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死罰忍誅譚  作者: 白巻き
1/1

火ノ始末

 百人近い人々が暮らしていたとある村。

 その村は今―――



――ゴォオオオオオ!――



 ―――メラメラと周囲を照らしながら燃えていたッ!


 村人達の悲鳴や泣き叫ぶ声は聞こえない。何故ならば既に村人は全員殺されていたからだ。

 この、


ホムラ「クククッ!これで全滅か!」


 ホムラ ニンジャの手によって!!

 炎のように紅い装束に身を包んだこの男は忍者である。人を超える力を持つ存在であり、本来人を守る存在。

 しかし彼は悪に堕ちた。人を苦しめ己の利を何よりも優先する屑、「罪忍」へと成り果てたのだ。


 そしてそんな屑を許さぬ者がいる。


ホムラ「……?」


 ホムラは気配を感じ、振り返る。

 視線の先には、炎の光すら届かぬ黒に染められた森の暗闇が見える。


ホムラ「……なんだ?」


 ホムラは決して第六感などが優れた忍者ではない。

 しかしそんな彼ですら感じてしまう、



 圧倒的殺意。



――シュンッッ!!!――



 森の暗闇を貫き、手裏剣がホムラへと飛来するッ!!


ホムラ「!! 紅蓮ノ衣(ぐれんのころも)ッ!!」


 ホムラは素早く反応し、忍術を繰り出すッ!!



――ボァアッッ!!!――



 一瞬にしてホムラの身体を業炎が包み込み、飛来した手裏剣をその熱波で吹き飛ばしたッ!!


ホムラ「フフン!さぁ出て来い!何者だッ!!」


 闇の中へと声を上げるホムラ。

 その言葉へ律儀に応え、敵が姿を現したッ!!


シバツ「……」


 まるで新月の夜空を切り抜いたかのような漆黒の忍者装束。西洋と東洋、両方の兜を融合させたかのような外見の頭装備で顔を隠した異様な者。

 しかしその体躯から見て男。そしてその佇まいから見て、奴も忍者だ。それだけは分かる。


ホムラ「……何者かと聞いている!」


シバツ「……俺を知らないとはな…呆れた忍者だ…いや、お前はもう忍者ではないか」


ホムラ「なにィ?」


 漆黒の忍者は構えを取る。


シバツ「貴様はもう罪忍に堕ちているッ」


ホムラ「ざいにん?……まさか貴様、シバツ ニンジャかッ!!」


 シバツ ニンジャ。悪に堕ちた罪忍に死という裁きを与える忍者。

 千年前、始まりの忍者の時代から存在するとされる彼は、この世に生まれた罪忍を一人も逃す事なく罰し、処刑して来たという。


ホムラ|(……が、そんな話は偽りに決まっている! 幾ら寿命の長い忍者といえど、千年前から生きているなどあり得ない!)



――ゴォオオッ!!――



 ホムラは身体に纏う火炎の勢いを更に強めるッ!!


ホムラ「俺様が記念すべき、一人目の生還者となってやる!!その首を土産になァッ!!!」


 ホムラは地を蹴り駆けるッ!

 狙いは無論シバツの首ッ!!


ホムラ「焼け焦げてしまえェッ!!」


 火炎の激流に包まれた手刀がシバツへと振るわれたッ!!


シバツ「ふんッ!!」


 シバツは後方へ跳び、手刀を回避ッ!!


ホムラ「逃がすかァッ!! 火炎礫(かえんつぶて)ッ!!!」


 ホムラが両手をバッと振るえば、その手先からビー玉ほどの火の弾がシバツへ放たれるッ!


 しかし小さいからと侮るなかれ。


シバツ「ッ!」


 シバツが火の弾を回避し、弾が彼の背後に生えていた木に当たった瞬間、



――ゴバァアッッ!!!――



 一瞬にして炎が燃え広がり、木を包み込んでしまったッ!!


ホムラ「丸焦げにしてやろう!!」


 ホムラは次々と火炎礫を撃ち放つッ!!


シバツ「とゥッ!!」


 シバツは駆け出し、矢継ぎ早に迫る火の弾を全て回避ッ!

 そしてホムラへと接近ッ!!


ホムラ「無駄無駄ァ! 紅蓮ノ衣に守られた俺様に攻撃など―――」


シバツ「―――セェイィイイッッ!!!」


 ホムラの言葉など無視し、シバツが拳を放った、


 そして!!



――ドガァアアッッ!!!――



 拳はホムラの顔面に直撃し、奴を吹き飛ばしたッ!!!


ホムラ「ぶがァアア!!!」


 ホムラは全身の炎と折れた歯を散らしながら地面を転がる!


ホムラ「ば、馬鹿なァ!俺様の炎の鎧が、なぜェ!!」


シバツ「己の術の効果すら正確に把握していないとは、愚かな奴だ」


 顔面の潰れたホムラへと、シバツが歩いて寄って来るッ!


ホムラ「な、なにィ!?」


シバツ「それは千年前、ホムラ忍族初代の長が作り出した火遁の術、紅蓮ノ衣。油を染み込ませた装束で全身を包み、体温の急上昇によって発火させる忍術。だがそれには明確な弱点があると奴は言っていた」


ホムラ|(そ、その言い草…まるで、初代と会ったことがあるかのような…!?)


シバツ「その弱点とは…術者自らが炎を吸い込み、呼吸器官を負傷する可能性があるというもの。その弱点を克服するため、苦肉の策として顔部の装備だけは油に漬けていない」


ホムラ「まさか貴様…本当に千年前から…!?」


シバツ「そして火炎礫の原理は簡単。単に圧縮された油に火を着けて投げているだけ。着弾点で油は拡散し、炎も一瞬で燃え広がる」


 シバツはゆっくりと語りながら、ホムラの眼前へと立ち塞がった。


ホムラ「き、貴様ァッ…」


シバツ「最近の忍者は、落ちたものだな」


 シバツは手刀の構え。


ホムラ「お、俺様を殺せばコガネ ニンジャ様が黙っていないぞ!!」


シバツ「…罪忍を率いているという罪忍頭領か…問題無い。どうせ其奴も殺す」


ホムラ「ま、待ッ―――」


シバツ「死罰遂行ッ」



――スバァアアアアアッッッ!!!!!――



 ホムラの首が宙を舞い、周囲に血飛沫が飛び散るッ!!!


 ホムラの肉体はドサリと倒れ、飛んだ頭もグシャリと墜落ッ!!


 その凄惨な様を見て、シバツはゆっくり息をつく。しかしそれは勝利への安堵でも、犠牲者への弔いでもない。


 次の獲物への、決意を固める一息だッ!


シバツ「待っていろ、コガネ ニンジャッ!!」


 シバツ ニンジャの罪忍狩りが、今宵の世でも始まったのだッ!!!


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