはまずい。まず間違いなく・・殺される・・。
ならばどうする。考えろ。
まず、あいつと戦った場合についてだ。
これについては、勝算が皆無、というわけではないだろう。
あの時は不意を突かれたが、注意を向けていれば・・負けないかもしれない。
もちろん、首を一撃で飛ばせるような化け物に力で勝てるとは思わない。
だが、ケンカは力だけじゃない。スピード、動体視力、踏んできた場数・・・そういったもろもろを含めれば、俺たちに軍配があがる可能性も十分にある。
次に、逃げた時どうなるか。
俺たちは体力もあるし、足もそこそこ速い。彼女からは逃げられるだろう。
だが、外にはゾンビもいる。
それに、仮にゾンビからも少女からも逃げられたとしても、拠点を失うのはでかい。
もし少女がこれからも俺たちをおそい続けるのであれば・・一生逃げ・・・・ん??
そこまで考えて、俺は一つの疑問を抱いた。
少女が俺たちを狙っているとしたら、どうやって追ってきている?どうやって俺たちををみつけている?
思考結果・・・特殊な能力をもっている、または人ではない、などしかないだろう。
俺たちをねらっているとしたら、という但し書きがつくがな。
まあ、いづれにせよ、逃げるという選択肢はない。ならば、もう、戦うしかない。
「おい、カズ!!!あいつ頭おかしいぞ!!でっけー鎌もっていやがる・・!」
案の定、あの少女だった。
「よし、とうや、迎え撃つぞ」
「は? いやいや、それはない。あいつはどう見てもやばい奴だが、それでも女子に手は挙げない。それが俺の流儀だ」
あー、そういやこういうやつだったわーー・・・。
こういう紳士だからこそ、もてるんだよなー、いいなー・・。
「でも、もしかしたら、あいつは襲ってくるかもしれないんだぞ?この際、それは無視してでも
・・・」
「いや、絶対にやらない。どうしてもやるのなら自分ひとりでやれ」
「・・・へいへい。わかりましたよ」
俺が危なくなったら多分助けてくれるとは思うし、まあ、いい
俺は窓からあいつを見た。
距離は・・10メートルといったところか。まだ、少し時間はあるな。
俺は戸棚から喧嘩で使ってた金属バットとナイフを取り出した。ナイフは左手に逆手もちで装備、バットは右手に装備した。これが俺の標準装備だ。不良を何百人も倒してきた、俺の自慢の装備だ。
俺は玄関から一番近い部屋の扉の後ろに隠れた。奇襲をしかけるために。
俺は緊張の張りつめた静寂の中、感覚を研ぎ澄ます。
あいつの足音が聞こえる。音的にはスニーカー、だろうか。
あいつの、鎌を振り回す音が聞こえる。空気が切れる音がする。空気が冷たく感じるそして次に・・
家の壁が崩れる音がした
「はああああああああ!!!???」
誰が予想できるだろうか、家の壁を壊せる奴がいると。その人物が少女だと。
「やばい、こいつはやばい・・・!!」
少女は舞い上がる粉塵の中、俺に対峙した。俺は恐怖と驚きの中、口を開いた。
「なあ、おしえてくれよ。 お前は・・誰だ・・?」
「・・・それをお前に教える義理はない。まあ、あんたと同じように神様にあったことがある人間だと言っておくよ」
それは、とても澄んだ声だった。あんな怪力を持ってるとは思えないほどに。
神様・・・?こいつはいったい何をいってるんだ?そんなもの、いるわけがないだろう。
「なぜ、俺たちを狙っているんだ?」
「この悪夢の根源が、お前だからだ」
悪夢・・・とは、ゾンビが跳梁跋扈していることだと考えられる。だが、その根源が・・・おれ?
さっきからこいつは何をおかしなことを言っているんだ。
いや、今はなにをすべきか考えるべきだ。
まず、逃げ切れるかどうか。
・・・無理だな。スピードで勝ててもゾンビと少女の両方から逃げ切れる自信が、俺にはない。
なら、勝てるかどうか。
無理だな。人間を超越している相手に勝てる気はしない。
・・・・・・もしかして、これ、詰んでいるのでは?
いや、まだだ。あきらめるにはまだ早い。
ならば、あがいて見せよう。こんな絶望的な場面、今まで にもあった。そのたびに乗り越えたじゃないか。俺ならやれる。やって見せる。
「お前はさっき、俺を神にあったことがある人間といった。しかし、俺はそんな覚えない。人違いじゃないのか?」
「いいや、間違いない。お前を殺すために、わたしと、私の仲間はいるんだ・・」
少女は鎌を振り上げた。おびただしい殺気をもって・・・。
「じゃあね、私たちの、元、英雄さん」
・・・ここまでか。
鎌は振り落とされた。視点がぐるぐると回っているので、おそらく俺は、(正確には俺の首)は飛んでいるのだろうな。
階段にとうやがいる。逃げろ、と言いたいが、口が動かない。
首のない俺の体を見て、愕然としている。
・・・いやだ・・死にたくない・・・。面白い世界で、俺はまだ何もしていない・・。
無念を持ちながら、俺は死んだ。
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「聞こえるかい?」
あ・・ん・・・・?
目の前には11歳くらいのショタがいた。しかもカラコンまでつけている。この年からD Q Nか・・。
「聞こえてるー?」
「聞こえてるよ」
「あ、よかったー」
なんなんだ、こいつ・・?
「もー、覚えてないの?」
「悪いが、さっきから何を言っているのかさっぱりわからん」
「あ、そういえば忘れさせていたね。すっかり忘れていたよー」
てへ、と舌を出す少年をかわいいと思ってしまった自分を殴りたい。
「で、何なのこの状況」
周りには何があるかわからない、記憶もなんだかあいまいだ。例えばそう、夢を見ているような感覚だな。
「ん?ああ、そうだね。確かに夢に近い感じだよ」
っっ!!こいつ、心を・・?
「そうだよ・・・ってこれめんどおー!!・・・もー、過去の君も面倒なこと言うなーもーー・・」
「過去?何言ってんの?ちょい説明してよ」
「とりあえず、生き返ったら君の家の2つ左の家に行ってね。いじょおー」
「いや、説明を」
「じゃあねー」
そいつの言葉は、ぷつりと途絶えた。
これからは一週間に一回投稿します