狼とかぐや姫
思い付きです。
楽しめていただけたなら、コメント欲しいです。
俺には好きな女が居る。
同期入社で仕事の出来る格好いい女。
俺の方が出世しているのは俺が男だからじゃないかと思っている。
「また大神には負けた。………次は負けないから!報償金出たなら奢って!」
顔が怖い!口数が少ない!すぐ怒ると同じ部署の奴等から怖がれている俺にそんなことを言えるのは彼女、月島神紅弥だけだと言える。
俺、大神香太郎はそんな彼女にかなり前から片思い中だ。
今年こそ告白する!
って今年の目標もはたされないまま今や12月。
これじゃ駄目だ。
俺は一代決心して豪快クルーズのクリスマスチケットを買った。
二泊三日の船旅。
入社当時、彼女が彼氏が出来たら乗ってみたいと言っていたのを未だに覚えているのはサムイ気もするがほっといて欲しい。
うちの会社は冬休みが長い。
小学生と同じようにクリスマスイブで冬休みに入る。
だから、夜10時発のクリスマスクルーズは仕事終わりで準備して間に合うものだ。
まあ、クリスマスイブまでに終わらせないといけない仕事が山のようにあるから必死で終わらせないといけないわけだが………。
クリスマスイブに告白する。
俺はそう決めて仕事にはげむのだった。
私には好きな人が居る。
同期入社で仕事の出来る格好いい人。
顔が格好良くて、仕事が出来ると女子から人気の課長。
大神香太郎。
私は彼に幻滅されたくなくて必死で仕事をしている。
「報償金出たなら、奢って!」
私の理不尽な言葉に呆れた顔をして、どこが良いか聞いてくれる優しい男。
「………で、ここにでっかいケーキを飾るんだけどね。私の後輩が紹介してくれたパティシエの大神龍二って人に頼んだんた!その大神龍二がイケメンでね!王子様って言いたくなる………大神?聞いてる?」
「お前…………」
「大神と大神で変な感じになっちゃったね?」
私が笑うと大神も笑ってくれたのだった。
月島が言っていた大神龍二は俺の弟だった。
しかも、今俺は龍二の家に居候中だ。
なぜ居候しているかと聞かれれば、俺のマンションの下の階の奴がボヤ騒ぎをおこし消防のせいで部屋が水浸しでリホーム中だからだ。
「香ちゃん!クリスマスは俺んち来んなよ!約束だからな!」
龍二は俺の事を香ちゃん(かおりちゃん)と呼ぶ龍二の他にもう一人弟が居るが、そいつも俺を香ちゃんと呼ぶ。
「解ってる。」
俺のマンションのリホームはクリスマスまでかからないと聞いているからそう答えた。
その時だった。
龍二の携帯に着信がきた。
「もしもし?………大丈夫ですよ!ずきんちゃん。」
ずきんちゃん?
口の悪い弟が丁寧な言葉を選んで話している相手。
彼女が出来たようだ。
「………では、プレゼントを楽しみにしていてくださいね。月ちゃん。」
最後の言葉に息が詰まった。
月ってまさか、月島じゃないだろうな?
月の付く名前って他にあるのか?
月島は龍二と知り合いになったって言っていた。
月島は龍二をイケメンで、王子様のようだと言っていた。
まさか、龍二と………
嫌な想像が頭を支配した。
「龍二………」
「どうした?香ちゃん?」
聞かなければならない。
口を開いたが声が出てこない。
その時今度は俺の携帯が鳴った。
出ると大家で、リホームが終わったと言う電話だった。
「………リホーム終わった。」
「良かったじゃん!何時帰っんの?今?明日?」
龍二の顔がまともに見れない。
「今。」
俺は聞けなかった。
クリスマスイブの仕事終わり。
スーツのうちポケットに入っているクリスマスクルーズのチケットが重りのように重い気がする。
龍二と月島の事を考えると吐きそうだった。
フラれたらこのチケットどうすれば良い?
一人でクルーズ旅行。
「泣く。」
思わず呟いていた。
「大神?大丈夫?」
月島に声をかけられて飛び上がりそうなほど驚いた。
心配そうに俺の顔をのぞく月島に思った。
幸せになってほしい。
俺はうちポケットからチケットを出すと、彼女に手渡した。
「メリークリスマス。」
チケットを龍二と二人で使えば良い。
月島が喜べばそれで良い。
「………へ?これ………」
「誰か誘って行ってこい。」
「………大神がだれかといく予定だったんじゃないの?」
「いや、勇気も無いしな。お前が使え。」
俺は取り合えず笑って見せた。
「………これ、今日じゃん………」
彼女は困り顔を作った。
「………これをくれるってことは、大神はクリスマス一人ってこと?」
「まあ、そうだな。」
月島はチケットを一枚俺に突き付けた。
「なら、一緒に行こう。今からじゃ誰も捕まらないから一緒に行こう。」
「お前!彼氏は?」
「喧嘩売ってる?居ないから!彼氏居たことないから。」
勘違い。
龍二とは付き合ってない。
「………無理だ。」
「仲間だし、友達じゃん!」
「無理なんだ。友達としては無理だ。」
彼女は意味を理解出来ていない。
「お前と二人で旅行とか、無理だ。………絶対襲う。」
彼女はキョトンとして、真っ赤になった。
「な、なななななな、何言って、言ってんの?」
「月島が好きなんだ。」
俺は彼女を見つめた。
「………まって、今、頭………まって!」
耳まで赤く染まった月島は潤んだ瞳で俺を見上げた。
「ごめん。」
俺はそう呟くと彼女の唇を奪った。
我慢出来なかった。
月島のそんな顔初めて見た。
理性がこと切れた。
唇をはなすと、彼女は混乱したように口をパクパクさせていた。
「俺がこのチケットを受け取ったら月島は俺の彼女になるって事なんだけど………俺と一緒に行くか?」
彼女はチケットを握り締めて悩んでいる。
「月島………神紅弥………」
「大神、あの」
「香太郎って呼んでくれ。」
彼女は真っ赤な顔で驚いた。
「………あの、こ、こ、こ、香太郎。わ、わわわわわ。」
彼女は深く深呼吸をした。
「私を香太郎の彼女にしてくだしゃい。」
「かんだ。」
「そこは、スルーしてよ。」
俺は彼女を抱き締めた。
「神紅弥。」
「み、耳元で言わないで。」
「ちなみに神紅弥がイケメン王子様だと言っていた大神龍二は俺の弟だ。」
「えっ?」
「俺は弟と違ってイケメン王子ではないが良いか?」
月島は少し黙ると言った。
「私は香太郎の方がイケメン王子だと………思ってる。」
俺は月島に深く深くキスをした。
俺の腕の中で小さくもがく月島が可愛い。
口をはなすと月島は少し怒ったように言った。
「も、もう~!」
そんな可愛い顔されるとたまらない。
彼女にもう一度キスしようとしたその時、彼女が思い出したように言った。
「そうだ!香太郎が大神龍二のお兄さんなら聞きたいことがあるの?」
「なぜ今龍二の話?」
少なからずムカついた。
「私の大学の時の後輩の明石月ちゃんが弟さんの彼女なんだけど、相談されててね。」
明石月。
月ちゃんってその子か!
安心してため息がもれた。
「かおりちゃんって人知ってる?電話で親しそうにしてたらしくて、彼女心配してるの。」
「………俺。」
「へ?」
「それ、俺の事だ。香太郎の香の字から、俺をかおりちゃんって呼ぶんだ。弟二人とも。」
月島は驚いた顔のあと笑った。
可笑しそうにクスクス笑う姿はさらに可愛い。
今夜は手加減できそうにない。
「直ぐに教えてあげなきゃ!」
「そうだな。それもだが、月島は旅行の準備もしないとだ。」
「こら!私が頑張って名前で呼んでるんだから香ちゃんも頑張って!」
「香ちゃんって言うな!いくらでも呼んでやるし、呼ばせてやる。」
「?」
「クリスマスプレゼントにもらうから。」
「なんだか嫌な予感がする。」
「そうだな。」
「そこは否定してよ。」
俺はそんな月島に笑顔を向けるのだった。
年明け、月島の後輩の龍二の彼女と月島が新年の挨拶に来た。
失礼にもうちの両親は彼女達にうちの息子は顔しか取り柄がないけど宜しくと土下座していた。
悲しくなるからやめてほしい。
彼女達もかなり困っていたからやめてほしい。
「月島さんが俺の義姉になるんですね。」
龍二は丁寧に月島に言った。
「はじめまして、兄の香太郎です。宜しく月ちゃん。」
「はじめまして明石月です。………黒王子って感じですね!」
龍二の彼女は面白い子のようだ。
「じゃあ龍二は?」
「………狼の皮を被った腹黒王子?」
「ずきんちゃん、誉め言葉かな?」
「………腹黒!」
なにがあったのかは聞かない方が良いのかも知れない。
「香太郎も似たようなもの?」
「そうだな。」
「そこは否定しようよ。」
神紅弥に呆れられながら俺は微笑んだ。
王子なんて言葉誰から言われてもサムイだけだが愛する人に言われるのは特別だ。
俺は神紅弥の耳元で囁いた。
「神紅弥は俺のかぐや姫だろ?」
神紅弥は少しだけ顔を赤らめて言った。
「それはこれから私の実家の月島家に挨拶に行くのと月に帰るのをかけたの?」
「………上手い!」
俺が感心すると呆れられた。
なんだか正月の実家で何時も通りの会話をしていると思ってしまう。
きっと神紅弥とはこの先ずっとこうなんだろうと。
狼さんとずきんちゃんの狼さんの名前を龍二にした時から、狼さんは次男坊だと決めてました!
楽しめていただけたなら続きで、月島家に挨拶に行く話を書きたいと思ってます。
………コメント欲しい。




