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「愛が無い関係」なんて誰が決めたのですか?  作者: 延々Redo


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12/12

エピローグ

これにて閉幕

 数年後の王宮夜会。

 豪奢(ごうしゃ)なシャンデリアの下、着飾(きかざ)った貴族たちが色とりどりのドレスを(ひるがえ)し、穏やかな音楽に乗せてステップを()んでいる。

 会場の隅では、かつて学園で共に学んだ令嬢たちが集まり、扇を手に談笑していた。


「――あら。あちらにいらっしゃるのは、アトキンソン侯爵夫人ではありませんか?」


 中心にいた高位の令嬢の言葉に、残りの二人が視線を向けた。

 人混みを割って現れたのは、アトキンソン侯爵ジョーエル。相変わらずの端麗(たんれい)容姿(ようし)に、余裕のある微笑みを浮かべている。

 そしてその腕には、一人の女性が寄り添うように抱えられていた。


 レニー・ピアース――いや、今はレニー・アトキンソン。

 彼女の姿を見た瞬間、令嬢たちの間に一瞬の沈黙(ちんもく)が流れた。


「……随分(ずいぶん)とお変わりになりましたわね、彼女」


 一人が小さく(つぶや)く。

 かつて学園で、誰彼構(だれかれかまわ)わず()み付いていたあの激しさは、今の彼女からは微塵(みじん)も感じられない。

 淡い灰色のドレスに身を包んだレニーは、(おどろ)くほど()せ細り、その肌は陶器(とうき)のように血の気がなかった。そして何より、その瞳には光が一切宿っていない。


 ジョーエルは、愛おしそうにレニーの腰を抱き寄せ、彼女の乱れてもいない髪を優しく()でた。


「皆様、ごきげんよう。レニーは…少し体が弱くてね。今日も無理をさせたくはなかったのだが、どうしても皆様にご挨拶したいと言うから、連れてきたんだよ」


 ジョーエルの言葉に、レニーは微かに唇を動かしたが、声は出なかった。

 ジョーエルが彼女を見つめる瞳は、恐ろしいほどに情熱的で、執着に満ちている。けれど、その腕に(とら)われているレニーの姿は、まるで精巧に作られた人形のようだった。


 ジョーエルが他の貴族に挨拶を求められ、わずかに席を外した(すき)

 かつてレニーに、キャメロンとロザンヌの仲を伝えた令嬢たちが、心配そうに彼女を囲んだ。


「レニーさん……本当に大丈夫なの? 噂では、貴女は侯爵家の別荘から一歩も出してもらえず、ジョーエル様に厳重に管理されているって…」


「ええ…。お顔立ちも、以前とは別人のよう。レニーさん、貴女、本当に彼に愛されているの…? 大切にされているのなら、どうしてそんなに虚ろな目をされているのですか?」


 令嬢の問いかけに、レニーはゆっくりと、まるで油の切れた機械のように首を動かし、彼女たちを見上げた。


 かつては、他人の不幸を自分のことのように(なげ)き、過呼吸になりながら「正解」を求めていた瞳。

 今はただ、底なしの暗闇が広がっている。


 レニーは、遠くで自分を監視するように見つめているジョーエルと視線を合わせ、それから、かつての自分と同じように「同情」を向けてくる令嬢たちに、力のない微笑みを向けて言った。




「愛が無い関係なんて、誰が決めたのですか?」



このプロットを思いついた瞬間、絶対書かねばならないと思いました

形にできて良かったです


終わってから思いましたが、レニーの求めてたテンプレートな愛ってどれに分類されるんでしょうね?

ちなみに「愛の8種類」はギリシャ時代から言われていたようで…


レニーは現代なら複雑性PTSDと診断されてると思います

そして共感性がめちゃくちゃ高く、育ちのせいで自他境界があいまいです

でも他人を否定しまくるのは傲慢なのでね、たぶんそれは性格


◇◇◇重い話を読んだ後はギャグで整えてください。◇◇◇

「あなたに用はありません!~どこかに素敵な老紳士は落ちていませんか?~」

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連載中です。軽く読めますのでどうぞよしなに~


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