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第四話

三条朋美は、千年魔女の関する情報をインターネットで、検索し、さらにメールをチエックしながら情報を集めて、プリンターで印刷を行う。


印刷量は、数十枚に及び、広い机の上はもちろん、床の上まで、クリップ止めされた資料が置かれている。


これでも、朋美にとっては、有力な情報のみを印刷したつもりであった。


千年魔女の性格、能力、身体的特徴、生存年月日など、科学的根拠のある情報のみを抽出。


何々、千年魔女は、非常に研究熱心で、自分の体まで、魔方陣を埋め込み魔力の増大を試みた、ふーん、まだ、魔力操作するためのスーツが開発されていなかった時代では、魔方陣で、魔力をコントロールするしかなかったのね。


次に、千年魔女は、不老不死の薬を研究し、吸血鬼の血を使用し、実験を繰り返した、まあ、あり得る話ね。


吸血鬼には、古来から、不老細菌と共生し、自らの細胞を構成させているし、冬眠することで、何百年も、生存できる。


これも、有力な資料に分類。


朝の5時から、こんな調子で、分類していく。


整理整頓が好きで、無駄なものは、省く朋美の性格を考えると、千年魔女の資料を整理していくのは、決して嫌いではないが、流石に、1週間こんなことが続くと飽きてきた。


気晴らしに、既にぬるくなったコーヒーをゆっくりと口にする。


軍人らしくないロングヘアを手で、いじりながら、目の前に置かれている小さな手鏡を見つめた。


口元と多少目元を化粧しただけの顔であったが、つりあがった目、口元の小さな黒子があるかなりの美人である。


さらに、体は、長身、服は、黒いスーツ、パンツで、まるで、仕事のできるエリートOLといった感じであり、雰囲気からは、傭兵のむさ苦しさよりも、育ちのいい上品さがにじみでていた。


傭兵といわなかったら、モデルや、俳優として、スカウトされても不思議ではなかっただろう。


そして、朋美は、実際、傭兵といっても、仕事の面の交渉、金の会計を専門としていた。


傭兵である限り、仕事を自ら探し、政府や、軍隊から仕事をもらってこなければならない。


政府の高官と話し合ったり、民間のエリート集団と傭兵の仕事と仕事の条件について交渉する必要があるのだ。


今日の予定は、朝の10時から、日本政府の警視総監と会食、次に、武器販売機関サンビと値段交渉。


今回は、千年魔女なんだから、しっかりと報酬をもらわないと。


朋美は、頭の中で、めまぐるしく報酬の条件面をどう進めていくか考えていると、シャワー室の方から、派手なシャワー音と鼻歌を歌う声が聞こえてきた。


そして、予想通り、バスタオルで、髪の毛を拭きながら、全裸のポニーテイルの女性が、のんびりとスポーツドリンクを飲みながら朋美をの部屋をノックもせず、入ってきた。


「朝からシャワーは、最高だわ。」


上品さのかけらもない言葉使いで声を朋美にかけた。


朋美と違い、体には、無数の傷があり、さらに女性らしい肉体ではあるものの、バネのような筋肉が引き締まっている。


筋トレや、スポーツジムで鍛えたようなスポーツ選手の肉体とは、異なり、普通の訓練では、得ることのできないような野生の臭いがするような肉体であった。


そして、顔つきは、朋美と同様かなりの美人だが、目が鋭く、獲物を追いかける肉食動物のようである。


朋美と違い、育ちの悪さがにじみ出ており、女性の傭兵といえば、万人の人が納得するだろう。


「朋美も、気晴らしにシャワーどう?。朝から、あの魔女のこと調べているんだろ。」


「そうね。後、1時間ぐらい調べたら私もシャワーもらうわ。それより、茜、ノックをしないのは、ともかく下着ぐらい控室で、来てから私の部屋に入ったらどうなの。一郎が、いないからと言って、少しは身だしなみを気を付けた方がいいわ。」


「何いっているんだ。私と朋美の仲だろ。今更服装や、態度に気を使う必要なんてないだろが。そんなことより、あのくそたれの魔女のことを教えろよ。」


そう言いながら、机の上に置かれている千年魔女の資料を手に取り、全裸のまま、資料を読み始めた。


これだから傭兵出身はもう、朋美は心の中で思いながら、千年魔女のことを話し始めた。


「グリード=ブラッド、通称千年魔女、性格は、まあ、資料を読む限り、頭が良すぎる、そして、異常なまでも魔力研究に執念を燃やしている。己の研究のためには、人を魔人化、魔物を暴走させても、構わない。

実際、文献によると、人を魔人化させて、町一つを消してしまったそうよ。次に・・・」


「ちょっと待った。」


茜は、そういうと、一枚の資料を朋美に見せた。


茜は、そういうと、めくっていた分厚い紙の束をふと手を止めて、一枚の資料を朋美に見せた。


「話を変えるようだが、なんだよ。これ。」


茜が、差出した資料には、実践魔法の論文であった。


「ああその論文ね。精神は、オブジェクトに置き換えることが出来、精神エネルギーは、オブジェクトを消費することにより、生まれる。そんな論文だったと思うわ。精神は、目に見えない単なるエネルギーの塊が、主流だから、異端の論文ね。」


「論文の中身は、どうでもいいんだ。」


茜は、いらいらしたように言った。


「私が、気になっているのは、この論文の著者だよ。片桐勇作のこと。たしかこの男は、闇の技術で、魂融合の手術を行い、魔人を作っていると噂されている。そして、こいつの魔法理論は、今の理論の10年先を行っているのではないかと一部の学者には、言われている。論文自体、国立機関が、厳重に保管している。それがどうして、ここにあるんだ。」


流石に、茜は、もと傭兵だけあって、観察力、直観力に大したものである。


ちょっと資料に目を通しただけで、朋美が、読んでいる資料の危険性に気付く。


「今回、千年魔女の探索で、私たちの任務は、魔女の生まれ変わりを見つけること。戦闘、及び、奴の研究には一切触れないことのはず。どうして、朋美、あんたが、あの魔女近い理論を持つ片桐勇作の資料を大量に持ち、日夜、その資料を読む必要があるんだ?。もし今回の任務が、探索以上なら、私は、降りるぜ。」


茜は、いつもより鋭い表情をして、朋美を見る。


「わかっているわ。これでも、一応、私も、もと傭兵。命を懸けるような危険な橋は渡らないわ。この資料も、私の好奇心で、国の上層部に貸してもらっただけよ。気にしなくていいわ。それに、相手のことは、出来るだけ、知っておいて損はないと思うし。あなたも、傭兵なら相手のことを十分研究しなければならないことは、分かっているでしょ。」


「まあ、情報収集は、基本中の基本だからな。しかし、気をつけなよ。あまりにも、深い所まで、知りすぎて、抹殺される場合もあるんだから。」


そう、茜はいうと、もうこの話題には、興味がなくなった感じで、服を取りに、朋美の部屋を出て行った。

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