第八話
「ナンバーズ?。あの西京大学でのランキングのことかよ。」
虎之助は、本気かよという顔で、マジマジと一郎の顔を覗き込んだ。
ナンバーズへの参加。
それは、学内封印師の実力のランキングのことであり、今の自分の封印師としての実力を測る機会のことである。
西京大学封印学部は、英語、数学、国語などといった教養講座1回生で学び、2回生から、封印術基礎理論、封印術基礎実践学、魔術基礎理論、魔術基礎実践学など10講座ぐらいを取る必要がある。
そして、3回生からは、専門知識の獲得と、実際の魔物との対戦形式による実習が行われ、本格的に封印師になるための訓練を受けれるようになる。
つまり、1回生の時は、圧倒的に実践の機会は少ない。
西京大学に入門するときから、既に魔物と戦った経験のある者、己の才能に自身の有る者、将来、魔人狩りを生業にしたい者とっては、これほど退屈で、無駄な学生の時はない。
さらに、西京大学の教員たちも、その無駄の時をわかっているが、なにしろ西京大学は、国立の機関である。
国の文部科学省が、決めたカリキュラムを無視または、飛ばして封印師のことだけを教えるわけにもいかない。
そこで、特にやる気のある、また、見込のある生徒には、特別課外授業、ナンバーズへの参加を進めるのだ。
やはり、あの時、自分の能力を解放させたのは、まずかったか。
大学への潜入捜査なのだから、もう少し能力を隠しておきたかったのだが。
しかし、もし隠していたら、俺は、この大学に入学すらできなかっただろう。
そんなことを一郎が、考えていると、
今度は、「へえー、君、ナンバーズへ参加するんだ。」と後ろに座って、先気から一郎と虎之助の会話を聞いていた女性が声を掛けてきた。