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もくもくと湧き上がる入道雲のように

作者: 武田道子
掲載日:2026/06/19

もくもくと湧き上がる入道雲のように



春が来て

硬い冷たい土を押し除けて

暗闇でひっそりと息づいていたと思われる

種子が芽を吹いた

映像を先送りにしたかのように

若緑色の二葉は開き

見ている間にどんどんと

背が伸び二枚だった葉が四枚に

ただ無心に

成長し、成長し

初夏が来た


最初はゆっくりと

恐る恐るあたりを気にしながら

柔らかな葉を一枚一枚丁寧に開いていき

枯れ枝から吹き出す芽は

ひたすらに生きること

それだけを思って

ぐんぐん勢いよく伸びた

そして夏が来た


枝の隙間から見えた空は

緑の天蓋に変わり

枝の隙間からは空の代わりに

柔らかな金色の光りがハラハラとこぼれ落ち

風が気持ちよさそうに

青々と茂った葉を愛撫する

生きることが嬉しくて嬉しくて

その喜びが大地を覆う


季節は

黙々と湧きあがる入道雲のように

夏はその頂点に達するために

青空をまっしぐらに

上っていく

肌に刺すヒリヒリとする太陽の熱さ

小鳥たちさえ昼寝でもしているのか

しーんと静まり返った庭

もくもくと湧き上がった夏

白銀の山は今日も

真っ青な空に向かって聳え立つ




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